どうやら女子は恋バナが好きらしい。
今日はテスト当日。
みるくを迎えに行き、電車に乗る。
うん、今日もいつも通りだ。
「ぶへぇ……緊張するよぉ……」
「大丈夫だ、昨日あれだけ勉強したんだ。まあ、少なくとも赤点は回避と思うけどな」
朝の電車はいつも通りの込み具合。
特に北野に着いた辺りから人が多くなる。
まあ、俺は西北野から乗っているから席に座れないなんて事はないと思ってたんだが……
今日は席が空いてなかった。
正確に言うと今日は旅行客なのか分からないが外国人が凄い乗っていて、周りを気にせず大声で喋っていた。
「もう……何喋ってるか分かんない。怖いよぉ……」
「二両目行くか」
みるくの手を取り、二両目に向かう。
何だが、途中に居た北嶺生や他校の生徒に凄く凝視された気がする。
なぜなんだ、なぜ俺がこんなにも見られる。
なんだか怖くなりながら、俺は二両目に行った。
~~~
途中で心々音も合流し、3人で学校に行った。
席に座り、筆記用具を机に出していると後ろの亮から話しかけられた。
「なぁ涼真」
「ん?どした?」
「ぶっちゃけ勉強したか……?」
「ああ、毎日……とは言い難いが一応は」
「うわーまじかよ。俺は全く勉強してねーわ」
「何やってんだよ、高校初めてのテストだぞ?」
「いやー昨日やろうって思ってたら、あの暑さでダウンしちゃってさ」
「あれは……キツかったな。俺もダウンしかけた」
亮はまだ何か言いたそうだったがここで担任が入って来て朝のHRに移った。
と言っても特に連絡は無く、テストの注意事項だけ説明され後は勉強するなどテストまで好きに時間を使って良いとの事。
俺は一時間目に行われる国語を勉強するため、漢字ワークを取り出して机に向かってペンを走らせた。
~~~
全てのテストが終わり、帰宅道。
今日はテストが終わったという事で北野にある「ビクトリス」でテストお疲れさん会と称して、デザートでも食べようという話になっていた。
因みに2、3年生は選択科目などで、明日もテストがあるらしいが俺たち1年生は今日でテストは終わりだ。
といってもテストが一日で終わるのも今日が初めてであって今日が最後、一学期期末テストは音楽や保健などの科目が入って来て二日編成になってしまう。
「うい、涼真。テストお疲れ様!」
「おう、おつかれ。テストの出来はどうよ?」
「まぁまぁかな。なんか数学で意味の分からん図形問題が解けなかったぐらい?」
「あーあれか、俺も分からんかったわ」
「だろ?宮下はどうよ?」
「私ですか……?まぁ、普通でしたね。可もなく不可もなくって感じで」
「なるほどな、みるくちゃんは?」
「っはい!えーと、漢字が少し分かんなかったかな。でも他の部分は心々音ちゃんとりょーくんと勉強した甲斐があって大きなミスは無かったかな」
「ほほう、みんな良い感じですね……紅音は?」
一同、亮の隣を歩いていた紅音さんに視線を向ける。
「ちょちょ!なんでみんな私の事みるの!?」
「いや、テストどうだったのかなって」
「私も涼真くんと同じ理由です」
「わ、私も……りょーくんと同じ理由……」
「ははっ、紅音が人気者になってるw」
「ちょ、はせっち!笑うな!」
結局わちゃわちゃしてしまい紅音さんテストのが良かったのか聞くことなく、電車に乗り、駅に着いた後5人仲良く話したり、ふざけあいながら歩き「ビクトリス」に着いた。
入店と同時にお客さんが来たことを知らせるベルが鳴り、店員さんが来た。
「いらしゃいませ~、何名様ですか?」
「5人です」
「すみません。ただいま満席に近い状態でして……2名様と3名様で分かれて座る形なら大丈夫なのですが…」
店内を見渡してみると他校もテストが終わった後なのか、席がほとんど学生で埋まっていた。
他の4人に確認し、分かれても大丈夫か確認したところ皆「良いよ」と言ってくれたので、店員さんに案内してもらうように言った。
通路の右側に二人席、左側に三人席がある場所に案内され、二人席に俺と亮、三人席に女子三人組を座らせてもらった。
亮はどうやら甘いものはあまり好みじゃないらしく、ドリンクバーだけで十分とのこと。
俺も嫌いってわけではないが、甘いものは間に合っていたのでドリンクバーだけ頼むことにした。
女子三人組はメニュー表を見て、キャッキャウフフしていた。
~~~
ドリンクバーが3杯目に突入しそうなところで、女子組のスイーツが運ばれて来た。
紅音さんはイチゴ、イチゴクリーム、イチゴのジャムとイチゴがたっぷりと使われたイチゴパフェ。
心々音はまんまるとしていて、キレイに整えられた栗クリームがアクセントのモンブラン。
そしてみるくは、これまたパイナップルの果肉がソフトクリームの上に乗せられ周りを埋め尽くすほどのパイナップルが乗った期間限定パイナップルパフェを頼んでいた。
こいつ、前来た時もパイナップルばっかり食ってたよな。
そんな事を思いつつ、俺はストローで残り少なくなっていたホワイトソーダを飲んだ。
女子達がスイーツを食べ始めて少し経つが、俺と亮は女子達の会話に聞き耳を立てていた。
うっすらと聞こえてくる会話の内容はズバリ好きな人について。
俺は内心ドキドキしていた、だって俺の好きな人は……
「それで、みるくちゃんは気になってる人とかいないの?」
心々音の一言によって俺の心臓は大きく跳ね上がった。
チラッと女子組の席を見ると、心々音が笑いを堪えているのか知らないが俺の方を見て手で口を押えていた。
内心殴りたくなったが、今はみるくの話を聞こう。
そう思いみるくが答えを出すのを待つ。
「気になってる人……?」
来た!この答えが恐らく……
「いないよ?そんな人」
……
は?
「一緒に居てくれるって言ったじゃん!」とか「私、りょーくんがいないと生きていけない……」みたいなことあんだけ言ってったじゃん。
なのに、なんで気になる人がいないんだ……?
心々音の方を見ると、さっきまで笑いを堪えていたのに今は困惑していた。
「それって、本当ですか……?」
「なんで?」
「いや……だって……」
「気になってる人はいないけど、好きな人はもういるもん」
心々音はその言葉を聞いた瞬間クスっと笑った。
そして、胸を当てて安心していた俺の姿を見てまた笑いを堪えていた。
「因みに、その好きな人は誰なのー?」
紅音さんが興味本位で言ったのだろうが、その言葉みるくは「秘密だもん♪」と嬉しそうに答えを返した。
秘密……という事は俺ではない可能性もある。
みるくが他の男とあんな事やこんな事をしている姿が目に浮かぶ。
最悪だ、絶対にそれだけはさせないようにしないと。
俺は気合いを入れる意味でガッツポーズをした。
「何やってんだ……?」
俺の姿を見た亮は気味悪がっていたが、俺は気にしないことにした。
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