風になれたら

君は家の事には文句を言わない


片親な事も

その親の仕事の帰りが朝な事も

いつも昼食がパンな事も

夜一人で食べている事も

ずっと片付けられない部屋も

連れ帰る相手が変わる事も

学校の事は文句ばかりなのに


夜見かけた君は

泣き声の様に騒音を奏でる

単車の後部座席で

煌めく街の光りに吸い込まれる様に消えて行った


あんな笑顔は見た事が無かった

危ないと問い詰めた僕に

風になれたら

笑って誤魔化す様に

そう君は答えた


今日も

君は家の事には文句を言わない

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