オレンジ色の月

鷹山トシキ

第1話 

 私は寝室の窓から月を眺めていた。オレンジ色の満月がぼんやり出ていた。敦史あつしが神戸の街を離れて1ヶ月が過ぎた。

 私と敦史は『すずらん荘』っていう介護施設で働いていた。私はそれまでコンビニでバイトをしていたが、店長とケンカしてそこを辞めて当時流行った『任侠ヘルパー』の影響でヘルパーを目指した。

 内容はヤクザが研修のために介護施設でヘルパーとして仕事をするという非現実的な設定におきながら、いじめや高齢者虐待、家族の絆などを含む社会問題・教育問題・介護問題をリアリティを持って取り入れたシリアスな展開となっている。

 主演は当時、SMAPに所属していた草彅剛くさなぎつよしだ。彼の演技力に私は度肝を抜かれた。

 放送されていたのは2009年で、ヘルパーになれたのは2011年4月だ。その前の月には東日本大震災が発生し、岩手や宮城で多くの犠牲者が出た。

『すずらん荘』のスタッフは女性がメインだった。男性は理事長の岩崎いわさきと敦史だけだったので、『すずらん荘』は大奥とかハーレムとか呼ばれていた。

 敦史は私の教育係だった。どことなく俳優の青木崇高あおきむねたかに似てるな?と、私は思った。

 敦史はオムツ交換や入浴介助など、全てにおいて手際がよかった。

 初日のお昼の休憩時間、食堂でカレーライスを食べてると敦史が話しかけてきた。

薄井うすいさんはどの辺に住んでるの?」

 敦史は牛丼を食べていた。

「三宮です。そういう江間えまさんは?」

「俺は居留地に住んでる」

 

 三宮は、神戸市中央区にある第二次世界大戦後の高度成長期以降に神戸市の都心、繁華街となった地域。神戸市最大のターミナル駅である三ノ宮駅・三宮駅(神戸三宮駅)を中心に、百貨店などの商業施設が立ち並ぶ神戸市最大の繁華街である。JRの駅名は三ノ宮、また、阪急と阪神の駅名は神戸三宮と称する(行政上の表記は三宮)。「三宮」という地名は、トアロードと花時計線の交差点北東にある三宮神社(生田神社の三の宮)の所在地に由来する。


 三宮から西側の元町にかけて商業施設や行政機関が集積しており、神戸市の中心市街地を形成している。かつては神戸駅西側の新開地が市内一の繁華街であったが、高度経済成長以降複数の鉄道路線が集中していた当地に市内中心地が移り変わっていった。当地区の中心に位置する三ノ宮駅・三宮駅(神戸三宮駅)はJR西日本・阪神電気鉄道・阪急電鉄・神戸市営地下鉄・ポートライナーが乗り入れるターミナル駅であり、市名を冠する神戸駅を抑えて神戸市及び兵庫県内で最も利用者数が多い。駅前には高速バスが発着する三宮バスターミナル(ミント神戸)があり、三宮は市内における交通の要衝となっている。駅から南、加納町六丁目に神戸市役所があり、神戸市及び神戸都市圏の都心地域(中心業務地区、CBD)を為している。西側の中華街(南京町)が所在する元町を経て神戸駅周辺に至るまで、繁華街やオフィス街が連続的に広がっている。


 南西には旧居留地(神戸外国人居留地)が隣接し、南には神戸港新港地区があり神戸大橋と港島トンネルによってポートアイランドおよびその先の神戸空港に接続している。北は中山手通を経て北野町山本通景観形成地域・六甲山地。北東方向には新幹線駅(新神戸駅)のある新神戸地区。生田川を越えて東方向には春日野道・HAT神戸が位置している。


 JR三ノ宮駅の東側を南北にフラワーロードという大通りが走り、さんちか(三宮地下街)がその地下に位置する。東西方向にはJRと阪急電鉄が高架で併走。これを挟み北側(北長狭通以北)は飲食店・事務所・商店などの雑居ビルや集合住宅が建ち並ぶ。地下駅である阪神の神戸三宮駅の直上には神戸阪急(旧・そごう神戸店)、元町には大丸神戸店と三宮界隈には2つの百貨店が所在している。南側(三宮町・雲井通・小野柄通一帯)は三宮センター街・センタープラザ・さんプラザ・阪急百貨店(神戸阪急)・丸井といった大型のビルが地下街・地下通路・ペデストリアンデッキによって駅や主な施設と接続されている。


 慶応3年(1868)の神戸開港後に生まれのが外国人居留地。東を(旧)生田川(後のフラワーロード)、西を鯉川(後の鯉川筋)、南を海、北を西国街道(後の花時計線)に囲まれた広さ約7万8,000坪(約258,000平方メートル)の区域が合理的な都市計画に基づいて開発され、「東洋における居留地としてもっともよく設計されている」と評された。一定の行政権・財政権などの治外法権が認められ、居留外国人を中心に組織された自治機構によって運営された。運営は円滑に行われ、日本側と外国側との関係もおおむね良好であったと評価されている。貿易の拠点、西洋文化の入り口として栄え、周辺地域に経済的・文化的影響を与えた。


「あの辺はガス灯がキレイですよね?」

「そうだね」

 私は敦史にときめいてることに感じた。

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