第66話 勇者
俺達は扉を開けた瞬間驚いて足が止まってしまった。
「よっ! お前達元気にしてたか?」
そこにいたのは最近まで一緒に住んでたロビンだった。
「なぜおっさんがここにいるんだ?」
「魔虫の森の探索依頼で来たんだが?」
「おちゃん勇者だったんだね」
「私はばあばから聞いていたよ?」
確かにローガンとの戦いを間近で見ていたが、俺とロンはロビンが勇者だとは知らなかった。唯一知っていたニアは以前モーリンから聞いていたらしい。
「お久しぶりです」
「ああ、大きくなったな」
エヴァン達は顔見知りだったらしく久しぶりの再会に日常的な会話をしていた。
「じゃあ、今回あった魔虫の森の異変について教えてくれ」
「わかりました。 今回ウォーレン達と魔虫の森へムカンデ、ソルジャーアント、キラーマンティスの討伐依頼に向かったのがきっかけです」
「また大量の討伐依頼を受けたな」
ロビンの声に俺以外の4人がなぜかこっちを見ていた。その様子を見ていたロビンも頷いて納得していた。
「それで魔虫の森に入ると魔物達が共存しているのとほとんどが上位種だったんだ」
俺は説明するエヴァンに合わせて魔物達の討伐証明を取り出した。
「確かに上位種ばかりだな。 それにしても上位種が共存しているのはやっかいだな」
さすが勇者と呼ばれるだけあり、一瞬にして討伐証明が上位種であると見抜いていた。
ロビンはしばらく考えていると心当たりがあるのかさらにいくつかの質問を聞いてきた。
内容としては共存していたのは虫系の魔物のみか、何かを守るような立ち回りをしていたのか、上位種の種類は限られているのかなどだ。
「とりあえず実際に確認しに行くからついてきてくれ」
「わかりました」
俺達は装備を整えると魔虫の森に向かった。今回は無駄な戦闘を避けるために外套を着ているがやはり敵を引きつけるのはエヴァンとプリシラだった。
それを見たロビンはあいつと同じだなと笑っていた。やはり昔からの関わりがあるのだろう。
「どこかおかしくないか?」
「俺もそれを思っていた」
魔虫の森に入ってからしばらく進むと前回と比べて何かがおかしいと感じた。
「お兄ちゃん魔物の死骸って消えるもんなの?」
ニアに言われて俺とエヴァンはやっと気づいた。前回大量に狩った魔物の死骸が無くなっているのだ。
この間から数日しか経っていないため魔物が消えることは処理しない限りよっぽどないのだ。
「確実に言えることは上位種を捕食する何かがいるってことになるが、それは多分違うだろうな」
上位種よりさらに強い魔物がいれば上位種の死骸自体が消える可能性は考えられるが、そうなればこの森の中で住み着く魔物が減る可能性が高くなる。
「とりあえず行ってみないと――」
話していると突如魔物達が襲ってきた。どれも上位種の魔物であったがロビンは一瞬で切り刻んでいた。
「おっさんめちゃくちゃ強かったんだな……」
「あの人王都でも有名な勇者だからな」
実際に俺達でも手こずった魔物を一掃されると驚くことばかりだ。そんな俺は今回も魔石を回収しているとロビンは俺の採取の手際さと魔物から出てくる魔石に驚いていた。
やはり上位種から出てきた魔石は本来ではもっと強い魔物から出てくる魔石と同等レベルらしい。
その後も森の奥に進むと魔物は出てくるが死骸は見当たらなかった。
そんな中ニアとロンが何かに気づいた。
「あそこから魔物が出てきてます」
俺は2人が言った方へ鑑定を使いながら目を向けると見たことない表記が出てきた。
《魔力の湖》
効果 異世界からの遺物により湖に魔力溜まりが発生した湖。遺物から発生される魔力を取り除くことで元の湖に戻すことができる。
どうやら魔物が活性化していたのはこの湖が原因のようだ。
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