第3話
出かける時は、いつも髪をセットする。少し時間は掛かるがオシャレは好きで苦ではない。今日はセンターパートにして、少し背伸びをしてみる。服は白を基調にして適当に選んだ。
「やっぱり、ちゃんとするとかっこいいわね」
と母さんに言われるが、いつもの軽口と流しておく。
「今日はどこまで行くの?」
そう聞かれたので
「取り敢えず、中央公園とかかな」
中央公園の近くにはショッピングモールがあったりと何かと便利なのでそう答えておく。ただ、ここから2駅ほど移動する必要がある。
「じゃあ、少し多めにお小遣いあげるわ」
と母さんから5,000円貰ったので、ゲームセンターに行ったりも出来そうだ。
準備も整ったので、母さんに「行ってきます」と声を掛け最寄りの駅に向かう。それから、電車に揺られ目的の福江駅に到着した。ここは、この市の中心的な駅という事もあって人が多い。部活に行く高校生の姿もちらほら見える。ほとんどがこの駅の周りの高校生の人達だ。
しかし、その中に見た事あるやつが混ざっていた。しかも目が合う。何で、目覚まし女と瑞希さんがここに居るんだ。そう思っていると藤井は距離を詰めて来ていて
「今日は一段とかっこいいね、優希くん。どこ行くの?」
と声を掛けられた。
「中央公園に。お前こそ今日は練習試合か?」
と聞くと
「うん、そうだよ。福江高校の人達と。」
と教えて貰った。
「誰か友達と遊ぶの?」続けてそう聞かれたので
「いや、1人で」そう答えておく。
藤井はしばらく考える素振りしたが、「楽しんでね」
と言って瑞希さんの元へ戻って行った。
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「あっ!ちょっと待ってて」
ももは、そう言って男の人の所へ走って行った。
かなり、いや、すごくかっこいい。しかもどこかで見た事がある。ももとその男の人は知り合いみたいで、傍から見ていて仲良しなんだなと分かった。もものあんな表情は見た事がない。いわば乙女の顔だろうか。思ったより仲が親密なのかもしれない。
ももはしばらく話してから戻って来た。
「お待たせ!じゃあ行こっか」
その言葉に頷きながら、私は
「何か嬉しそうだね。彼氏?」
と聞いてみる。ももは少し不満げな表情で
「そうだと良いんだけどねぇ。」とつぶやく。
「同じ高校の人?既視感あって。」
私がそう聞くと、
「矢野優希くんだよ」との答えが帰ってきた。
「休日は髪セットしてるんだね。いつもと雰囲気が違って分からなかったわ。ももはよく分かったね」
かっこいい、そう思った事は伏せながら返事する
「愛がありますから!」
'ふんすっ'と言いそうな表情に私は笑みをこぼしながら「応援してるよ。」と返した。
ももは、少し俯き
「頑張るね」とつぶやいた。
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