第274話 たんたん誕生日
2023.12.22
私が1年の中で一番に忌み嫌う誕生日がやってきた。
産まれて来なければよかったのに、産まれてきてしまった日。
お前なんか産まなければよかったと何度言われたことだろう。
きっと、母は覚えていないだろう。
でも、私の耳にはあの言葉がこびりついている。
母からは何の連絡もなかった。
私の誕生日など覚えてるだろうか?
代わりといっちゃアレだが、義母からはケーキが届いた。
普通、逆じゃね?
ココロのどこかで、母から祝ってほしいという気持ちがあったのかもしれない。
どこか、虚しい気分だ。
わかってはいるけど。
あぁ、やっぱり産まれてこなければよかったなー、なんてしんみりと考えてしまう。
だから私は今日もODをしてしまう。
産まれてこなければよかった自分を、傷つける。
毎年毎年、誕生日の頃になるとやらかしている気がする。
やらかして、そのままあっちの世界に行けたら楽なのにな。
薬から覚めた時の、あの虚しい感じというか、現実に戻ってしまった感じ。
味わいたくないのに、どうして同じ過ちを繰り返してしまうのか。
バカだなぁ私。
薬代でランチ1食分くらいは食べられるのに。
どうしてやめられないんだろう。
アホだなぁ私。
誕生日なんてなくなってしまえば良いのに。
そしたら、産まれたこともなしになる。
私はやっぱり、産まれてきちゃいけない人間だったのだ。
そんな、しんみりした夜を1人、過ごすのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます