第63話 新しいスキル玉
エヴァンの父親が来た次の日、俺はずっと待っていたものが枕元に届いていた。俺はそれを急いで手に取り鑑定を発動させた。
《限界突破》
レア度 レジェンド級
説明 世界「スピークス」に存在するスキル。あらゆる能力の限界を突破させる力。ただし突破させるための条件は異なる。
「キター!」
いつかは来るだろうと思ったスキルが本当に来るとは思いもしなかった。この世界のスキル玉と異なりスピークスのスキル玉にはスキルとして習得させるものがあった。
【吸収】がそれにあたるが、それと同じようなスキルを手に入れるだけで良かった。それがまさか【証券口座】と同じレジェンド級ということはそれだけ強いスキルなんだろう。
俺が新しいスキルが欲しかったのは能力値に原因がある。
《ステータス》
[名前] ウォーレン
[種族] 人間/男
[能力値] 力B/B 魔力C/B 速度B/B
[スキル] 証券口座、吸収、限界突破
習得:短剣術、鑑定、回復魔法、雷属性、氷属性、アイテムボックス
[状態] 寝不足
ポーターから冒険者になって半年以上になるが、魔物倒しているからか経験することが増えたからなのかわからないが俺の能力値はすでに限界まで来ていた。
ロンと森の中を移動していてもロンの方が少し早くなっていると感じた。魔法に関しては完全にニアの方が威力や効果も高い。
だからこそ兄としての威厳を保つためにスキルを求めていた。
「にいちゃ、起きたー?」
朝からワクワクしていたらいつのまにか食事の時間になっていた。
「あー、ごめん。 今降りていくよ」
扉を開けるとロンが立っていた。いつまでも降りてこない俺を心配して呼びに来ていた。
俺はロンと共に食堂に向かうとエヴァンとプリシラも俺を待っていたのかニアと座っていた。
「なんでお前達も一緒なんだ?」
「そんなに一緒にいたらダメなんか?」
「いや、そんなこともないけど珍しいな」
基本的に俺達が起きてくる頃にはエヴァンとプリシラは冒険者ギルドに行っていることが多い。
「ウォーレンさんが起きてこないだけでいつもロンくんとニアちゃんとは朝にお話ししているわよ?」
ただ単純に俺が朝に弱く起きるのが遅いだけだったらしい。そういえば、朝は俺1人で食べていることも多かった気がする。
そもそもロンとニアは何時から起きているのだろうか。
俺はルースに持って来てもらった朝食を食べながらエヴァン達が話していることを聞いていた。
「んー、少し遠いところまで行ってもいい気がするけどね?」
「エヴァンさんが言うならまた隣街付近まで行ってみますか?」
俺は重要な何かを聞いていないような気がするが……。
「私達はテントの準備が必要になるね」
「へへへ、お姉ちゃんと一緒に寝るの楽しみだね」
「もう、ニアちゃんは可愛いんだから!」
ニアもいつのまにかプリシラをお姉ちゃんと呼び仲良さそうに話していた。それにしても一緒に寝るとはどういうことだろう。
「ウォーレンは何の討伐依頼がいいんだ?」
「うん? どういうことだ?」
俺の言葉に俺以外の4人は呆れた顔をしていた。
「おい、お前流石にそれはないぞ?」
「えっ?」
エヴァンの言葉に3人は頷いている。
「あー、えーっと何か……パーティーを組むってやつか!」
「そうだよ! お前絶対忘れてただろ!」
そういえばこの間合同で依頼を受ける話が出ていた。朝起きた時にスキルに喜びすぎて俺はすっかり忘れていたのだ。
「討伐依頼書を持ってきたから一通り見てくれ」
手渡されたのは5枚の討伐依頼書だった。
──────────────────
1.アウルべアーの討伐
2.ムカンデの討伐
3.ソルジャーアントの討伐
4.キラーマンティスの討伐
5.キラープラントの討伐
──────────────────
「んー、どれも戦ったことはないからな……」
魔物としては以前アドルの勇者パーティーの時に遭遇しているが俺自身が戦ったことはない。
アウルべアーに関しては夜行性だし、その他は見た目的に女性陣は……大丈夫のようだ。
むしろ後半2つに関しては女性陣の希望らしい。
「じゃあ、アウルべアー以外の魔物を全部受けようか!」
どの魔物も森に生息しているため俺はアウルべアー以外の全部の魔物を討伐することにした。どの魔物の魔石も気になるからな。
「ほら、言ったとおりだよ」
「ロンの言う通りだな……」
聞いてきたのは向こうなのになぜかまた呆れたような顔をしていた。
「お兄ちゃん……本当に一度に行くの?」
「えっ、だってそういうもんだろう?」
「本当に常識を知らないようだな」
「はぁー」
俺以外の4人はため息をついていた。
アドルの勇者パーティーでは常識だった討伐依頼の連続受注は普通の冒険者ではやらないことだと俺は後で知ることとなった。
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