邂逅

バブみ道日丿宮組

お題:そ、それは・・・殺人 制限時間:15分

邂逅

 幼なじみである彼女に『久しぶりに会えない?』というメッセージをもらい、彼女の家についた。

 久しぶりなので、おみやげも持参した。

 人気のあるデパ地下スイーツだ。

 チャイムを鳴らすと、数分待たずにして、

「はやかったね」

 彼女が出てくる。

「……なんか赤くない?」

 彼女の服は妙に赤かった。それにどこか濡れてるような印象が強い。もともとそういうデザインのものだろうか? てかてかしてて、ちょっとキレイな感じがする。

「処理してたからさ。まっ、入ってよ。手伝って欲しいことがあるんだ」

 幼なじみからのお願いは聞いておいて損はないだろう。

 久しぶりにおばさんにも会えるんだし、三年ぶりかな? 彼女には、違う学科とはいえ、合同授業なんかで顔をみる機会はなんどかあった。そう考えると、話すのも三年ぶりかもしれない。

「おじゃまします」

 靴をきちんと玄関で揃えて、中に入る。

「こっちこっち」

 彼女の部屋ではなく一階のリビングへと彼女は入ってた。

 遅れず、続く。

「これさ、なかなか切れないんだよね」

「えっ……?」

 よく知らないものが転がってた。

 ただ寝てるだけーーそう思いたかった。

「お母さん、意外に頑丈なんだね。無駄に死亡があるからかな」

 彼女は転がってるおばさんの胸をつんつんと叩く。

 反応はなかった。

 代わりに聞こえたのは、びちゃびちゃとした水の音。

 赤、真っ赤な血溜まりができてた。

 それを作ってるのは中心地にいるおばさん。

「し、死んでないよね?」

 震えながら、声を絞った。

「死んでると思うよ。睡眠薬で眠った後に、何度も刺したから」

 指差す方向には、包丁が転がってた。

 次に指差した場所からは、内臓が飛び出てた。

「んっ……!」

 トイレにかけこんだ。

 借りるとも声をかけられなかった。

「大丈夫?」

 彼女が後ろからついてきた。

 私は構わず、便器に顔をつっこんで、なにもでもない何かを吐き出した。

「ゆっくりゆっくりだよ」

 彼女はそんな私の背中を優しくさすってくれた。

 殺人鬼。

 彼女は殺人を犯した。

 もしかしたら、私も殺されるかもしれない。

 というのに、彼女の手から感じる優しさから逃れられなかった。

 何分かわからないが、嗚咽感が収まると、彼女とともにリビングに戻った。

「これを処理したいんだ。お父さん帰ってくる前に、助けてくれるよね?」

 笑顔だった。

 彼女を手伝わないという意思は生まれなかった。

 恐怖という以前に、久しぶりに見た彼女の笑みに胸を掴まれた。

 それから、おじさんまでもを私たちは処理することになった。

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邂逅 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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