六杯目 スサノヲは激辛風味。
「そうなると『スサノヲ』の『ヲ』とのつながりが気になるよね」
須佐が新たな味付けを持ち込んでくる。
「素戔嗚」と書いたり「須佐之男」や「素戔男」となることもある。「ヲ」が「男」であるならば、「荒ぶる男神」と訳すのが素直だろう。「乱暴太郎」でもいいけれど。
「神話のエピソード的に暴れまわる話が多いスサノヲが、八岐大蛇神話では『邪神を滅ぼす勇者様』って立ち位置なんだよね」
「分かるよ。スサノヲは元祖『俺TUEEE!』キャラ的なイタイ部分があるよね。急に勇者様ってどうなのという違和感はある」
そうなのだ。どうも「正義は悪に勝つ」的な予定調和パターンに収まりにくい。
「てことはだ。『暴れるヲ』である大蛇を『暴れるヲ』であるスサノヲが倒したと」
ややこしい見解を、須佐が陳列する。
「ならば『同族相食む』ということか」
共食いじゃん。穴師同士の内部抗争。それが八岐大蛇神話の意味するところではないか。
「事のついでだったのか、そもそもそっちが目的だったのか、スサノヲはクシナダヒメを娶る結果になった」
須佐がぐびりと酒を呑む。
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