第13話⁂母親里美の過去!⁂
今から40年ほど前の事である。
琢磨の母親里美はキャバレーのホステスとして働いていた。
美人だった里美はこんな場末のキャバレーにはもったいない評判の美人。
早速社長の目に留まり、このキャバレーの経営者である社長と愛人関係になった。
実は…この社長日本有数の指定暴力団柳田組の組長でもあり実業家。
まぁ~無理やり愛人にさせられたと言った方が正解だ。
1970年代後半、丁度その頃10代後半の里美は、オートバイや乗用車を用いて妨害や騒音を伴う無秩序な運転をする反社会的な集団、「レディース」の一員として始終問題行動を起こしていた。
何故こんな問題行動を起こすのかと言うと、ズバリ!家庭が面白くないからである。私生児として生まれた里美には、父親が居なくて、母親も殆ど家に帰って来ない。
お金だけ置いて{どうせ男の所であろう}
こうして恐喝、カツアゲ(強盗傷害)、窃盗etc、ありとあらゆる悪事に手を染め、気が付けば柳田組長の門下となって風俗まがいの仕事に就かされる羽目になったのだが、運よく柳田組長に見初められ、伸し上がって行く事になるのだ。
まぁ~!とんだ出来損ないのあばずれ女だが、どういう訳か超美人という事で、早速社長の目に留まり愛人になった里美は、社長の寵愛を一身に浴び、何の能力もない里美可愛さに、若干20歳そこそこの里美にクラブを持たせてくれた。
それは丁度日本が好景気に差し掛かった時代。
何も出来ないと言っても時代は里美に味方してくれた。
1985年から1991年日本中が空前のバブル景気に沸いた時代
そんな1985年丁度バブルの波に乗り、美人の誉れ高い里美ママ目当てに、クラブ『クイーン』には連日連夜お客様が押し寄せ溢れ返った。
元々自由奔放で後先考えない里美は、このバブル景気は永久に終わる訳が無いと、高を括って、休日ともなれば海外旅行三昧。
あれだけ社長にお世話になっておきながら、コッソリ社長に隠れてお気に入りのお客様で若い愛人を従えて、お客様との逢引き、更にはアバンチュ-ル旅行にと豪遊の日々の連続。
だが、時は残酷であれだけ華やかだったバブル景気もあっけなく泡の如く弾けて、クラブ『クイーン』もご多分に漏れず泡の如く消え去った。
計画性のない里美はお金を湯水のごとく使い、貯金など有ろうハズが無い。
バブル時代には、こんな里美でも美貌一つでクラブ『クイーン』を盛り上げてこれたが、計画性のない、経営手腕の無い里美にバブルが弾けた今何が出来よう。
実力を問われるこの厳しい時代に成長した若きホステス達は、例え若くても里美とは大きく一線を画す存在に成長していた。
30代中半の里美は社長との間に、すでに双子の男の子を授かっていたが、出来の悪い里美はとうとう社長に捨てられてしまった。
その理由は幾つかあるが、こんな里美ではあるが、一時は社長から寵愛を受けていた。
ママ時代には、これだけ美しい里美に思いを寄せるお客様は数知れず。その為、お客様に絡まれたり、スト-カ-被害に遭ったりと散々な思いをしていた里美なのだが、そんな時に里美の用心棒として社長が就けてくれたのが、誰有ろう結婚した寺内なのだ。
だが、時の移ろいは残酷なもので、30代中半の美しさも半減した何の取り柄もない里美に、社長は金銭的な援助も徐々に無くなり、滅多と家にも帰らなくなった。
そんな状態に追い詰められた里美は働いてくれている寺内に、この辛い思いを打ち明け相談に乗って貰っていたが、そこは男女の事、いつの間にか深い関係なってしまった。
だが、なんとそれを理由に追い出されてしまった。
こうして社長の最後の言葉に打ちのめさせられる事になった。
「子供1人は置いていけ!さもなければ浮気したお前なんかに一切のお金を払ってやるもんか!慰謝料と養育費が欲しかったら2人の内1人だけ連れてこの家を出て行け!」
こうして里美は、琢磨だけ連れて家を出て行かざるを得なくなった。
要はそういう風に持って行った。
厄介払いをされた。
だが、社長とて人の子、息子が可愛いので、息子だけは路頭に迷わせたくない。
用心棒寺内を若頭補佐に取り立てて送り出した。
若干35歳で若頭補佐に取り立ててもらい、寺内と里美の生活は始まった。
その為、我が子でもない琢磨を心の中では疎んじていても、精いっぱい大切に育てたのだった。
理由は一にも二にも出世したいからに他ならない。
だが、博打好きで大酒飲みの父は肝硬変を患い若干40歳でこの世を去った。
◆◇◆
そこで子供達の事になるが、実は一卵性双生児で琢磨と少年Aは実はれっきとした実の兄弟なのだ。
残された少年Aは実は、この豪邸の長男なのだが、若い愛人にも息子が生まれ跡目相続に巻き込まれ、若い母親から酷い虐待を受けて成長した。
こうして恐ろしい事件の連鎖が起こって行く事になる。
あれ~?本妻はいないのか?
『その話は折り入ってする事に致しましょう』
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