第18話 俺、放課後の図書準備室で一葉ちゃんに拘束される

「高一郎さん。最近、かまってくれませんね……」


 放課後の図書室。一葉ちゃんがすねた口調で語りかけてきた。


 明日香とは……もちろん男女の関係に進むわけにはいかないのだが、わりと「仲直り?」が上手くいって、互いに対する愛情はより深まった感がある。


 無論、なんというか二人の間の情欲というか愛欲の根本的な解消方法は見つかっていないのだが、色々「二人で工夫して」発散することで我慢できるレベルにある。と明日香も言っていた。


 だから今現在、俺はとりあえずの安定した日常を取り戻しつつあったのだが……


「寂しいです」


 一葉ちゃんの落ち込んだ声が耳に痛い。


「ごめん。一葉ちゃんのことは全然嫌いじゃないんだけど、俺には明日香がいて、明日香が好きで、裏切れないから」


「…………」


「わかって……くれた、一葉ちゃん?」


 と、一葉ちゃんが「ねぇ。先輩」と顔をにこやかして俺を呼んだ。


「ちょっとこっちに来てください」


「こっち?」


「図書準備室です」


 俺は、一葉ちゃんの導くまま準備室に入る。


「そこのパイプ椅子に座ってください」


「座るの?」


 俺が座ると、一葉ちゃんはごく普通の作業ですという動きで、俺を椅子に縛り付けた。


「? なに、これ?」


「先輩♡」


「うん」


「動けませんよね♡」


「まあ、そうだけど……」


 と、いきなり一葉ちゃんが俺の膝上に載ってきて驚く。


「え? え?」


「せ、ん、ぱ、い♡」


 一葉ちゃんが妖しく誘う瞳で俺を見つめつつ、その制服のスカートをたくし上げる。


「ねぇ。見てください」


 白く綺麗なレースをあしらったパンツがチラと見えて……


 俺はぶふぉぉぉーっと噴き出してしまった!


「な、何の真似ですか、一葉さん!?」


 呼ぶ名前も、思わずさん付けになる。


「先輩は……ここで私と結ばれるんです」


「え?」


「私、先輩のこと、全然あきらめてません。というか、明日香さんには宣戦布告しちゃいましたし……」


「一葉……ちゃん……」


「だから……。先制攻撃で、ここで既成事実、作っちゃいます」


「え……」


「まだわかりませんか、先輩?」


 俺を見つめている一葉ちゃんの顔が上気していて、その瞳は妖しく揺らめいている。


「あかちゃん……作る行為……。ここで先輩としちゃいます♡ 一葉の初めて、もらってください♡」


 ぶふぁぁぁーっと、俺は再度噴き出した。

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