ある男とは

通勤ラッシュを抜け、渋谷のオフィスについた

自分のデスクにつくと後ろから聞き慣れた声が聞こえた。

「よぉ!清田!」

この人は俺の上司、風間さん。

爽やかなのか朝から眩しい。周りからはイケてるオジサンって言われてる。

「…ざま゛す゛」

「お前、声どした?風邪か?気を付けろよ!」

ちょっと咳も出てきてたからマスクしててよかった。

「…う゛っ゛す゛」風間さんに頭を下げた。


パソコンを立ち上げ、メールを確認。

雑務をこなしていた。今日はミーティングさえ乗り切れば声を出すことも少ない。

たまに咳き込む俺に「キヨさん大丈夫ですか?」そう言って後輩の山本がのど飴をくれた。優しい。

こーゆー時の優しさは身に染みる。相手、男だけど。



「ん゛ーっ゛」伸びをしてふと時計を見ると昼過ぎ。

休憩しようと席を立った時、同期の佐々木恭平に会った。

「お、キヨどした?風邪か?」全く話さない俺を察して恭平が話す。

「お前忙しすぎんだろ。最近。

プロジェクト掛け持ちで。ちゃんと寝てっか?」

出ない声で苦笑いをした。恭平はこーゆー所鋭い。


「目の下のクマもすげーぞ。お前、飯ちゃんと食ってっか?」

眼鏡をかけて鋭い目付きだが、すげー優しいヤツ。

やっぱ同期っていいな。なんて思ったのはハズいから秘密。

「有実ちゃんが飯来いって言ってるから今度家来いよ。」有実とは恭平の奥さん。恭平は去年後輩の山崎と結婚した。


羨ましいとはあんまり思ってなかったけど、

二人の結婚式に出席して、帰る場所があるのはいいなと考えはじめた。

「ま、無理すんなよ。図体でかいのにお前。小さく見えるわ。あ、これ食え。」たぶん後で食べようとしてたプリンをわざわざくれた。優しい。

ありがとうと、ジェスチャーで伝えて飯を食いに外へでた。



携帯に電話がかかってきたのは、飯を食べ終わった頃だった。

「清田さん大変です!プロジェクトの映像コンテンツ再生されないって先方からで、、」でない声で今すぐ戻ると伝え、会社に戻った。


どうするか風間さん達が話してる最中で、最終的に映像を編集しなおし、先方へ直接お詫びしに行くことになった。

明日イチ、札幌まで。

今は17時。

はい、徹夜決定。














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