道すがら
朝イチの飛行機。まだ外は真っ暗で月がのぼっている。自宅に戻ってシャワーを浴びて
支度して、今。羽田空港。
朝イチなのに満席で乗れなかった山本は、空いていた他社便で来る事になったと連絡が来てた。
あ、もう祝日だったか。って気がついたのは空港に来てからだった。人、多い。
飛行機に乗った時、たまたま目があったCAさんにガン見された。何か、変だったかな。
座ったらソッコー寝よう。少しでも。
そんな事を考えて22のA。窓側の席に座った。
すぐに深い眠りについた。
目が覚めると何かが頭を触ってる感覚、と言うか柔らかいものに触れてる。
何か心地いいな、なんだろ。
微睡んでいたが、頭が急に覚醒した。
はっ!!!
横を見ると、困った様子で女の子が微笑んだ。
肩に寄りかかってがっつり寝てた。
「…す゛みま゛せん゛」全力で声を振り絞った。
すると、女の子は微笑んで
「お疲れですね。」そう言うと、
黒髪の胸まである少し巻いてる黒髪が揺れた。
花の香り。香水?じゃないな。
やべ、変態か。目がみれない。
年下の様に見えるその女の子は、そんな挙動不審な俺を真っ直ぐみていた。
咳が出てきた。
苦しい。
「大丈夫ですか?苦しそうですけど、飴よければ。」
のど飴をくれた。
「、、、ぁ゛りがとうございます゛」そう言って、俺は素直に受け取った。
「辛そうですね。何か飲みますか?」彼女がそう言うと、近くを通ったCAさんに飲み物を頼んでくれた。
「全然気にせず、ゆっくりされてください。」
「す゛みまぜん。」
若いのに丁寧だな、そんな事を考えながら、言ってくれた言葉が心地よくてまた少し眠りについた。
誰かが遠くで、話してる声が聞こえる。
「~揺れる予想です~ください。」あ、アナウンスか。
ずっと椅子に座ってると、自分のデカさのせい体が痛くなる。ちょっと座席を立って、伸びでもしないと辛い。そう思い、隣の女の子へ声をかけた。
「…すみま゛せ゛ん。ちょっと立ってもいいですか?」あれ、意外に声がでるようになった。よかったー。
「声、よくなりましたね。」女の子が微笑んできた。
そう言って、耳に髪をかけて見えたパールのピアスがとても似合ってる。
「すみまぜん。ありがとうございます。」コミ障か俺。もっと気のきく一言言えよ。
そんなことを考えながら通路に出た途端、眩暈に襲われ、目の前が真っ暗になった。暗転。
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