謎解きはn回死んでから
海夏世もみじ
プロローグ
〝名探偵〟。
それは難解な事件が起こった現場に颯爽と現れ、手に入れた証拠などを事実と照らし合わせて推理を行い解決へと導く存在。
そのためには、推理力や記憶力、様々なものが必要になって来る。
僕は、世界で名探偵と謳われている存在だ。しかし、実際にはなんの力もないただの一般人なんだ。
探偵は事件を解決する存在。だから、事件現場に重要な役割なんだ。
けど僕は……
「――ゲホッ……あぁ……」
現在、僕は事件現場にて、犯人に後ろから刺されて床に倒れ込んでいる状態だ。血がダラダラと溢れ出て、意識がどんどんフェイドアウトしてゆく。
僕は名探偵なんかに収まる器じゃないんだ。
推理力なんか一般人程度だし、こうやってすぐに死ぬ。だったらなんで名探偵って言われているかって? それは、僕が生まれつき持っている能力もとい、呪いがあるおかげだ。
「…………はぁ、戻った」
意識が完全に途切れると、僕は事件現場にちょうど到着したところまで戻った。
僕が生まれつき持っている巻きこまれ体質と、〝死に戻り〟の能力。厄介なことに、事件を解決しないと何回も死ぬという、意味不明な設定が付属されている。
「……これで何回目だ……」
僕は一般人。だから、一回では解けない。何度も何度も繰り返してようやく理解し、事件を解いているのだ。
これを呪いと言わなかったら、何というのなだろうか。誰もが呪いというだろう。
「行くかぁ……」
今日も今日とて、死に戻って頭がパンクになりそうになるが、謎解きをする。生まれつきの
例え10回、100回、数えきれないn回となっても、僕は謎を解くまで死ぬんだ。
――〝謎解きは、n回死んでから〟だ。
[後書き]
初のミステリー作品なので、温かい目で見ていただけると幸いです。m(_ _)m
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