何が悪くて何でイケナイ?
影神
結婚したから?
結婚して。
幸せな家庭を築き。
子供も産まれ。
何事も無く日々が過ぎ去って行く。
私が旦那の裸を見たのも。
私が旦那に触れられたのも。
もう、随分と前の様な気がする。
そのくらい覚えていない。
最初は。
私なりに頑張ったかも知れない。
可愛い下着を着てみたり。
ジョギングして。
身体を維持してみたり。
遅くまで寝ずに帰りを待ったり。
旦那の好きな料理を作ったりと、、
私なりのアピールはした。
でも駄目だった。
旦那には、何も伝わらなかった。
「何でしてくれないの!?
どうして!!!」
なんて。狂った様には言えない。
だって。
"したくない"
のだから、、
結婚したからする。
付き合ってるからする。
そんなものは存在しない。
『シナクチャイケナイ。』
私にとっては、それが一番傷付く。
そうゆものは、ごく自然と。
普通に。
まるで、、
風が吹くかの様に。
身構えなくても起こる事なのだ。
雰囲気や、シチュエーションによって。。
ヴヴヴゥーー
私の相棒とも。
随分と長い付き合いになる。
勿論。
身体と、身体でしか充たされないモノがある。
それによって関係も。より、
深くなると言えるだろう。
今日も日課の様に子供を送り届ける。
見てくれる人の所に。。
本当は、一緒に居てあげたい。
私が側で成長を見ていたい。
だが。
それが出来ないのが現状で。
社会だ。
「おはようございます。」
保育士さん「おはようございます。」
「じゃあ。
皆と仲良くね?」
子供「はーい。」
「でわ。
よろしくお願い致します。」
子供「ばいばーい。」
子供を送り届け。
私は、働きに行く。
こんな関係になってから。
余計に。
働かなくてはいけない。
と、思う様になった。
女性が独りで子育て出来る程。
子育ては、楽じゃないし。
甘くない。
私の我慢ですら。
いつまで持つのか分からないのだから、、
手当てを受ければ。
頭が笑っちゃうくらい。
役所はぐちぐちと干渉してくる。
理由が男性だけにあるとは限らないが。
馬鹿な女性が。馬鹿な男性が。
放り出した小さな命の為に。
子供とその家族の為に使われるのは、
ごく自然なモノではないのか?
何故ならそれは、
あなたが男性であり。
あなたが女性であるからだ。
例え血の繋がりが有ろうが無かろうが。
困っている者に対して。
助けを求める者に対して。
尊い命を守るという行為に。
理由等はいらない。
人間として産まれた人間としての役割を。
今の世の中に理解する者等居ず。
そう思う心すら存在しないし、
その様な価値観すら持ち合わせていない。
年号が変わろうが。何も変わらない。
それを具体的に表すかの様に。
使えるはずのお金を余計なモノに使い。
どれだけ馬鹿高い給料に代えてでも。
無能な一部の優等生へと流して行く。
それらを。
一度だって、オカシイと考える事はせずに。
社会的に立場の弱い者を叩き。追い込む。
身勝手な大人が。
身勝手に起こした不始末を。
他人の子供だろうが。
子供が嫌いだろうが。
尻を拭くのが大人なのではないか??
なのにそれをわざわざ。グチグチと。
まるで使う価値が無いかの様に言う。
一体。何を考えているのだか。
私には、、到底理解出来ない。
片親で。
子供を殺めてしまった背景に。
そう言った事がある事も。
きっと知らないのだろうか、、
それか。
わざとやっているのだ。。
私からすればそんなモノ。
立派な犯罪だと思う。
だって。
そうやって。
追い込んだのだから。
行政がおかしいのか。
国がおかしいのか。
新聞の一面を見ながら。
通勤の電車の中で、そんな事を考える。
メディアは、お得意の報道を垂れ流し。
局を変えても、芸能人の不倫話ばかり。
必要な情報等。
何処にも見当たらない。
不倫、、
その文字を見る度に。
幾度と無く訪れる思考、、
不倫を考えた事が無い訳じゃない。
現に。
きっと彼は。
外に愛する人が居るのだから、、
「危ないですから、
黄色い線の内側まで。
御下がり下さい。」
「もうこんな時間か、、」
時計を見ながら溜め息を溢す。
女性に優しい社会。
そんなモノは掲げているだけのものであり。
実際は。
子育てを否定する社会。
子育てを邪魔する社会。
でしかない。
いくら時代が変わろうが。
座っている人間が変わらない限り。
ルールが変わる事は無いのだ。
「遅れてすいません、、」
通勤してすぐに。
上司に頭を下げる。
上司「今何時だと思ってるんだね!!
子供の迎えだか何だか知らないが!
