第109話 ミスリルダガー

 前回同様向かい合うとスキル玉【結界】を発動した。


「にいちゃの力を見せつけてやれ!」

「お兄ちゃん頑張ってー!」

 応援しているロンとニアに手を振るとローガンは微笑んでいた。


「あなた達本当に仲が良いわね。 でも今回は私も手加減しないわよ」


「俺の力を再確認するってことですね」

 アイテムボックスから今日もらったばかりのミスリルダガーを出して構えた。


 実際しっかり握ったのは今なのに、前から使っていたかのような手の感触がした。


「なによ、あの短剣」

 ローガンにはこの短剣がどう見えているのかわからない。ただ俺は純粋に早くこの短剣がどんなものなか使ってみたい。


「ローナさん行きますね」

 地面を大きく蹴るとローガンに向かって飛び込んだ。


「あれ!?」

 しかし、いつもと違う感覚に俺は戸惑った。だって気づいたら目の前にローガンが立っているのだ。


「ローナさん……?」

 声に反応したのかローガンはすぐ後方に下がった。


「いつからそんなに早くなったのよ!」


「いや、今ローナさんが近づいたんじゃないんですか?」


「何言ってるのよ。 いきなり飛び込んできたのはウォーレンちゃんじゃない!」


「ちょっと待ってください」

 ローガンが言っていることに疑問を持ったが、俺は一度鑑定を使ってステータスを確認することにした。


《ステータス》

[名前] ウォーレン

[種族] 人間/男

[能力値] 力A/SS 魔力A/SS 速度S/SS

[スキル] 証券口座、共鳴吸収、限界突破

習得:短剣術、鑑定、回復魔法、雷属性、氷属性、アイテムボックス

[状態] 困惑


「どういうことだ」

 ステータスに状態が変わるほど能力値に困惑していた。


「ウォーレンちゃんもう良いかしら?」


「あっ、はい!」


「今度はこっちから行くわよ!」

 ローガンはこっちに勢いよく向かってきた。ただ、なぜか以前模擬戦した時よりも遅く見えた。


 拳一つ一つは重く速いはずなのに避けれないほどではなかった。


「もぉー、なんで当たらないのよ」


「これ当たったら死ぬやつじゃないですか!」

 風を切るローガンの拳は触れてもいないのに頬が切れていた。


「でもウォーレンちゃん回復しているじゃないの」

 バレないように回復魔法を同時に発動していたのがどうやらバレたようだ。


「いい加減少しは離れてくださいよ」

 ミスリルダガーを一度切りつけるとローガンは警戒して後ろに下がった。


「何よこれ……」

 ローガンも驚いていたが、俺自身も今の状況についていけていない。ミスリルダガーを一度切りつけただけなのに地面には無数に切り込んだ跡ができていた。


「いやいや、こっちが聞きたいですよ」

 俺は自分の手に握られていた新しい武器を恐ろしく感じた。


 

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