第13話

ぴんぽーん


「早いわね。

 って着替えてきたの?」


超絶ラフな格好にダッサとのお声を頂いたが、制服を壊すかもしれないと思うと激安の服が最もいいと思ったんだけど。

まだ学校指定ジャージじゃなかっただけましと思ってくれた方が良い。


外面を気にしない人間に成ると他人に迷惑をかけないからとオシャレに無頓着になってしまう。

俺も文芸部で人の前に立つことがほぼないので身だしなみはフォーマル以外はどうでもいいと考えている。


女子の評価を下げる元だと自覚はしている。

直さないのは学校はあくまでも勉強する場所という認識の方が強いため。


社会に出て困るところは直す。

オシャレはあくまで自分のため、自分のための優先順位を行うとするのなら、学生の身であるのなら勉強が第一。

学業を第一優先する以上、その他のモノを疎かにするのは当然の出来事である。


「もう少しオシャレをしたらどうなの?」


「人の感性に文句を言う気はありませんが、私は高校生のうちですとオシャレをするお金の余裕を持っていませんので必然とこの金額になりますが何か間違いでもございましたか?」


「文句言うわけじゃないけど。

 それだと異性にモテないわよ。」


「まだ好きな人もいない状態で異性にモテる格好をしてどうにかなるんですか。

 よくある、ざまぁ系小説とかで劇的に変わるとかありますけど俺はああいう話は信じませんし、清潔感は校則に基づきビジネスマンと同等程度には行っている自負はありますが何かご不満でも?」


「ルルさん、彼の行っていることは世間一般的な常識の範囲内での清潔な状態ですし、他人を思う心があるのなら誰もがやっている最低限のことです。

 釣り合うという表現を用いたいのならそれは他所でやりなさい。

 我々は業務を行っているだけなのですから、それ以上の価値観を押し付けるのはマナー違反ですよ。」


誰?

って言うくらいには初めて見る顔ぶれ。

和服を着て大人にした主人公の妹か。


「えっと雄馬君のお母さんですか?」


「ええ、私が雄馬の母にして、あの愚息を異世界に送り込む算段をしていた愚母とでも呼びましょうか。

 あなたを巻き込んでしまい申し訳ありません。

 神が干渉するほどの魔力を持って生まれ、それに対して巻き込まれないように監視を入れていたのにも関わらず一般人であった勇様にご迷惑をおかけして申し訳ありません。」


「ということはこの手紙は既に無駄だったってことか。

 でも、ルルさんには伝えていなかったみたいだけど良かったんですか?

 こういうの大人だけの秘密にしておいた方が良いと思うんですけど。」

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