第6話 王妃と側室

「提調尚宮様、世弟繍房尚宮です。

失礼します」


「入れ」


繍房尚宮は世弟から受けた令を伝えに

来た。内容は蘭を従5品にする、つまり

尚宮補佐になるということだ。


「まさか世弟様自ら女官を昇格させるとは。

吉と出るか凶となるか。念のため

信頼できる女官を蘭に付けよ」


世弟には世弟嬪(次の王妃)の他に

側室が一人いる。表面上は何も問題は

起きていないように見えるが後継ぎ

である男児が居ない為、世弟の寵愛を

得られるよう世弟嬪や側室は模索

していた。


「はい、世弟様がお気に召したことが

知られれば蘭の身が危ない。

特に良媛媽媽ヤンウォンママ

には注意しなければなりません」


世弟の側室の中でも二番目に高く

父親が老論派の従一品という大きな

後ろ盾があり、もし男児を授かれば

世弟が王になった際正一品まで昇格

できる可能性がある。

これまで側室下位の昭訓や承徽も居たが

突然死または失踪といった不自然な

事件が多発しており、その原因は良媛

ではないかと尚宮達は考えていたのだ。

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