第5話 思い出のアルバム、危険な放課後〜転校先は不良(ヤンキー)校!?

ある日の事。


私は部屋の整理をしていた時の事だった。



「うわぁ〜、アルバムだーー」



私はアルバムを開く。

アルバムは幼い頃の写真だった。



「懐かしーー」



アルバムに浸っていると、途中で、アレ?というのがあった。


一人の男の子と仲良く写ってる写真だ。



「…隣の男の子…誰だろう?」



私の中に、全く記憶がない。


何枚かあったものの謎は深まるばかりだった。




「ママーー」

「なぁに?」



私はアルバムを手に母親の元へと行く。




「ねえ、このアルバムの写真なんだけど…」

「うん」



私は見せた。



「あら〜、懐かしいわね~」


「ねえ、この隣の男の子って…誰?イトコ?親戚関係の子?」


「これはね…おじいちゃんの教え子よ」

「教え子?男の子いたっけ?」


「滅多に来る事なかったから。と、いうより確か時間とか曜日はバラバラだったからね。たまたま、一緒になって写真を撮ったはずよ」


「…そうなんだ…名前とかは?」


「名前ねー…誰だったかしら?」


「…そっか…分かった。ありがとう」




私は部屋に戻る。




―――数日後、授業中――――



私はぼんやりしていた。



《誰だろう?》



なんだかんだいって凄く気になっていた。


年齢は、そう変わらない気がする。


年上?年下?同級生?


そう年齢的には


1つ、2つくらいの差じゃないだろうか?




「………………」




「……ら…峅…棚峅っ!棚峅 希美っ!!」


「は、はい!」


「お前は、私の授業が、そんなにつまらないのか?」


「いや…そういう訳では…」


「放課後、居残りだ!」


「えっ…?」



「……………」



《居眠りしていた訳じゃないのに…居残りって…》





――――放課後――――




私は一人教室にいた。


3人は、私を差し置いて帰ってしまった。


そして、先生が現れる。




「棚峅、お前には、やって欲しい事があるんだよ。先生の後について来てくれ」



「……?…はい…」



《レポートとかプリントみたいな感じじゃないのかな》




先生の授業の担当は、社会。


色々と範囲が幅広いジャンルだし、何かしら出来るはずだけど……


そして、向かった先は、倉庫だ。




「先に入りなさい!」



先に入るように促され私は中に入る。



辺りを見渡すと、今も尚、授業で使用されていると思われる新品同様の教材や、ホコリを被って年月を思わせる物など、全部ひっくるめて沢山ある。




《もしかして…雑用!?》




「あのー…もしかして…ここの片付け…」


と、尋ね言い掛ける私の背後から突然に抱きしめられる。



ビクッ



「や…」



口を押さえられ、ぎゅうっと抱きしめられた。




《嘘…》




本来なら大声出したりとか、上手く交わす事が出来るはずが何故か出来ない。


恐怖を感じた瞬間、声というものは出せないと言うのはこの事だろうか?



知り合いに、


“襲われそうになって” とか


“チカンにあって” とか


聞いた事があるけど、


その時に“声を出したくても出なくて” 


なんて信じられない事を耳にした事があるけど……



まあ、人それぞれだろうけど、そんな私は声が出なかった。


武術も嗜(たしな)む程の私ですら、今回に限って手が出せない……と、いうより、体が言うことを利かないのだ



気付けば、制服のボタンを外され、スカートの下から手が伸びてくる。


ビクッ


《い、いや…やだ…》



「よーし…良い子だ。授業を聞かない子には罰を与えなきゃな?初めてじゃないんだろう?」




首を左右に振るのが、精一杯だった。




《誰か…助けて…》



「初めてなのか?だったら可愛がってやるよ」


耳元で囁かれる。




制服が脱がされ、シャツのボタンが手にかかる。


何個かボタンを外されシャツがずらされ肌が露わになり、首筋から背中に掛けて唇が這う。


再びスカートの下から手が入ってきては、下着の中に、大きい手が入り私は恐怖で下に崩れ落ちると、ぐるりと視界が変わり押さえつけられた。


「良い眺めだねーー。初めての女程、新鮮味を感じるぞ。さあ、始めようか。棚峅。お前は可愛い生徒だ。優しくしてあげるよ。まだまだこれから。今から気持ち良くなるからな!」




《や、やだ…》


《初めての相手が、こんな形になるなんて絶対にやだ!》




私は頑張って力を振り絞り、相手の股間を蹴った。




「…っ…」





今まで一番痛かったんじゃないだろうか?