こっちは仕事をしているんだ!!」
「社長。
それ。
モラハラですよ?」
同僚はいつも助け船を出してくれる。
彼女も母親だ。
でも彼女には、協力してくれる旦那が居る。
頭を下げながら横目で合図を送る。
"ありがとう"
今の世の中。
共働きが当然だ。
そうしないと、生きていけない。
物価はどんどん高くなるが。
給料が上がる訳も無く。
無駄な政策には目もくれずに。
堂々と増税を掲げ。
金を巻き上げるだけ巻き上げ。
円安を引き起こし。
それを加速させた。
上司「んんっ。。
早く仕事したまえ!」
こうゆう。
大人達のせいで、、
「サンキュッ。」
同僚「お互い様よ?
自分で全部やってみりゃいいのよ。
送ってがなきゃ、
誰が面倒見てくれるんだっつーのに。」
よき理解者。
分かってくれる人が居て。
私は、まだ恵まれている方だと思う。
誰にも理解して貰えず。
誰にも庇って貰えず。
誰にも預かって貰えず、、
そんな女性も居るのだから。
「あぁ、、
遅れちゃう、、」
同僚「大丈夫よ。
後は、やっておくから。」
「いつもごめんね??」
同僚「良いのよ。
早く迎え行ってあげなさい。」
昼食も食べずに仕事をこなす。
それでも終わらない仕事を。
同僚に押し付ける日々。
やっている事が"最低"だ。
彼女の優しさに。
甘えすぎている自分が嫌になる。
仕事なんて嫌なものを押し付けられるのを。
笑って受け止めてくれるのも。
彼女くらいだろう、、
本当に。
彼女には頭が上がらない、、
駅から走って。
子供が待つ場所へと向かう。
「、、すいません。遅くなって。」
保育士さん「困りますよ、、
お母さん。。」
「すいません、すいません、、」
残業をしなくても。
定時で上がったとしても。
終わる時間に間に合う、
預けられる場所なんてのは、
何処にも無い。
存在すらしない。
じゃあ。仕事を変えたら?
と。何も知らない人々は。
口を揃えて私に言うのだろう。
そんな奴等には中指を立てて。
舌を出してやりたいぐらいだ。
「お前がやってみろ。
それで生活が出来るのならばな?」
子供「今日はね、、」
子供と手を繋ぎ。
一緒に話しながら帰る。
「夕飯何にしようか、、」
子供「んーとねえ、、」
やっと訪れた。
僅かな安らぎ。
帰ったらすぐに夕食を作り。
お風呂を洗って。
子供と一緒にお風呂に入り。
洗濯をして。
子供を寝かし付ける。
仕事の資料を集めていると。
0時の針はとっくに過ぎている。
テーブルに並べられた1人分の食事は。
寂しそうに、温度を失っていた。
私が眠りにつく頃に。
旦那はようやく帰ってくる。
ガチャン、、
バン。
ガタッ。
睡眠を邪魔する様な不快音にも、
もう。慣れた。
何で起きてねんだ?
俺様が返って来たんだぞ!
と言わんばかりのアピール。
私だって疲れてる。
朝早くからお弁当を作らないといけないし。
もう、数時間もすれば。
携帯のアラームが私を起こすだろう。
時間が合わない。
やりたくない。
そうなるのは。
リズムが合わないからなのだろうか、、
ウゥィー、、ン、、
今日は休日。
今日も朝から掃除をする。
休日には、平日に出来ない仕事をする。
天気は快晴。
子供は良い子にテレビを見ている。
普通の家庭ならば。
父親が。
何処かに遊びにでも。
連れて行ってくれるのだろうか、、
ウゥィー、、
ゴトン、、
ギィ、。
子供「ママ、聞こえないよ!!」
「ママはお掃除をしています。」
旦那は平然と寝ている。
私には積まれた仕事が沢山ある。
「ほらどいてえ。」
子供「あははは。」
掃除しながら子供を構う。
旦那は寝ていて面倒なんて見やしない。
前まで子供は旦那を起こしに行ったりもしたけど。
怒られてからは行かなくなった。
構って欲しいだろうに、、
子供「あははは。」
子供は楽しそうに、ニコニコと笑う。
それに涙すら流れそうになる。
子供「ママ。大丈夫??
何処か痛いの??」
「うぅん。
大丈夫よ。
お昼何にしようか?」
1週間は7日もあるのに。
私が子供とこうしていられる時間は。
たったの。
2日しかない。
子供の笑顔と。
子供との時間で。
私は、欲を埋める。
私が充たされる時間なんてモノは。
無いのだ、、
「幸せだなあ。」
子供「幸せだね?
あははは。」
これが幸せだと。
自分に押し付ける。
自分に言い聞かせ、
それを噛み締める。
幸せだ。
私は、、
家があって。
仕事も出来て。
子供も笑っているし。
幸せ、、
幸せだよ??
『もう。ボロボロだ』
服も。
もう、どのくらい買ってないっけ、、
化粧品だって。
もう、殆どがヒビ割れている。
鏡に映る顔も。
まるで別人の様に疲れきっている。
私は。
どうして、こんなにも。
頑張っているのだろう、、
「またもや不倫、、」
テレビから流れた言葉。
真似する様に子供は尋ねた。
子供「ママ。不倫ってなあに?」
「もう少し大人になったらねえ?」
不倫、、。
私も。
しても良いのかな、、
した方が良いのかな??
