第4話


 それからというもの絆は俺に今日は放課後デートするとか、昨日は手を繋いだとか、俺には関係ない事をべらべらと話すようになっていた。


「はいはい、よかったですね」


「なんでそんな冷たいわけ?嬉しくないの?」


「なんで俺がそんな話聞かされて嬉しいんだよ!」


「だって応援してくれてたじゃん!」


「あー、めんどくせぇやつだな」



 俺はそんな絆の話を聞かされるのが辛くなっていた。


 何故かというと、絆の事で頭がいっぱいになるからだ。



 だからといって好きとは言えない。



 よし、俺も誰かと付き合えば気が紛れるかも。

 次告白された人と付き合うか。


 俺は謎の決意のもと過ごす事にした。



 いつも通り部活も終わり、帰ろうとしていた時、後ろから話しかけられた。



「あの!先輩!」


 振り向くと、そこには知らない子がいた。


「えっと、誰かな?」


「あ、ずっと先輩の事フェンス越しに見てました」


 部活をよく見にきてたのか。


「そうなんだ、で、どうしたの?」


「先輩の事が好きです!よかったら私と付き合ってください!」


 そう言ってその子は顔を赤く染めながら言ってくれた。


「えっと。でも俺君の事あまり知らないし‥‥」


 あ、そうだ。次告白してきた子と付き合うって決めたんだった。


 可愛いし、この子なら。


「いいよ!俺たち付き合お」


「え?本当ですか?」


「いやなの?」


「いやじゃないです!嬉しいです!」


 その子が見せた笑顔にキュンとした。


 あ、俺ちゃんと恋愛出来るかも。


「じゃあ、名前聞いてもいいかな?」


「はい!私は松本美波です」


「美波ちゃんね、俺は悟だから」


「はい、えっと、なんて呼んだらいいですか?」


「悟でいいけど、初めは言いにくいよね?」


「はい。悟くんでもいいですか?」


「いいよ、今帰り?」


「はい」


「じゃあ一緒に帰る?」


「え、いいんですか?」


「俺も今帰ることだからいいよ」



 俺たちは意外と気が合うようで話も盛り上がった。

 美波ちゃんはとてもいい子に思えた。

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