俺に背後霊が取り憑いた。早く成仏しねぇかな?
俺こと
今は両親共にサラリーマンの普通の家庭の学園2年生だ。幽霊が見えても特に何か出来るわけじゃない。幽霊は少ないし、長く現世に留まる事も滅多にない。数日も、留まれるならかなり強い霊だ。
それに幽霊じゃなくて、精霊みたいな魔力溜まりが不思議な現象を起こすことが大半だ。
それは科学で証明されてないだけの自然現象だ。
だから滅多に背後霊とか呪縛霊とか怨霊とか幽霊なんて存在しない。いても会話なんて出来るほど力を持つやつは滅多にいなくて、現実に干渉出来るやつなんて更に少ない。
『ねぇねぇ、心良くんは私見えてるよね?ね?』
だから隣のクラスの事故死した女の子が俺の背後霊になる確率なんてほぼゼロだ。天文学的数字くらいゼロが並ぶだろう。
なのになんで取り憑かれるの?そしてウザい。しかも現実に干渉してくる。なにそれ?どんなファンタジー?
「見えてるし聞こえてるけど、マジでウザい」
『やっと返事してくれた♡寂しくてさー、やっぱりシカトよりも気が付かれないって辛いじゃん。シカトでも聞こえてるって嬉しいね♪でもぉ返事あればもっと嬉しいな♡』
俺と親父にしか幽霊は見えないから返事したら、一人で喋る変なやつじゃん。そりゃ誰かいたら無視に決まってる。
「なんで事故ったかも知らないし、家庭環境も知らないけど、早く成仏しな」
『心良くん冷たいー♪でも、勝手に喋って知ってもらうもんね』
「マジか、俺はこれからYou○ubeを見る使命があるんだ静かにしてくれ」
『大丈夫!!幽霊は音出してないよ!えっとね自転車で、部活から帰ってたの、辺りはもう暗くてね。そしたらなんと!!急にさ、猫が道路に飛び出してね』
「猫を助けて轢かれたのか、良いとこあるじゃん。分かったから静かにしてくれ。俺には聞こえるんだ」
『ブッブー!はずれーwwww。猫が車のヘッドライトに驚いて固まってね。車道を走ってた車が急ブレーキと急ハンドルで猫を避けたのよ。そしたら歩道に突っ込んで来て、そこには、なんと!!そう!!私がいたの!!』
「あらら、ご愁傷様です。なにそれが未練なの?」
『えー心良くん冷たい、猫よりも軽い私の命に同情してよ♪』
俺に取り憑いた背後霊の癖に頭をシェイクしてくる。幽霊が物理的に干渉してくるな。
「やめろ吐く、酔うからやめろ。実奈三さん」
『えー名前で読んでよ。もうトイレも一緒に入った中じゃん』
「それはお前が着いてきただけだろ?本当に疫病神か?」
また頭シェイクが始まる。
「
『フルネームじゃないよ!!幽子ちゃんだよ、リピートアフタミー』
「うぇシェイクされすぎて気持ち悪い。なんでそんな虐められそうな名前なの?幽子ちゃん?」
『この名前のおかげで人気者だよ?凄いでしょ』
「ひらきなおったのね。分かったから成仏してくんない?」
『さっきから返事がおざなりすぎだよ!こんな美少女捕まえてなに?消えて欲しいなんて嘘に決まってるでしよ?』
「お前なぁ、鏡見てみろよ」
『ん?どれどれ?おおー!!幽霊って鏡にも映らないんだ』
「なんで人の頭をシェイク出来るのに鏡には映らないのか謎だなー。えーと、ならスマホで写真を撮れば心霊写真になるか?」
カシャっとスマホが時代遅れなシャッター音を鳴らして幽子のいる辺りを、画面に映す。
『うぇ、なにこれ?本気の心霊写真なんだけど?』
そりゃ車に轢かれて、血みどろな女が壁の模様ぽく写り込んでるのはガチの心霊写真でしかない。
「俺はスプラッタ趣味はないから」
『それで最初ぎょっとしたんだね。なるほど〜♪分かったよ』
「分かったら俺のためにあの世に行ってくれ」
『おおー確かによく見たら私の血で制服汚れてるぅ♪洗濯って、どしたらいいの?』
「ナチュラルにスルーするのかよ。コインランドリーに取り憑いたら良いんじゃね?」
『どうやってコインランドリー行けばいいの?なんか心良くんから離れられないんだよね?なんで?』
「げっ、勝手に着いてきてるだけじゃないのかよ!?」
友達の家でモン○ンして、帰りにパトカーと救急車がいて大変だなと思ってたら、スプラッタ幽霊になってる実奈三幽子と目が合った。去年は同じクラスだし面識はある。可愛い子だけど、陽キャすぎてほとんど話したことはない。
そんな幽子の幽霊は、俺と目が合うなりこっちに走ってきて俺に取り憑いて、今や背後霊になってるわけだ。
無意識とはいえ、幽霊になっても意識を完璧に保つなんて出来るのは、魔法使い系の家系なんだろうな。
制御は上手く出来てないみたいだけど、魔法使い系の家系なら、厄介な事になりそうだ。除霊も本物しかもかなり力のある魔法使いじゃないと不可能かも知れない。
『なんか心良くんの背中って居心地が良くてさー、気が付いたら離れられないみたいな?ハッこの赤いのは、運命の赤い糸!!おお〜私達って固く結ばれてる?』
「赤いのは血だ。見間違いなんだ。きっとそうだ。死者は早く三途の川渡れよ」
