第16話 見せ合いながらしましょう
学園からの帰り。
明日香が久しぶりに来たいと言ったので、俺の部屋に迎え入れた。
「ウーロン茶でいいか?」
「ええ。ありがと」
明日香にお茶を出して、二人で丸テーブルに座ってのどを潤す。
なんと会話すればいいのか……。間が持たない。しびれを切らして、俺は言葉をもらしてしまった。
「ええと……その……。明日香と、その……」
明日香が、その俺のセリフを気にしている素振りはないので、続ける。
「前にも言った通り、俺はお前の事はマジで好きなんだけど、その……エッチなことは出来ないんだ……」
「ううん。いいの」
明日香は納得しているという返事を返してきた。
「その点は理解したわ。謝らないで。その代わり……」
一拍置いて、明日香が言い放つ。
「今日は提案があるの」
「提案……?」
「そう提案。なんだけど、その……」
明日香が顔を染め、もじもじと言いづらそうな仕草を見せ……
「エッチな子だと思わないで。いえ……もう高一郎はわかってると思うけど、私はエッチな子なんだけど……」
明日香は、いきなり制服を脱ぎ出した。
「え!? ちょっと!? 俺、できないぞ! ガマンしないと、その……今生の別れになっちゃうから!」
「私、高一郎が気持ちよくなるの、手伝いたいの!」
「は?」
空気が固まった。
そして、明日香が思い切ったという表情で言い放つ。
「だから……。私のハダカを生で見て、私の前でひとりでして気持ちよくなって!!」
「え……?」
「その代わり私も高一郎が『して』るのみて、一人で『して』気持ちよくなるから!!」
「なっ!!」
言い放った明日香は、せきをきったように続けてくる。
「自分で言うのもなんだけど、私、その……バランスのいい体型で、その割に出ている所はちゃんと出ててと引っ込んでるところも引っ込んでて」
「い……いや……それは服の上からもわかるんだが……」
「胸なんかも大きい割に形よくて。なんというか自分でシテる……げふんげふん、自分のカラダだからわかるんだけど、すごく柔らかいんだけど揉みごたえもあって、見るだけでじゅうぶん高一郎を興奮させられると思うの」
どうかしら? いいアイデアだと思うけど? という明日香の目が情熱にきらめいている。
「もう覚悟決めてきたからきちんと言ったわ。高一郎の気持ちわかってても恥ずかしいのよ、これでも!!」
「ダメッ。それ、ダメッ。さすがに無理っ!!」
「どうして!? これならエッチしなくても、二人で一緒に気持ちよくなれるでしょ。いい考えだって思ったんだけど!!」
「ダメッ!!」
「何故ッ!?」
「俺がガマンできないから! 明日香のハダカ前にしたら、理性ふっとんじゃうから!!」
「むぅ」
明日香は押し黙った。
納得はしているのだが、不満と言うか無念だという顔。
「代わりにだけど!!」
俺は思いついて、明日香のあとに言葉を継いだ。
「明日香の画像……もらえないか? ちょっと……エロっぽいやつ……とか」
「なるほど」
明日香は今度は合点がいったという表情だ。
「今も明日香を前にして……その……かなりガマンしてるんだ。襲いかからないようにって。だから、明日香にハダカで誘われたりしたら、俺はもう!! だから!!」
「なるほど!! わかったわ!!」
二人で鼻息荒く同意する。
いいのか、この流れで……という疑問はあるのだが、他に案も浮かばない。
明日香は脱いだブレザーを羽織り直す。
「画像、期待してて!! 高一郎が満足できる凄いの、送ってあげるから!!」
ふんっと、俺の前で荒い息を吐く、森野明日香嬢なのであった。
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