第18話 新しいお店

 今回は冒険者ギルドで依頼を受けずに魔物の討伐に向かった。そもそもあの受け付けでは魔物の討伐依頼は拒否されるだろう。


 俺は森の中に入るとまずは証券口座を開いた。


 なぜ森の中でスキルを発動させるのかって?


 だって今大金をもらったばっかりじゃないですか。俺は木の後ろに隠れるように腰掛け証券口座を操作した。


「ルドルフの鍛冶屋が高くなってるぞ!」

 初めは成行で1000Gだったのが前回は1500Gにまで上がっており、今回は4000Gになっていた。また、値段に合わせてか上下に動いていた線がさらに飛び越えるように上に大きく動いていたのだ。


「この線は値段を表していたのか」

 俺は線をなぞるように触ると詳細に値段が見えるのに気づいた。


「これじゃあ前にたくさん買っておいた方がよかったよな」

 俺はそのまま線をなぞっていると突然横から魔物が出てきた。


「おい、マヒロそっちに行ったぞー!」


「わかった」

 そこには関わりたくない人ベスト2位にあたる年下の冒険者達がいた。


 匠の外套を着ているため気付かれてはいないが、彼らもまだ戻らずに都市ガイアスで生活をしているのだろう。


 それにしても冒険者だから魔物を倒すのは問題ないが倒し方が残酷だった。追い込んで剣で斬るとまたわざと逃してそのまま後ろから斬ってを繰り返していたのだ。


 普段はもう1人一緒にいる女の子が止めているのだろうか。彼らは笑いながら魔物を殺していた。


 しばらくすると彼らは倒した魔物から魔石を採取することなく消えて行った。明らかに魔物の命を遊びの道具として魔物を狩っていたのだろう。


「あいつら最悪だな」

 俺はそんな姿を木の影からずっと覗いていたのだ。


 近くに置いてあるのは森の中で放置された魔物の遺体。


「これってチャンスじゃないのか?」

 俺は魔物に近づき短剣で魔石を取り出した。せっかく魔物が死んでいるのであれば俺が魔石を取っても問題ないはずだ。


 魔物から出てきたのは一般的な魔石だった。ただ魔力の純度は濃いのだろうか色は濁ってはおらず綺麗だった。


「結局匠の短剣であれば倒さなくても問題ないのか?」

 いつも通り光の粒子が飛んでいたため問題はないのだろう。ただ、同じ魔物で何度か確認しないとなんとも言えなかった。


「さぁ、続きを……あれ?」

 俺は気を取り直してスキルの確認をしようと思ったら証券口座内の画面がいつもと表示が変わっていた。


 そこにはルドルフの鍛冶屋ではなく""と書かれていた。


「スキル屋ってスキル玉が貰えるのか?」

 俺は問答無用で購入しようとするが、成行を押しても交換できないのだ。


「やっぱり買えな……800Sってなんだ?」

 普段であれば値段の後にはGと表示されているが今回は800Sと書いてあった。


 俺はそのSと書かれた部分を押すと"為替レート1G→0.8S"と"交換しますか?"の二文が表示されていた。


 俺は期待を込めて白金貨2枚分の20,000Gを交換すると16,000Sと表示が切り替わりブリジットのスキル屋を購入することができた。


 ちなみにブリジットのスキル屋は線が下方向に動いた後に停滞しているようだった。そのため保有数量は20となった。


「これでスキル玉がたくさん手に入れば俺は強くなるぞ」

 俺は今後のことを思いながら証券口座を閉じて魔物を探すことにした。


「あいつぶつぶつ言って頭大丈夫か?」

 その後聞いた話では俺の後ろをおっさんであるロビンが監視していたのをその時はまだ知らなかった。





 俺は森の中で下位の魔物であるホーンラビットを倒した。俺の膝ぐらいの体の大きさで、獰猛な性格ではあるが命の危険を感じると逃げ出す魔物なのだ。


 ちなみに年下の冒険者が倒していたのもこのホーンラビットだった。


 それを俺は今日2体倒すことができたのだ。冒険者としてはまだまだだが魔物を倒せるようになっただけ褒めてほしい。


「おっ、魔石が緑色だ」

 さっきの魔石は様々な色が混ざりあったような感じで黒か青かわからない色をしていた。


「やっぱり短剣で仕留めた方が魔石は変化していくのか」

 今回手に入れたホーンラビットの魔石は純度が高い緑色の魔石だった。3つ比べると俺が倒した2つの魔石はほぼ同じ見た目をしていたが、年下の冒険者が倒した魔石は濁ってはいないが何色かわからなかった。


 俺はその後魔石を買い取って貰うためにメジストの錬金術店に向かうとメジストは魔石を見て興奮が止まらない様子だった。


 俺はまた大金貨7枚という大金を手に入れた。

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