第1章
迷いの森
世界各地にある迷いの森。
それぞれの森にはそこにしかない高価な素材があったり、高性能なポーションに必要な素材があったり、またはいずれかの素材が特に多く出るなど特徴があった。
迷いの森は幻獣の多くが定住している場所でもあり、幻獣とは妖精や精霊、聖獣、霊獣などの人族を除くあらゆる魔法生物をさし、魔獣も変異種や最上位種など魔法が使える魔物も指すこともある。
幻獣のほぼ全ての子供達や妊娠中、怪我や病気など弱い個体は迷いの森に棲息している。
一部の人族嫌いの種族は、群れごと一つの森にいるが、新しい群れを作るため独り立ちする若い成体や、故郷以外の迷いの森を渡るもの、森の外に自由に行き来する種族などがいた。
幻獣やそこに根差す魔性植物などの魔力や精霊力などが森を維持し、主だった種族が結界を張ることで迷いの森と呼ばれるような理由となる様々な現象が、森の外からの弱い動物などが迷い込まないようにしたり、幼体や老体などが誤って森の外に出ないようにしていた。
迷いの森では外部の者から様々なものを守るために、強い者以外は浅い外周以外は立ち入れないし、もし強くて立ち入れることが出来ても方向を狂わされ、ようやく素材などを見つけられたとしても、幻獣達に追われて逃げ惑い、何故か生活に必要だと思われる程度しか持ち出せない。
それは見つからないように幻術がかけてあったり、アイテムボックスに入れられる容量に制限(迷いの森の中でのみ)をかけたり、根こそぎ採取しようとする者を排除する守りを担う幻獣達がそれぞれの森にいるためである。
たくさん持ち出すには、大人数パーティを組むか、森に入る採取組と外周で待機する運び手と役割分担するかしか手がない。しかし後者はリスクが高く、繰り返し森に入る度に生存率が下がるため、一攫千金を狙う田舎者か、盗賊や冒険者崩れの自棄っぱちの集団のような、知識も覚悟もない集団で、身体の一部を無くし這々の体で森から抜け出すか、全滅することになる。
前者は軍隊や騎士団など精鋭が指揮を取るか、手っ取り早く上位冒険者になるために高ランク冒険者パーティが集団で臨む。特に冒険者は上位の試金石として挑戦することが多い。
それでも犠牲者を出さずに迷いの森を出ることはなく、それ故に持ち出すことが出来た時には大金持ちや、一代限りだが爵位を賜わる国もあるという。
闇ギルドや犯罪者集団は、素材ではなく妖精などの攻撃力の低い種族や、卵や幼体を無理矢理攫って、王族や貴族など好事家に高値で奴隷化して売っていた。
そのため竜人族やエルフなど幻獣崇拝の種族以外の人族を嫌う幻獣達は多くいた。
特に人族至高主義国や、人間至高主義の宗教のせいで、以前は迷いの森の外にも多くの若い種族がいたが、一部の友好種族に隣接する国以外には姿を見せることが少なくなった。
迷いの森以外にいるのは特別強い種族は別として、それ以外は集団から追い出されたり、逸れた個体が野良幻獣となっているか、種族が近い魔獣や動物と交配して雑種化した種族がほとんどだった。
迷いの森の周りには普通の鳥や動物が棲む森や林、険しい山や谷に囲まれている。
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