第116話 ポーターじゃなくてサポーターです
都市ガイアスには乗り合い馬車で向かうことになった。王都に来た時はロビンが用意した馬車だったが、普通の馬車は乗り心地が全然異なっている。
「お尻が痛いな」
「ほほほ、それは修行が足りないからじゃぞ」
前に座っているメジストは平気そうな顔をしていた。
「それはあんたが便利なスキル玉を使ってるからだろ?」
「なっ……なんてことを言う――」
「ばあばのいう通りだね」
メジストのスキルホルダーに鑑定を使うと痛みを感じない理由があった。
《衝撃吸収》
レア度 レア級
説明 衝撃を吸収し痛みを緩和することができる。
「じいじだけずるいよ?」
「私達もお尻が痛いのにさ」
ロンとニアに言われたらメジストも居場所が悪かった。自分だけ良い思いをしているのがそもそも悪い。
「なら交代で使うんじゃ」
スキルホルダーからスキル玉を取り外し俺に渡してきた。
二人に確認して先に使っても良いと言っていたため装着した。
「スキル【衝撃吸収】を吸収しました。 共鳴吸収が発動されます」
突然のアナウンスとともにスキルホルダーにつけたばかりのスキル玉が割れた。
「おい、ウォー――」
「あはは、なぜか壊れちゃ――」
「何やってくれてるんだー!」
名前に吸収がついていたことで共鳴吸収が働き全てを吸収してしまったらしい。
すぐにステータスを確認するとスキル【共鳴吸収】に追加効果が付与された。
《共鳴吸収》
レア度 レジェンド級(ユニークスキル)
説明 ある一定条件でスキルが発動された時に変化したスキル【吸収】の新しい姿。吸収持ち同士を共鳴させ取り込むことが可能。取り込まれる相手は可否を選ぶことができる。
追加効果:衝撃吸収
「お尻が痛くないよ?」
「にいちゃ何かした?」
「スキルを使ってみたんだ」
試しに共鳴吸収を発動させると馬車の中にいた全員のお尻の痛みはなくなった。
今まで共鳴吸収は条件が重なった時にしか発動しなかったが、衝撃吸収が追加されたことで自分の意思でコントロールできるように進化した。
「ウォーはサポーターだな」
メジストの言う通りポーターを通り越してサポーターに近い存在になって来ている。普段から採取担当でもあるからな。
「そろそろ都市ガイアスも――」
「痛っ!?」
「ウォーレンどうしたんだ?」
「いや、お尻が痛たたたた!」
椅子から立っても俺のお尻はなぜか痛かった。さっきよりも数倍も強い痛みにすぐに回復魔法を発動させた。
「わしらの尻の痛みをウォーが庇ってくれていたってことじゃな」
「そういう仕組みだったのか……」
どうやら痛みを共鳴させて、痛みを一つにして俺に吸収されたらしい。共鳴させるまでに時間がかかってしまうがスキルとしては強化された。
「そろそろ着くから降りるわよ」
その後都市ガイアスに着いてもしばらくはお尻を優しく撫でることとなった。
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