どうやら俺は凄い先輩とコラボするらしい。
配信の準備をしてTwltterで告知をした後、俺はみるくに招待されたDiscordingのサーバーに入った。
サーバー内にはみるくと俺の見たことの無い「
俺はLIMUで「サーバーに居る人誰?」とみるくにメッセージを送ると「さっき言ってた先輩!」と返信が来た。
コラボって今日の事だったのかと思い、俺は呆れた。
あくまで俺は、みるくと二人でコラボする気だったので告知ツイートではみるくのSNSのリンクしか貼っていない。
俺は「その人と三人でコラボするんだな?」と確認を取ると「そうだよ!」と返信が来たので、急いで先輩の各種SNSのリンクを後付けで貼った。
~~~
コラボ開始10分前になり、俺は招待されたDiscordingのサーバーに入った。
既にみるくはサーバー内に居て「もう、遅い!」と怒られてしまった。
10分前に来てるだけ良いと思うのだが、女心というものはいまいち分からない。
「もう、緊張する」
「そんなにか?」
「そんなにかって、りょーくんは炎上を知らないからそんな事が言えるんだよ!」
「いや、炎上をキッカケにして俺はここにいるんだけど」
「あ、それもそっか」
たわいのない話をしていると「ぴこん」と誰かがサーバー内に入って来る通知音がした。
「あ、えーと。聞こえますか?」
女性にしては少し低い声、しかしその声は透き通っていて耳に優しい声をしている。
「あ、楓先輩。お疲れ様です」
「あ、聞こえてるみたいだね。お久しぶりだね、みるくちゃん」
「うぅ……あの時はすみませんでした……」
「ハハッ、まだ気にしてるのかい?」
二人は仲の良さそうに話していて、会話に入る隙が無い。
タイミングを伺いつつ、俺は二人の話を聞く。
「そりゃ気にしますよ!だって、初めてのコラボで大恥かいたようなもんなんですから……」
「なんも気にしなくてよいよ。アンチと戦うのもライバーの仕事だからね」
「戦うのは無理ですよ。相手にしないのが一番だと思います」
「そうだね、それが一番かもしれない。それで、もう一人は?」
楓先輩の一声によって、やっと会話に参加できそうなので俺は声を発した。
「あ、どうも。ストリーマーとして入らせて頂いたRYOです。突発的だったのにも関わらずコラボして頂きありがとうございます」
「おっ、礼儀正しい。謝罪配信を見る限りやんちゃそうなイメージだったけど、中々良いね」
この人にもあの謝罪配信を見られていたのかと思いつつ俺は言葉を返す。
「今日は個人で配信する予定だったのですが、みるくがHEROXを教えて欲しいと言ってきたもので……」
「あーなるほどね。理解理解、私に迷惑掛けたくなかったのか」
「りょーくん!言いすぎだから!」
「なんだよ、じゃあ教えん。コラボありがとうございました」
「あーウソウソ!分かったから、ごめんなさい!」
「ぐふっ、本当に君たちは幼馴染なんだね。友情というか愛情というか通話越しでも伝わって来るよ」
「ちょっと、楓先輩!」
初対面だと言うのにこんなに優しく接してくれて、みるくの初コラボ相手がこの人で良かったと思った。
確かにこの人なら愛想も良さそうだし、何かと優しくしてくれそう。
そんなことを思いながらパソコンに表示された時計を見ると配信開始予定時刻を過ぎていた。
二人に時間が過ぎている事を伝え、俺は配信開始のボタンを押した。
「こんちゃ」
俺の一声によって配信は始まった。
目では追えないスピードで流れていくコメント欄、配信開始と同時に増える視聴者数。
最近はチャンネル登録者数の伸びも良く、12万人を超えた。
みるくの方も好調で先日10万人を超えたところだ。
そしてこの秋月楓先輩は……登録者数が31万人居るという化け物だ。
「こんかえ~」
「こんみる~」
二人も配信が始まったのか各々決まった挨拶をした。
「今日はコラボという事で後輩で幼馴染同士のみるりょーの二人を連れてきたぞ」
「あ、皆さんこんばんは。ストリーマーで入らせて頂きました、RYOです」
「staralive所属の中野みるくです。今日はお願いします」
「うっし、挨拶も終わったとこで早速ゲームしますか」
コメントでは「なんだこの異色のコラボ!?」「みるりょーきちゃあ!」「おー楓先輩か」など賞賛の嵐だった。
懸念していたみるくの批判コメントは、少なくとも俺のコメント欄では見られなかったので安心した。
俺はHEROXを開き、パーティにみるくを招待した。
みるくに楓先輩を招待してもらい、カジュアルマッチを開始した。
「あ、りょーさんはなんて呼んだら良いですか?」
「んーそうですね。呼びやすいように呼んでもらえれば」
「じゃあ、みるくちゃんと同じくりょーくんと呼ばせてもらいますね」
「あっ、はい」
初動の町で俺が3キル、楓先輩が2キルし初動は生き残ったがみるくは活躍出来なかったのが悔しいのか喋らなくなってしまった。
「うし、まあ初動は勝てたし良いか」
「そうだね。てかりょーくん強いね」
「まあ、それなりには」
「確かソロマスだっけ?」
「はい。でも先輩もマスターでは?」
配信開始前、話を合わせるためには楓先輩の情報を知っていないといけないと思い、楓先輩の過去の動画や公式HPをチェックしといた。
調べた結果、過去に一度だけマスターにいったことがあるという事を知ったので話を合わせる事が出来た。
「あはは、あれはほぼキャリーしてもらったからね」
「誰にですか?」
「えーと一人は私の同期の【
「立ち回り的には全然ソロマス行けそうな感じしますけど、時間的に厳しいとかですか?」
「うーん、そうだね。私の場合、最近は公式生放送とか案件とか、その他諸々あるせいでダイアが限界かな」
「なるほど……」
こうして雑談をしながら、俺と楓先輩で敵をなぎ倒していき最終局面、残り3パーティまできた。
みるくにHEROXを教えるという今日の目標を忘れていたので、ここからはみるくに頑張ってもらおう。
「よしみるく、俺はもう手を出さないから敵全部倒してきてくれ!」
「ちょ、りょーくん!それはいくらなんでも無理ですよ!」
「あーじゃあ私も、みるくちゃんを頼るかぁ」
「ちょっと楓先輩もりょーくんの悪ノリに乗らないでください!」
俺からすると悪ノリではなく、これは特訓と言った所だろうか。
有名なプロゲーマーなども三人一チームのモード、通称トリオで味方を一人も入れず完全ソロで練習することがある。
これは対面勝負が鍛えられるだけではなく、立ち回りも大事になってくるため常に立ち回りを意識しなければならない。
前回の心々音とみるくのコラボで分かったことはみるくはAIMは良い。
だが立ち回りがボロクソすぎて、敵に三人にボコボコされたり不利対面を作られて負けるという事が多い。
近場で銃声が鳴り始め、キルログが流れ始めた。
現在どちらかのパーティでワンダウン。
ランキングマッチではこのキルログを常に管理しなければならない。
近くで銃声が鳴り、最初にすることはバレない様に近づく、そしてキルログが流れたらそのキルログが目の前でやり合っている敵の物なのかを確かめ、2枚ほどダウンしたタイミングで一気に詰める。
これが一般的な戦法、通称漁夫の利だ。
みるくが現在持っている武器はショットガンとAR。
詰めれる事を確認して俺はみるくに指示を出した。
「みるく、前に突れー!」
この掛け声と共に三人は前進した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます