ねこさま
バブみ道日丿宮組
お題:犯人は宿命 制限時間:15分
ねこさま
「まぁた……いたずらして」
本当この子はなと、愛猫の頭を撫でる。
「何が面白かったの?」
にゃーと鳴くばかりで言葉は通じない。
動物と喋れるのはファンタジーの世界だけだ。
「さて」
どうしようか。
部屋の中はだいぶ荒らされてる。
小麦粉を低い位置の棚に置いておいたのが失敗。これが蹴飛ばされ、猫パンチされ、部屋の中を巡った。きちんと蓋が閉まる棚に入れておくべきだった。
真っ白なのはこれが主な原因。
洋服とかは出しっぱにしておいたから、ひたすらに引っ掻かれた。下着なんてもう着れないかもしれないくらいに穴が空いてる。
うん、片付けない私が悪かった。
「なぁに」
撫でられるのが飽きたのか、愛猫は猫タワーに登りこちらを見下ろした。
ひょっとして下に見られてる?
「いいよいいよ……」
ちょっと投げやりになる。
学校でも下だ。今更家庭で下に思われようが構わない。
それが猫ならなおさらだ。
ここには父も母も姉もいない。あの遺伝子実力主義の家族はもう家族じゃない。
ここには自由な空間だけがある。
ここにはお金だけ支援するといった、私だけの世界がある。
そこで猫を飼おうとしたのは私。だから、猫は悪くない。
「やりますか」
掃除機を用意して、吸ってく。拭いたほうがはやそうな気がするけれど、最近の掃除機は粉もいける。
お金が自由に使えるから、問題らしい問題はなかった。
ただ名前が知られてるから、クラスメイトは寄り付かない。
金持ちであろうと、グループに入れなければ、底辺だ。
趣味を共有できもしない。
それらしいことは調べたり、見たりしてるんだけどな。
「……はぁ」
白がだんだんと憂鬱な色に見えてきた。
それは青だろっていうツッコミもない。
そうここには愛猫と私しか存在しないのだ。
ねこさま バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます