第一の弟子 チャリス爆誕
第1話 チャリス登場しました
おぉ、チャリース!
って、いつものノリをしてる場合じゃない。
てか、そうかぁ……チャリスかぁぁぁ……
チャリスは、紫とピンクに彩られたローブをはためかせながら、颯爽と扉を開けて床に転がっていたバナナの皮を蹴り飛ばして部屋に入ってきた。
チャリスは、小柄な体をリズム良く揺らし、杖をむぎゅっと掴み、クリッとしたルビーのように赤い瞳で何かを期待するかのように俺のことを凝視している。
うん、その期待には応えたくない。
今日俺のところに来てくれるような物好きは弟子たちくらいのもの…… そうなのだ。
弟子はみんなで4人、弟子ガチャの引きは、初回チャリス。チャリスだった。
チャリスは攻撃魔法特化型。攻撃魔法なら俺にも引けを取らないだろう。いやもしかしたら、もう追い抜かれているかもしれない。
それくらい、成長著しい。俺が掘り起こしてしまったとはいえ、こいつの底は計り知れない。
チャリスの魔力に反応したようで、俺の周りには結界が発動していっている。
死んでいながらも、生前の付与魔法はいくつか健在しているようだ。
多分…… いや多分なんて無意味か…… チャリスはいつものように嬉々として撃ってくるだろう。
チャリスは倒れている俺の周りに結界が展開されていくのを嬉しそうにみて、半笑いを浮かべながら杖に頬を擦り寄せ、ゾクゾクする目でこちらを見ている。
「あふぇ♪ リテラ様ー、寝転がったままでいいんですかぁ?」
返事をすることができない屍状態の俺にはお構いなしに、挨拶がわりがごとくチャリスは、星の散りばめられた杖をプクッとした頬から離し、喜色満面に高々と振りかざしはじめる。
杖の先端からは、閃光が噴き出している。
「いきますよぉ。今回こそ結界を破って見せますよぉ。受け止めてください。その先を一緒に見ましょうよぉ」
チャリス……チャリスさーん……俺はピクリとも動いていないんですが。
完全スイッチ入っちゃってる。
そう思っている最中にもチャリスの杖の上には漆黒のヤバそうな塊が形成され、色とりどりのプラズマのようなものが噴き出し、周りを迸っている。
星でもぶっ壊しそうな勢いだ。
死んでるのに、死の恐怖を感じる。
部屋の中に施していた魔法もバリバリと音を立てて無力化されていく。
「あふぇ♪ もっと…… もっとぉ」
この世の終わりにも見える光景を目の前にしながら、走馬灯なのか、思考の逃避行なのか、俺はチャリスとの出会いを思い返していた。
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