第11話 前兆〜転校先は不良(ヤンキー)校!?
「最近、妙に警察(さつ)多くねーか?」と、蒼介。
「そうだね〜」
「何か事件あった感じやないしな?」
その時だ。
「よー、蒼介」
「うわっ!出たよ!ゴリラ野郎!」
「ゴリラじゃねーよ!あっ!希美ちゃん♪」
私に気付いては軽く手を振る。
「どうも」
どうやら名前を覚えられたようだ。
そんな私は、前に相手の名前を聞きそびれたまま今を至っている。
だから私は、ゴリラさんとしか知らない。
「あっ!そうそう!それより蒼介。大きい声では言えねーけど」
「何だよ」
「アイツ…脱獄したらしいぞ…」
「…アイツ?」
「南波 了(なんば さとる)」
ガタッ
蒼介が席を立つ。
そんな中、二人の顔色も変わった。
「……………」
《何か…ヤバイ雰囲気?》
「あ…あのーー…私、話しが見えないんですけど…」
「当たり前だろ?」
「私…聞いても良いのかな?」
「むしろ、聞けっ!」
「………………」
「つーか…お前にも関係しないとも言えねーんだよ!」
「そうだね~」
「お前が危険な目に遭う可能性があるんや」
「………………」
そして、彼の情報を聞いた。
南波 了(なんば さとる)19歳。
少年犯罪では、名前を知らない人がいないと言えるそうだ。
窃盗・暴行や強姦などetc.
犯罪の常習犯と言われているそうだ。
強姦なんて、何人かを妊娠させたまで言われている。
正直怖いと思った。
不良グループでは有名で仲間に入らないか?と過去に声がかかったらしい。
「………………」
「…脱獄したとなると…希美ちゃん…危険なんちゃう?一人で帰らせるわけには行かへんのとちゃうか?」
「送迎しようか〜?」
「そうだな?」
「でも…送迎付きとはいえ、一緒にいる時にもしかすると危険な目に遭うかもしれないけど〜」
「一人で不安と闘うよりも一人でも一緒にいる人が居た方が良いよ」
「それもそうだな?」
「じゃあ、日替わりで送迎するよ〜」
「お願いします」
「俺も送迎するよーー。希美ちゃん」
「てめーは良いんだよ!ゴリラ野郎!つーか、まだいたのかよ!」
「情報教えたのは俺だ!クソ蒼介!」
「あ?何だと!?」
相変わらず、二人の喧嘩が始まった。
それからというもの、みんなの日替わり送迎が始まる
今の所は問題ないけど――――
〜 蒼介 Side 〜
「蒼介ちゃん」
ゲーセンでゲームしている最中、声を掛けられた。
「あ、悪ぃ!今、手が離せ…」
振り向く視線の先には……
「なっ…!」
ドスッ
お腹を殴られた。
「…っ…マジ…かょ……」
俺は、そのまま気絶した。
「わりぃな。蒼介ちゃん…。おいっ!連れてけ!」
「はい!」
そんな事が起きていたなんて知るよしもなく―――
次の日。
「匠!!匠 蒼介!!」
「……………」
「匠 蒼介は休みか?」
「………………」
「お前ら、何か聞いてないか?」
先生が尋ねた。
「…勇ちゃん何か聞いた?」と、勇真君。
「いや」
「希美ちゃんは?」
「ううん」
「お前らにも連絡なしか…珍しいな。他の誰か見かけたでも良いから教えてくれ」
「先生も珍しいと思うやろな…アイツが連絡しないなんて珍しいからな」
「連絡出来ない事情があるとか…?ていうより…出来ない…?」
優人君の表情や口調が変わった。
最近、この姿を良く見かける。
もちろん、優人君だけじゃなく、勇真君もそうだ。
「動き出してる可能性あるな」
「希美ちゃんは俺達二人で送迎する方が良いね」
「そうやな」
「…その前に連絡は良いの?」
「…連絡した所で出れないなら意味ないよ?希美ちゃん」
「…そうだけど…」
「ごめんね〜…最近、ピリピリしてて、申し訳ないって思うんだけど…気悪くしたらゴメンネ」
凄く申し訳なさそうに言う優人君。
確かに優人君は、ピリピリしている。
言い方にトゲがあるのは、私も気付いてる。
「…ううん…」
ポンポンと頭をされる。
「大丈夫か?希美ちゃん」
「うん…」
こうして優しく声を掛けてくれる勇真君。
「この事件が解決したら元の生活に戻れるはずだから我慢してな」
「…うん…」
《優し過ぎるよ……勇真君…》
「まあ、俺が言える立場やないねんけどな」
私は首を左右に振る。
「お前達」
ホームルームが終わり、先生が席にきた。
「余り大きい声では話せないが、今、職員会議でも話しが出ているが、ある人物が不良グループの仲間を集めているというのは本当なのか?」
「…違うとは言い切れないです」と、吉良君。
「そうか……会議の内密情報だが脱獄犯らしいな?不良では、有名な名の知れた相手なんだろう?」
「…そうですね」
「先生達も情報が入ってんねんな?」
「ああ。受け持つ生徒も様々だが、知らない先生は少なくないだろう?当時は有名だったからな。その有名な犯罪者が脱獄したとなると……匠が無事なら良いが、お前らも気を付けて行動するんだぞ。特に、棚峅」
「は、はい」
「お前は女の子なんだから気を付けるんだぞ。二人共、棚峅を頼んだぞ!」
「はい」
そして、その日は、送ってもらう事にした。
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