『やだよ、まだピーーしてないよ?生き物はDNAを残して子孫を残すのが使命なんだよ?』
「もう死んでるから!もう子供産めないから諦めろっての」
『やっぱり?でもさ、心良くんが彼女とイチャイチャ、結婚してイチャイチャ、子供育てしながらイチャイチャ、ヨボヨボになって不倫でイチャイチャしてるのを見たいじゃん』
「なんで全部イチャイチャなんだよ!?プライバシー考えろや!」
『なに言ってるの?幽霊何だから警察に逮捕されないし、関係ないよ♪今は心良くんに彼女いないし、ほらぁ♡早く自家発電してよ』
「なんでこんなのが血みどろなスプラッタ幽霊が、背後霊なんだよ。幽子がいたら気が散って自家発電出来ないからな?」
『ならさ、委員長が実はドマゾ男が好みなんだよ?あんな清楚な顔して、一物を踏みつけて高笑いするんだよ!心良くんどう?ゾクゾクしない?紹介してあげるよ?』
「俺はマゾでもエスでもない!ノーマルだ」
『嘘っだー。じゃあ、水泳部のエースは?キリッとしてるけど強烈に束縛されたい系らしいよ。監視とかストーカー行為とか彼氏にされたくて完全に支配されたいって!!どう?』
「人の話聞いてる?束縛もしないし、されたくないから、俺はノーマルなの!普通の女の子が好きなの」
『それじゃやっぱり、ワ・タ・シ♡?』
「スプラッタはもっとお断りだ。早く天国へいけ、行き先が地獄になっても知らないぞ」
『心良くん、心配してくれるとかツンデレじゃん。カワイイ♪』
「すっげーメンタルしてるのな?病気じゃね?幽霊になるとこうなるのか?」
『そうかなぁ?でも名字は違うけど親戚らしいのおねえさんのメンタルは凄かったって聞いたよ。全部、女は突貫!!で済ませて、どうなっても諦めないって。バイクで事故ったら死んだけどさー(笑)』
「なんだよそれ?なんかもっと頭おかしい人がいたのか。友達にしたくないな。ほらもう家族のところに帰れ、ほら肉体と一緒に居たら成仏出来そうだろ?」
『じゃあさ、御葬式は来てくれんの?』
「学年全員、お通夜と告別式に呼ばれてるからな。その後の法要は行かないけど」
緊急連絡で担任の先生からレインが、来てたからな。ご家族も場所やらお返しやら大量にいりそうだけど、準備間に合うのかな?
『葬儀するまではここにいる♡早く、早く、○○見ないの?』
「残念すぎるわ!幽子がいたら息子も元気を失うっての」
『それでも本当に男子校生なの?ほら盛りのついた猿みたいに出しまくる生き物でしょ?』
「どこだよ?その情報ソース」
『ん?友達のレインだよ?昨日なんか三発とか、言ってたし』
「女の子怖いよ。そんな話までするの?」
『ゴリマッチョ先輩は、早漏で3日に一発らしいよ(笑)意外とカワイイと思わない?』
「藤岡先輩に謝れよ。あの人は、空手で市大会準優勝だぞ」
『空手部のキャプテンは毎日2発らしくて、女の子の日とか大変らしいよ。唯一の県大会で入賞する人は違うね』
「なんか悲しくなってきた。てかなんでそんなこと知ってんだよ?」
『空手部のマネジャーが二股してて、情報共有で教えてくれたよ。両手に花って言ってた。ゴリマッチョ先輩は実家めっちゃお金持ちらしいよ』
「なんだろ、女の子に幻滅するわ。これ以上無駄なこと言ってないでさ、仏さんにならないの?」
『私の死体ならもうあるよ?もう仏さんだぞ』
「刑事ドラマの見すぎだ。何だよその自虐ネタ。面白くないって」
『滑ったかぁ〜。なんで面白くなかったの?』
「だから血まみれな女が何しても笑えないって」
『うわ~ん、心良くんが幽子のことイジメる。こうなったらエロ本探してやる』
「好きにしろ」
『あれか?スマホかパソコン派だな?よっしゃ履歴調べないと』
「本当に幽霊かよ?ドッキリじゃないの?」
『どれどれ、パソコン起動してぇ〜!先ずはブラウザ履歴、マジ?無料のネトゲーとYou○ubeしかないとか、それなら隠しフォルダとアプリ一覧か。うわぁ、つまんねー何もないじゃん』
「血まみれ女幽霊がパソコン起動するとかホラーなんだが?」
『心良くん名前と違って毒舌キャラなんだね。ちょっとゾクゾクしてきたよ。このパソコン存在意義なさそうだし初期化してもいいよね?』
「やめろ!並の悪霊より質が悪いぞ!」
『冗談だよー♪履歴は削除できるしぃ、まだ初期化は早いもんね』
「もうヤダ、風呂入って寝よう」
『キャ~♡心良くんとお風呂タイムだー』
「来るなよ!!絶対に来るなよ!!いいな来るんじゃないぞ!!」
『そんな事を言われても背後霊だし、離れれないよ?』
「なんで真顔なんだよ!!チクショー!俺はもう彼女出来ねぇじゃん」
『幽子に任せなさい。心良くんの性癖にピッタリの彼女を見つけてあ・げ・る♡』
_| ̄|○
俺はこうして力尽きた。そして強制的にスプラッタ背後霊を従える日々を送ることになったのだった。
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