第77話 匠シリーズの仕組み
あれから得たお金は大白金貨2枚は共通資産として生活費に当てることになり、残りの3枚は各々1枚ずつに配分にした。
ロンとニアは自分達の分はいらないと言っていたが、今後何があるかわからないからな。
そして俺は起きた時に置いてあった目の前の武器をどうするか悩んでいた。久しぶりにルドルフの鍛冶屋から配当が届いていたのだ。
「あー、槍と杖かー」
ロンとニアにちょうど良いと思っていたが鑑定を使うと名前からして俺専用の装備だと気づいた。
《匠の槍》
レア度 ★★★★★
説明 あるドワーフが感謝の気持ちとして作った槍。疾風の如く先陣を切れるようと願って作られた。重さは軽く速さを追求したこの槍は持ち主の攻撃速度、移動速度を上げる。
持ち主 なし
《匠の杖》
レア度 ★★★★★
説明 あるドワーフが感謝の気持ちとして作った杖。スキルに頼らなくても自身の力を出して欲しいと願った杖。杖自体にスキル玉を装着させることでスキル玉の回数関係なく自身の魔力を媒介にスキルを発動させることができる。持ち主は魔力増加も付与される。
持ち主 なし
どちらも強力なのは確かだが俺としては短剣の方が動きやすいから使う機会はないのだ。
「匠シリーズって強いけど厄介だ――」
俺は鑑定のある部分も見逃していた。普段は持ち主の部分に俺の名前が書いてあったが今回は特に書いていないのだ。
「これってひょっとして良質の外套と靴の時と同じじゃないか?」
俺は槍と杖に触れないようにそっとベットから立ち上がりロンとニアの元に向かった。
「にいちゃおはよう」
「お兄ちゃんおはよう」
2人はすでに食事を済ませて椅子に座って待っていた。
「お兄ちゃん寝癖がすごいよ」
「ひょっとして今起きたばかりなの?」
いつもは身だしなみを整えてから降りていくが、それどころではないため俺の姿に2人は呆れていた。
「それよりもロンとニア来てくれ!」
「なんかあったの?」
ロンとニアはお互いを見て立ち上がった。
「ほらほら早くいくよ!」
少しめんどくさそうにしていた2人を抱きかかえると俺は部屋に連れて行った。
「うわー、ちゃんと掃除しないと……」
「やっぱり私が面倒を見ないとダメなんだね」
部屋に連れてきた2人はベットに置いてある槍と杖よりも俺の部屋の汚さに視線が向いていた。
「いやいや、そっちじゃなくて……ニアが掃除してくれるのか?」
「お兄ちゃん掃除嫌いだもんね」
俺自身そこまで部屋の汚さは気にしていなかったが、以前は一緒にいることが多かったから綺麗だったしな。
「それよりもオラ達を呼んでどうしたの?」
「ああ、ベットの上を見てきて」
俺は2人を床に下ろすとベットに歩いて行った。
「にいちゃ……」
「お兄ちゃん……」
俺は2人の反応が気になっていた。
「流石に使った紙は早めに捨てた方がいいよ」
ロンは紙を掴み俺に渡してきた。ニアはどこか顔を赤く染めていた。
「あっ……ありがとう」
昨日鼻水が止まらなくてたくさん使ったから山積みにした状態だったな。
「それよりも槍と杖を持ってみて」
俺の言葉に2人は各々槍と杖を持った。
「んー、なんかしっくりするね」
「私もそんな感じがする」
俺は急いで武器を鑑定するとやはり思っていた変化が起きた。
《匠の槍》
レア度 ★★★★★
説明 あるドワーフが感謝の気持ちとして作った槍。疾風の如く先陣を切れるようと願って作られた。重さは軽く速さを追求したこの槍は持ち主の攻撃速度、移動速度を上げる。
持ち主 ロン
《匠の杖》
レア度 ★★★★★
説明 あるドワーフが感謝の気持ちとして作った杖。スキルに頼らなくても自身の力を出して欲しいと願った杖。杖自体にスキル玉を装着させることでスキル玉の回数関係なく自身の魔力を媒介にスキルを発動させることができる。持ち主は魔力増加も付与される。
持ち主 ニア
持ち主の部分がロンとニアの名前に変わっていた。
「うぉーしゃー!」
いつもは手に持って鑑定を使っていたためすでに持ち主が俺となっていたのだろう。
初めてもらった匠の短剣も門番のアドルに聞いたら倒れた時にはすでに手に持っていたと言っていたのを忘れていた。
「よし、じゃあせっかくだから依頼を受けに――」
「にいちゃまだやることがあるよ?」
「へっ!?」
「まず顔を洗ってこないとダメだよ?」
「その間に私達が掃除しておくよ」
2人はため息をつきながらも俺の部屋の掃除を始めていた。
「今すぐ行ってきます」
頼りになる2人に掃除を任せて俺は身だしなみを整えに行った。
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