天界に届く塔を造ったけど迷宮の神とやらにダンジョン化された!?そんなの認めねぇ!パーティー組んで攻略してやる!
神木駿
第一話 神の怠惰
天空の塔。それは人間が造る天界に届きし建造物。
だが、神の領域を侵そうとするものは何人たりとも許されない。
「え?なにこれ?なんか雲の下からなんか出てきてるんだけど」
タケノコのように生えてきているものを軽くたたくと、ゴンゴンと鈍い音がする。
「もしかしてこれ建物?」
神は雲の下をのぞく。
人間界を見ると、この塔は地上から伸びているのが分かった。
「え?えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?」
神の目は飛び出し、地上にも聞こえるほどの大声で叫んだ。
「ちょっ、え?破壊の神様!起きてください!これどうなってんですか?!」
迷宮の神は破壊の神をたたき起こした。
「ん?なんだ。われの眠りを邪魔するとはいい度胸しているではないか」
ムキムキでいかにもすべてを破壊しそうな神は、眠りを妨げられて不機嫌になっていた。
「いい度胸とか言ってる場合じゃないですよ。これどうするんですか?!」
「何をそんなに慌てているのだ?」
破壊の神は迷宮の神が指さしている雲の下をのぞく。
「えっ?」
破壊の神はあまりの衝撃に目を大きく開き真顔になってしまった。
「これ…なに?」
破壊の神は迷宮の神に聞いた。
「なにって私にもわかりませんよ!ただ一つ言えるのは地上からこの塔が伸びているってことです!」
迷宮の神は塔を指差して更に続ける。
「つまり、人間がこれを作ったってことになります!人間がこういうの作ったら壊すのってあなたの仕事じゃないんですか?!」
破壊の神は迷宮の神の圧力に少したじろいだ。
「いや確かにそうだが…やつらがこれつくりはじめたとき人力で石一個ずつ積んでたのだぞ。ここに届くまでは二千年以上かかると思って軽く昼寝してたのだ。半分過ぎたぐらいで思いっきり壊してやろうかと思っていたのだ」
破壊の神は手で空を切る。
「だがまさかたったの五百年で天界に届いてしまうとはやつらめ一体どんな手を使ったのだ。人間の文明恐るべし」
破壊の神は人間に感心してしまっていた。
「そんな悠長なこと言ってる場合じゃないですよ!人間がここに踏み込んでくる前にさっさと壊しちゃってください」
迷宮の神は人間が作った塔を指さし破壊の神に指示した。
「うむ…そうしたいのはやまやまなんだが…」
「なんですか?あなた破壊の神でしょう!全部壊しちゃってくださいよ!」
破壊の神はどうにも煮え切らない様子だった。
迷宮の神は破壊の神に詰め寄り
「人間が作ったものを壊せるのはあなたしかいないんですよ!それとも何か壊せない理由でもあるんですか?」
破壊の神は塔を見ながらモジモジして言った。
「この塔…美しすぎてわれには破壊することなどできんのだ」
「は?」
迷宮の神は目の前にいる神が何を言っているのか理解が出来なかった。
ムキムキでひげ面、上半身裸のおっさんが体を左右にくねくねと気持ち悪い動きをしながら、美しいという言葉を口にした。
迷宮の神の思考回路は気持ち悪いという感情と、何言ってるんだこいつという二つで埋め尽くされる。
迷宮の神の頭は完全にショートしていた。
放心状態の迷宮の神をよそに破壊の神は、破壊以外で人間が天界に入れ無くする方法を考えていた。
「われは美しい完成品を破壊することは絶対にできんからのう…」
破壊の神は頭を抱える。
「そうじゃ!要は人間が天界に登れなくすればよいのだろう?ならば迷宮の神、貴様の出番ではないか!」
名案を思いついた破壊の神は迷宮の神を指差す。
「え?わたしですか?」
迷宮の神は目を丸くして言った。
「そう、貴様は迷宮の神どんな場所でも迷宮化、つまりダンジョン化することが出来る」
「えぇそうですが。それとこれがどんな関係があるのですか?」
「ならばこの塔もダンジョン化させてしまえば人間どもは天界に入ってくることは出来んじゃろう」
破壊の神は自慢げに言った。
「え?ちょ、待ってください」
「なんじゃ?われの案が気に食わんのか?」
「いや、そういうわけじゃないですけど…でも今回はあなたの不注意のせいでしょう?ちゃんとあなたが破壊してくださいよ!」
迷宮の神は引き下がらない。
「われはあれを壊したくないと言っているではないか。文句があるならまずは貴様のその小さな胸をさらに破壊してやろうか」
破壊の神は迷宮の神の胸を見ながら脅した。
「うぅそれだけは勘弁してぇ」
迷宮の神は胸を押さえながら言った。
「じゃ、迷宮の神よ、あとは頼んだぞ」
破壊の神はそそくさと立ち去った。
「うぅ…あのセクハラ破壊神め、自分のことは棚に上げて面倒なことは全部私に押し付けていきやがった」
迷宮の神は立ち去る破壊の神を睨みつけた。
「でもなんで人間は天界に立ち入らなかったのかな?せっかく天界まで届く建造物を作ったっていうのに」
迷宮の神は破壊の神のセクハラと、人間の不可解な行動に頭を悩ませていた。
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