第11話 うーまーいーぞぉおおおお

「すみませんねお客さん。私もまさかお客さんが来るなんて思ってなかったから出掛けちゃってて」


 夜。

 男女でそれぞれ部屋を別れ、ゴロゴロとくつろいでいた所でヨウちゃんが僕らを呼び出した。


 どうやら夕食の時間らしい。

 ちょうどお腹が空いてきた頃だったし、ヨウちゃんの父親が腕によりをかけて美味しい料理を作ってくれるとの事で僕達は大いに期待を抱き食堂へと向かった。


「良いって事よ。それよりおやっさん、俺のは超大盛にしてくれ!」

「アタシのも!」

「ハハハ、分かりました。久し振りのお客さんですからね。皆さんが満足するまで何度でもおかわりして頂いて構いませんよ」

「「やった(ぜ)!!」」


 なんとも嬉しい話だが、そんなこと言って本当に大丈夫?

 この二人、本当に信じられないくらい食べるよ?


「お待たせしましたー。今日は唐揚げですよ~!」


 父親が傍にいて安心しているのか、先程までとは打って変わり自然な笑顔を見せながら料理を運んできてくれるヨウちゃん。

 先程の注文通り、アインとシュリのお皿には唐揚げもご飯もお味噌汁も野菜炒めも超大盛である。


「お父さんの料理は本当に美味しいからんです。食べてみて下さい」

「「「「「いただきまーす」」」」」


 そこまで美味しい美味しいと言われると、俄然その味が気になって来る。

 僕らは早速唐揚げを頬張った。


「う、うめーーー!!!」


 カラッカラの衣と噛めば噛むほど肉汁溢れ出てくるジューシーなお肉。衣の味付けを敢えて濃くしてあるのも、長旅と初めての依頼で疲れた僕らの心と身体に深く染み渡る。


 心の中でアインの言葉に同意しながら、僕達は無心で食べる。食べる食べる食べる。


 唐揚げ、ご飯、唐揚げ、味噌汁、唐揚げ、ご飯、野菜炒め。


 ヤバい、野菜炒めまで激うまじゃないか!


「おやっさん! 全部おかわり!!」

「アタシは唐揚げと野菜炒め追加で!!」


 げっ、あの二人もう出された分完食したのかよ。

 相変わらず凄い食欲だなぁ。


「すみません……私も野菜炒めをお願いします」


 な、なに!? スタイル維持のために日頃から食事量には気を付けているマリルまでおかわりだと……!?

 どんだけ凄いんだよこの料理。


「ハハハ、気に入っていただけたようでなによりです」

「やっぱりお父さんの料理は絶品だね!」


 僕達が話すのも忘れて黙々と食事を続ける様を見て、ヨウちゃんと父親は嬉しそうに話す。


 いやー、宿の外観を見た時はこんな廃墟、冒険者証が出来たらすぐにおさらばしてやるって思ったけど隠れた名店って奴だったね。


 こんなに美味しい料理が毎日食べられるならここにずっと泊まり続けても良い。


 いずれ世界征服を成し遂げたら、僕達の専属料理人とウェイトレスにしてあげようじゃないか。 


「そう言えば明日はお休みにしようと思ってるけど皆はどうする?」


 村からはあまり多くの物は持ってこれなかった。

 暫くはここを活動の拠点とするつもりだし、明日は今後の為に色々買い揃えるための休息日とするべきだろう。


「私は話に聞いていた伝説の『本屋さん』というお店が表通りにあるそうなのでそちらに行ってみようと思います」

「ぼ、ぼくは中央広場で明日サーカスがあるって聞いたからそれを見に行こうかな」

「んー、俺は街のマダム達をナンパでもするかな。だから……明日俺が宿に帰ってこなくても心配しなくて良いぜ?」


 まだジリマハに着いたばかりだというのに、皆自分の興味のあるものをもう見付けていたのか。

 アインはいつもとやってる事が変わらない気がするけど……。


「じゃあアタシとハルトはデートね! ハルト、今日の報酬を使ってパーッと楽しも?」


 そう言って満面の笑みで僕にウインクしてみせるシュリ。


 うーむ、流石は僕調べ『美少女ランキング』Sティアの女。

 あざとい仕草をしても様になっていてとても可愛い。

 今から明日のデートが楽しみだ。


「ハルト君。シュリちゃんとのデートは仕方が無いので認めてあげますが、今度埋め合わせをしてもらいますからね?」


 そしてマリルは上目遣い攻撃。


 二の腕と二の腕が大きなおっぱいを中央に押し寄せたおかげで、服の上からでも分かるそのボリューミーおっぱい達が、強く、そして激しく躍動していた。


 こ、これは破壊力が抜群だ……!


 僕はこの美しい絶景を脳裏に焼き付けるため、唐揚げとご飯をせっせと口に入れ脳へと栄養補給を行う。


 それにしても、流石はイケメンで超有能な僕。

 こんな可愛い幼馴染達に愛されまくってしまうとは。

 勇者ちゃんの存在が無ければ今頃二人の内どちらかに求婚している所だよ。


 するとここで、シュカが頬を赤らめもじもじしながら僕に言った。


「お、お兄ちゃん。だったらぼくも……今度埋め合わせとして何処かに連れて行って欲しいな……」


 ……流石は僕調べ『だが男だランキング』Sティアの男。

 女の子よりも女の子らしい素晴らしい美少女男びしょうじょっぷりである。

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