餅文学大全

王妃マリー・アンコロモッチ

　栄華を極めたフランスの王妃マリー・アンコロモッチは、民衆がパンも食べられない悲惨な状態だという話を聞いて、次のように陳述したという。

「あら。パンがないなら、お餅を食べればいいじゃない」

　かくて庶民のあいだで一大餅ブームが生じ、それに「餅文学」なる文学ジャンルが成立することとなったのである。

　現在、人気を餅のように伸ばしつづけている餅漫画（注1）や餅アニメ（注2）の傑作たちも、元はと言えば、餅文学にその源流を持つのであって、餅文学を読む価値はいま最も高まっていると言ってもちっとも過言ではない。

　次話より書き記すのは、数ある餅文学のなかでも、古くから餅のように粘り強く民衆によって愛されてきた傑作・佳作ばかりである。

　めくるめく餅文学の世界へようこそ。

（注1）有名な餅漫画に、『僕だけがいない餅』『ブリーモチ』『もちはやふる』『モチミツとクローバー』『もちカドまぞく』などがある。

（注2）有名な餅アニメに、『ずんだホライずん』『魔法少女もちか☆モギカ』『餅の名は。』『けもちフレンズ』などがある。