第23話 子供の魅力
俺は一度子供達の様子を見るために宿屋に帰るとロンとニアは玄関で待っていた。なんというか獣人ってこんなに動物みたいなんだろうか。
「にいちゃ!」
「お兄ちゃん!」
2人は俺が帰ってきたことに気づくと尻尾を立たせて俺に近づいてきた。
「おい、お前がいなかったとき大変だったぞ」
その様子を後ろで見ていたロビンは俺が居ない時のことを話しだした。
2人は目を覚ましたら俺がいないことに気づき大泣きし、何をやっても泣き止まなかったらしい。
その後静かになったと思ったら泣き疲れて寝るを何度も繰り返し最終的には帰ってくるまで玄関で待っていた。
「明日からはこいつらも連れて行けよ」
明日からは常に行動を共にしないといけなくなった。今も帰ってから2人は離れようとせずに俺にべったりとしている。
そのためメジストの錬金術店にも一緒に連れていくこととなった。
「メジストさーん!」
俺は普段通りに声をかけると奥の工房にいたのかめんどくさそうに出てきた。
「今日も風属性のませ……いつ子供を産んだんだ!?」
メジストは俺の足元にいた2人を見て驚いていた。そりゃー、昨日まで1人だったのに急に子供を連れてきたら俺もびっくりするだろう。
「色々訳があってですね……」
「お前はそんなに節操なしだった──」
「それは違います! 俺はまだ……」
「まだ何だね? ウォーよ」
俺は良からぬことを言いそうになり口を閉じた。それをメジストはニヤニヤと笑っていた。
「2人とも挨拶して」
俺は逃げるようにロンとニアに挨拶するように声をかけた。
「ロンはロンだ!」
「私はニアです」
うん、どちらも個性があって可愛い。それにしても妹のニアの方が大人ぽいのはやはり女の子だからだろうか。
「じいじの名前は?」
「じいじだと……」
俺はロンが言ってはいけないことを言ってしまったと思ったがどうやら違うようだ。
「おー、ロンとニアって言うのか!」
メジストはカウンターから飛び越えると子供達を抱きかかえていた。どうやらメジストは獣人に抵抗はなく子供好きらしい。
「わしとモーリンには子供ができなかったからな……」
「じいじ大丈夫?」
どこか寂しそうな顔をしたメジストだったが、ロンとニアに呼ばれてすぐにご機嫌になっていた。
「それで魔石はどれじゃ?」
「実は違う魔石を持ってきました」
「なに!?」
俺はオークから手に入れた魔石を取り出すとメジストは止まっていた。
「また珍しい属性なのじゃ」
メジストは魔石を手に取ると様々な角度で見ていた。
「どうですか?」
琥珀色の魔石とは違うがオークの魔石もホーンラビットのように高値になると思っている。ただ、属性がわからない限りはメジストも買い取りにくい可能性もあった。
「今回だけは一つ5000Gで買い取るのじゃ! またスキル玉で何ができるかによっては買取金額を変更するので楽しみにしておくといい」
初回ということもありホーンラビットの魔石よりも1000G高く買い取ってもらった。
「じいじ! 魔石ってなに?」
子供達はキラキラとした魔石に興味津々のようだ。
「魔石は生活に必要な元が入っているのじゃ! 火をつけたり電気をつけたりするのも全ては魔石のおかげなのじゃ」
「ほぉーじいじは物知りだね」
子供達に褒められたメジストはデレデレとしていた。
「ウォーレンはその中でも良い魔石を持ってきてくれるからな。 それで魔法を強くしたりスキル玉を作ることができるんじゃ」
俺が持ってくる魔石は普通の魔石とは異なるため、しっかりと説明しておかないと魔石=値段が高いと覚えてしまう。
特に見た目に関してはわかりやすくメジストは普通の魔石と俺が持ってきた魔石を比較して説明をしていた。
色が混ざって何色かわからないものではなく、はっきりと色がついていればわかりやすいはずだ。
「じいじすごいね!」
「そうじゃろ!」
メジストの機嫌は絶好調になっていた。もはや俺は隣で笑うしかなかった。
「ロンもスキル玉欲しいな……」
「ニアも欲しい!」
「うっ……」
子供のキラキラした瞳にメジストは勝てなかったのか、工房から風属性のスキル玉を持ってきた。
「大事に使うんじゃぞ」
「じいじありがとう」
「じいじ大好き」
子供達はスキル玉を受け取ると嬉しそうに微笑んでいた。子供にとっては大切な宝物になるだろう。いや、普通の冒険者に取っても大事な宝物だ。
「じゃあ、また魔石を持って──」
「次もこやつらを連れてくるんじゃぞ」
「わかりました」
どうやらメジストは相当ロンとニアのことを好いているようだった。それにしても1つだけでも値段が高いスキル玉を2人に持たせて俺は若干ハラハラとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます