第26話 プレゼント
初めての川遊び……いや、ポーターパーティーの依頼は成功に終わった。あの後メジストに持ってたマンドラゴラは見たこともないほど状態が良いと言っていた。
孫達だから優しく言っているのかと思ったら本当に質が良いらしい。
そもそもマンドラゴラは抜いた瞬間に叫ぶため細かく刻まれて持ってくることが多いらしい。
引っこ抜かれた瞬間に刻まれるとは不運なマンドラゴラ達。
ちなみにマンドラゴラはスキル玉を作るために必要な材料のため質の良いマンドラゴラは高く売ることができた。
ちゃんとお金は三等分にして、ロンとニアにも渡したが必要な分以外は俺が預かることとなった。
「あっ、忘れ物した」
俺達は初依頼を終えて宿屋に帰ろうとするとロンが忘れ物をしたと言ってきた。
「一緒に取りに行こうか?」
「大丈夫! ニアと行ってくる」
「えっ? 私?」
若干強制的にニアは引っ張られる形でメジストの錬金術店に戻って行った。
1人になった俺はせっかくの初依頼の記念にプレゼントを用意することにした。
「んー、プレゼントって何がいい……あっ、ルースさーん!」
俺が悩んでいると買い物途中なのか宿屋で働く女性のルースさんがいた。彼女は初めて子供達を連れてきた時も頼りになった近所のお母さんみたいな存在だ。
ただ、ロビンといる時はどこか視線が厳しくなるのは今も謎だ。
「ウォーくんどうしたの?」
「プレゼントを買おうかと思いまして」
俺はちょっと恥ずかしさもあり照れるとルースさんは握り拳を作っていた。
「プププ……推し同士がついにくっつ──」
「何が良いと思いますか?」
俺は単純に気になって聞いてみることにした。
「向こうならネクタイとか日用品がいいだろうけど何が……」
彼女はぶつぶつと独り言を言っていた。
「ネクタイってなんですか?」
「ああ、それは気にしなくてもいいわ! 成人男性が喜ぶものよね? ふふふ、もうウォーレンくんでいいんじゃないかしら?」
「成人男性ですか? あげるのはロンとニアですよ?」
俺は何か勘違いさせていたようだ。ロンとニアにあげるといった瞬間、少し彼女は落ち込んでいた。
「ロンとニアにあげるなら子供らしく光った物とかはどうかしら?」
「ああ、ならブローチとか良いかもしれないですね。 ありがとうございます」
俺は彼女にお礼を伝えると彼女はまた何かぶつぶつと言っていた。
イケオジと年下攻めも捨てがたいとはなんのことだろうか。
俺はその後お揃いのブローチを買って宿屋に戻ると既にロアとニアは帰って来ていた。
「お兄ちゃんどこ行っていたの?」
「ああ、少し買い物に行ってたよ」
「にいちゃ! にいちゃ!」
どこか2人はウキウキしているような印象だった。そんなにご飯が待ち遠しいのだろうか。最近よく食べるようになって少しずつ大きくなってきているからな。
俺達はしばらくゆっくり過ごすと食事の準備ができたと呼ばれ食堂に向かった。そこには普段よりも豪華な食事が置いてあった。
「今日はあんた達の初依頼だろ? 少し豪華にしておいたわよ」
なんと宿屋の店主は僕達を祝うために普段よりも豪華な食事を用意していたらしい。
「ちょ、ロンよだれが垂れてきてるよ」
ロンは待ち切れないのか口元からよだれが垂れていた。2人とも耳と尻尾が立って今にも食べたい様子だった。
俺達は先に挨拶の祈りをして食べることにした。やはり2人は初の依頼でお腹が空いていたのか食べる速度が早かった。
「あっ、そういえば2人にプレゼントがあるんだ」
ある程度食べ終わった2人に俺はポケットからブローチを取り出した。
「せっかくだからみんなでお揃いの物をつけても良いかと思ってね?」
俺は自分の胸元に付いているブローチを2人に見せると大喜びをしていた。
俺は2人の胸元につけるとお互いに自慢しあっていた。これだけ喜んでくれたら買ったかいがあった。
「実はオラ達からもプレゼントがあるんだ!」
俺は2人が何を言っているのか分からず頭が追いついていなかった。
「オラとニアからのプレゼント」
俺は言われた通りに手を出すと、そこには風属性魔法が入ったスキル玉が置かれていた。
「おい、これって宝物じゃ──」
「今日じいじに頼んで買ってきた」
「前じいじからもらった時にお兄ちゃんだけ貰えなくて悲しそうな顔をしていたからさ……」
どうやらこの間のことを言っているらしい。単純にスキル玉は使えるためいいなーとは思ったが顔に出ていたようだ。
「ロン、ニアありがとう」
俺はロンとニアに抱きついた。ロンはどこか照れくさそうにしているが耳と尻尾は伸ばし、ニアは撫でて欲しいのか頭を突き出していた。
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