《もしかして…女子生徒がいなくなったのは奴のせいなんじゃ…》




私は蹲(うずくま)っている先生を見つめ、そこから教室に急いだ。


教室に戻ると、教室には私一人しかいないはずで、帰ったと思われた、いつものメンバーがいた。



「………………」



「…お前…その格好…」と、蒼介。


「…どないしたん?」と、木戸君。


「…希美…ちゃん…?」




私は3人の顔を見て、その場に崩れ落ちるのと同時に涙が溢れた。




「……………」



「何かされたのか?」




すると――――



「棚峅っ!!」



ビクッ


「棚峅 希美っ!お前っ!」



私は逃げようと立ち上がろうとするが立ち上がれない。




「何、勝手な行動をっ!」



グイッと肩を掴まれ振り返らせる。




「……………」




「誰が逃げて良いと言ったっ!?」



そう言うと、手首を掴まれ無理矢理、立たされる。




「ほらっ!行くぞっ!」



私は繋がれた犬が散歩を嫌がるような仕草でその場から動こうとせず、首を何度も左右にふる。




「棚峅っ!」




誰かが私の、もう片方の手首を掴み割って入るように引き離す。




「どういう事ですか~?先生」と、吉良君。


「お、お前ら…い、いたのか…!?げ、下校時間はとっくに…」



「…先生が強姦(レイプ)事件か!?」と、木戸君。



「な、何言って…」



「じゃあ、彼女の格好、どう説明するんですか?」


蒼介が尋ねた。




「こ、これは!か、彼女から誘惑してきたんだよ!」




《違うっ!!私はそんな事してない…》



「そいつが、そういう事するわけねーだろっ!?」


蒼介が言った。



「じゃあ、その証拠はあるのか?」



「証拠なんてなくても、彼女の格好と怯えているのが物語ってるんちゃう?」と、木戸君。



「こ、こんなの演技だ!か、彼女は嘘ついてるんだ!」



「……………」



「…どんだけの自信だよ…」


蒼介ポツリと言った。




ガンッ

ドアを思い切り叩く音が放課後の教室内に響き渡る。



「先生こそ、演技がお上手ですね~」


吉良君だ。



「…キレたで…」


と、木戸君がボソッと言ったのが聞こえた。



「…だな…」と、蒼介。



「……………………」



「でも先生…俺達、彼女の事を誰よりも知っているから〜お見通しですよ〜…先生が嘘ついている事くらい」



「なっ!」


「彼女は俺達が連れて帰ります!帰ろう!希美ちゃん!」



私は頷く。



「希美、荷物はこれだけか?」と、蒼介。



私は見て確認し頷いた。



「ほな、行こか?」



私は頷いた。




「こらっ!待ちなさいっ!」


「先生ーー、どうかされたんですかーー?」



「えっ…?あ、いや…」


「お前ら何かしたのか?」



「…したんじゃなくて…されたの間違いですよ?先生。……生徒の一人がな…」と、蒼介。


「何かしたのは、そっちだと思いますよ?」


「そうそう」



「…棚峅?お前もいたのか?」

「…はい…」

「女の子なんだから早く帰らないと危ないぞ?」


「…もう遅いですよ?」と、吉良君。


「遅い?」



私はまだ制服が乱れている状態だった為、そのまま出る事にした。



「な、何だ!?その格好は!!」



先生を指差した。



「先生に…され…ました…」


「な、何を言ってるんだ!そっちから誘惑してきたんろう!?」



「希美は、そんな事しねーよ!」と、蒼介。


「ちゅーか、生徒が先生を誘惑するってありえへん!」と、木戸君。


「転校生であり、しかも女の子ですよ?一部始終は見ていませんが、彼女に対して強い口調で無理矢理連れて行こうとしているのは俺達3人が見てますけど?それでも彼女が誘惑したとでも?」



「コイツ、すっげー怯えてんの、みんな見てますよ?」


「証言があんのに、それでも疑うんですか?」




「………………」



「先生、どういう事ですか?」


「わ、私は知りませんよ」



そう言うと逃げるように去り始める。




「先生っ!待って下さい!」



「…先生、俺達、真面目とかやあらへん問題児かもしれへん。せやけど、こんな事する大人とか学校にいる所で授業受けたくありませんよ」と、木戸君。


「友達や仲間がこんな目に遭ってんのに…」と、蒼介。


「今迄も、こんな事あったんじゃないんですか?確認すべきだと思います。失礼します」と、吉良君。




私達は帰る。



私は一先ずトイレで着替えた。




「歩ける?」と、 吉良君。


「…うん…」


「なんなら、みんなで交代して、おんぶしたろか?」


と、木戸君。



「えっ…?だ、大丈夫だよ!」



微かに微笑む。



「…逆に…恥ずかしい…かな…?」

「ええんちゃう?目立つでーー」

「だから恥ずかしいんだろ!?」



バシッと木戸君を蒼介が打つ。




「ったあ!何すんねん!」



私は笑った。




みんながいなかったら


私は こうして いられなかっただろう


教室に 戻って来た時


帰ったと思われるみんながいた時


安心したかのように


涙が溢れた






「…みんな…ごめんね……それから…ありがとう…」



「何で謝るんだ!」と、蒼介。


「そうだよ~」と、吉良君。


「そうそう」






私達の間に


恋愛はうまれる?


今は友達でも


仲間でも


結局 男と女なんだよね?




――――でも――――




男と女の友情も


存在するんだよね














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