プロローグ

岡山県 真庭市のとある田舎町。


ある、晴れた午前中。

とある一軒家から何か歌声が聞こえている。


早春賦そうしゅんふ

春は名~のみ~の~ 風~の寒さや~♪

谷のう~ぐい~す~ 歌~は思えどぉ~♪


朝江の自宅

時~にあ~らず~と声も立て~ず~♪


朝江の部屋


朝江が文化祭での合唱の練習をしている。


朝江

「時~にあ~らず~と~声~も立~てず~♪」


朝江

「うん!」


すると、母親が部屋に入ってきて、

朝江にそろそろ出かけるように声を掛けた。


朝江の母

「朝江~そろそろ行かないと電車に乗り遅れるわよ。」


朝江

「分かったよ!もう準備できてる!」


朝江が自宅を出る。


朝江

「行ってきまーす!」


農道を走って駅に向かう朝江。


私の名前は 鈴木朝江すずきあさえ

歌が大好きな高校1年生。合唱部に所属している。


高校の夏休みのある日の事

これから私、友達と一緒に劇場でミュージカルを観に行くの!

終点の駅で高校の友達が待っているからそこで待ち合わせするの!


朝江

「さぁ、駅に急がなくちゃ!」


月田駅


駅に着いた朝江は電車を待ってる間

友達にLINEをしている。


「今どこにいる?」

「月田駅。今電車を待ってるとこ。」

「うん!姫路駅で待ってるよ!」

「わかった!一緒にミュージカルを最後まで楽しもうね!」

「ОK!」


友達とLINEでやり取りした朝江は

駅のホームへ向かった。


朝江

「さぁホームへ行って!電車を待たなきゃ!」


駅のホームに移動した朝江は

方面の辺りを見回していた。

すると、なぜか知らない蒸気機関車の汽笛が鳴り響いた。


ポーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!


朝江

「えっ?何」


その汽笛の気配を感じた朝江は

右方面を見ると、そこには

本線を走ってるとは思えないC61形蒸気機関車 20号機が走って来た。


朝江

「なんでSLが走ってるの⁉」


するとそのSL列車はその駅に停車し

客室のドアが開いた。


プシューーーーーーーー


朝江は不穏な空気を感じた。


朝江

「本当に間違いじゃないよね?」


とにかく朝江はその列車に乗車した。


そして、客車のドアが閉まった


プシューーーーーーー


そして、蒸気機関車の汽笛が鳴る。


ポーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!


機関車の車輪が動く


シュッシュッシュッシュッシュッシュ!!


SL列車が発車した。

そして、そのSL列車は美作江見駅を走り去っていった。


SL列車走行中


朝江は社内の座席に座っていた。


朝江

「この列車、本当に姫路に停まるんだよね?」


朝江が車内を見回すと

昭和を感じる服を着てる乗客ばかりだった。


朝江

「もしかして団体さん?

 何かの観光ツアーかな?」


何か不安をを感じた朝江は

慌てて友達とLINEでやり取りをし始めた。


朝江

「私、何か変な列車に乗っちゃったい・・・。

 そうだ!友達に連絡しなきゃ!」


朝江が自分のスマホを操作した途端 ————————

車内から不穏な歌が流れてきた・・・。


とおりゃんせ


とお~りゃんせ~とお~りゃんせ~♪

こ~こはど~このほそみちじゃ~♪


この車内の歌で戸惑う朝江

朝江

「えっ、何?」


てんじんさんまのほそみちじゃ~♪


朝江

「この歌は?」

 

ち~っととおしてくだしゃんせ~♪


朝江

「えっ、ちょっと何?」


ごようのないものとおしゃせぬ~♪


朝江

「こ、これって・・・?」


このこのななつのおいわいに~♪


朝江

「何が起きてるの⁉」


おふだをおさめにまいります~♪


SL列車がトンネルに迫っていく


いきはよいよいかえりはこわい♪


SL列車の車内

怖いながらもとおりゃんせ~とおりゃんせ~♪


朝江

「えぇ・・・。」


すると車内から不気味な音楽が流れてきて・・・


朝江

「えっ!だから何?えっ、えぇっ!ちょっとどうなってるの?」


そして、朝江は眠気に誘われてしまい・・・


朝江

「何だか・・・凄く眠くなってきた・・・。」


そして朝江は座席に座ったままそのまま眠ってしまった・・・。


SL列車はトンネルの中に入って行った。

そしてトンネルの中で長い長い直線へと続いていった。

それから暫く経ち——————————


SL列車はトンネルを抜けた・・・。


そして、長いトンネルから抜けた後

朝江はようやく目が覚めた・・・。


朝江

「あ・・・あれ?私、何してたっけ?」


朝江が窓の方を見てみると、そこには・・・


朝江

「えっ⁉」


昭和時代の民家がたくさん連なっていた。


朝江

「何、この村⁉」


その風景を見た朝江は恐怖に震えならがどよめいた。


朝江

「こんな風景観たことないけどこれは一体⁉」


そのSL列車は見知らぬ駅に停車し


客車のドアが開いた


プシューーーーーーーーーーーーー


そして、乗客が全員降りて行った。


アナウンス

「ご乗車、ありがとうございました。終点、童唱駅です・・・。」


朝江

「あれ?着いたみたいだけど・・・。」


朝江はその駅で降りてみると

そこには戦後の日本のような昭和の田舎の風景だった。


朝江

「えっ、えぇぇぇぇーーーーっ⁉」


どうやら朝江はこの世界に迷い込んでしまったのだった・・・。


朝江

「こ、ここは一体どこなのぉーーーーーーーー!?」


そう、ここは「童謡」と「わらべ歌」が響く村

童唱村どうしょうむら


そして始まる、歌が大好きな高校1年生の少女

鈴木 朝江の童唱村での生活が今、始まる!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る