した方が良い訳なんて、、
あるのかな?
お互いの同意があり。
そこに、嘘や偽りや。
金銭が絡んでいなければ。
周りからの影口と。
子供への風評にさえ、目を瞑れば。
欲求は、意図も簡単に充たされるのだろうか。
他人にどう思われようが。
それは、生物的な行動。
食べたり。
寝たりするのと一緒。
自然の嵯峨なのだ、、
結婚してようが。
子供が居ようが。
2人が良ければ。
それでいい。
他に迷惑を掛けさえしなければ。。
他人がどうこう言う権利等。
そもそも在りはしないのだ。
だって。
不倫するのには。
不倫するなりの。
理由があるのだから、、
「買い物行こうかな?」
子供「うん!!」
旦那はお昼過ぎに出掛けた。
それを見て子供は少し悲しそうな顔をする。
「たまには子供を。
遊びにでも連れて行ってよ!!」
旦那「俺は仕事で疲れてるんだ!!
休日ぐらい休ませろよ!?」
それを見ていた子供が。
大泣きした。
子供に愛情があるのならば。
私にわざわざ言われなくても。
勝手に連れて行ってくれる。
今夜もきっと帰って来ないのだろう。
休日は、出掛けたきり帰らない。
「美味しいの、食べたいな。」
子供「美味しいの何かなあ?」
「何かなあ??」
子供に触れる。
弱々しい。小さな身体。
小さい女の子。。
私は、母親でもあるのと同時に。
私も。
ひとりの女なのだ。。
ヴヴヴゥーー、、
欲求に負け。
音が無くなると。
それを見て虚しくなる。
「はあ。。」
何をやっているのかな、、
仕方ない。
生理的な現象だ。
「新しいの買おうかな、、」
子供も寝た。
私だけの時間。
煙草を吸い。お酒を煽る様に呑む。
夜風が入ってきて。
イタズラに髪を靡かせる。
「髪。切ろうかな、、」
切った髪を見せる相手も。
こんな状態を恥ずかしがる様な相手も。
ここには居ない。
私には、居ないのだ。
女性向けの商品は。
沢山増えてきている。
私みたいに。
これらで充たす人が増えてきたのだろうか。
「なんだ、これ。」
リアルな物から。
それにすら見えない物まで。
沢山の種類があった。
「へぇ、、」
そして。携帯を持ったまま。
気付けば眠りについた。
「ママ??」
眩しい光が目に入る。
もう。朝だった。
「あら。おはよう、、
イッ、、」
子供「ママ。大丈夫?」
チャンポンし過ぎた様だ。
「お水を頂けますか?」
子供「はーい。」
ジャー、、
水の音が響いてイライラする。
付いてるテレビの音も不快になる。
うるさい、、
子供「はいどうぞ?」
「ありがとう、、」
ジャー、、
出しっぱなしの水を止めに行く。
はあ、、
「テレビの音下げて。」
子供「ぅん、、
ママ。怖い、、」
ママだって、完璧じゃない。
この世界に完璧な母親なんて者も存在しない。
優しいのが親なのか?
自分の都合が悪くなると親じゃないのか?
親でもあり。
母親でもある私は、、
女なのだ。
優しくされたくて。
愛されたくて。
構って欲しくて。
大切に抱かれたい。女だ。
出来の悪い旦那。
稼ぎの少ない割に。
浮気をするような糞な旦那。
子供の面倒も。
私の面倒だって見ない。
「ママ??」
私の顔を。
同情するかの様な顔で。
悲しげに。
不安げに。
心配そうに、、
見つめる。
「ごめんなさい、、」
小さな身体を。
ぎゅっと抱き締める。
あなたも女性なのよね。。
子供でもあって。
愛が欲しくて。
構って欲しくて。
見て欲しくて。
心配の出来る。
小さな女性よね、、
「少し寝るかな。」
子供「うん、、」
日曜日はこうやって。
たまに私の波が返ってくる日。
不安定で。
端から見ればおかしな人。
軽いヒステリー。
「もう。
歳かな、、」
更年期障害。
情緒不安定。
私。
大丈夫かな??
様々な不安や葛藤が。
一気に爆発する。
寝たくない。
やる事が沢山あるのに、、
でも。寝なきゃ。
あの子の母親で居ないと、、
それを。
何度も繰り返す。
こうして。私は、、
日に日に枯れてゆく。
そんな私を。
夫は知るよしも無いし。
夫は知らないのだ。
旦那「あははは。」
「うふふふ。」
知らない女と旦那が。
楽しそうに生活している。
知らない子供が居て。
家族で楽しそうに。
『あはははは』
と笑い合って居る、、
「これは、、
夢??」
私の子供は。
テレビを見ながら。
ひとりでおもちゃで遊んで居る。
そこには、暗い表情だけ。
楽しそうな笑い声は無い。。
「どうして。。
何で、、」
涙が止まらない。
「ねぇ、、
見てあげて??」
幸せそうな旦那は。
ゆっくりと遠退いて行く。
「お願い。。
子供だけでも。
見てあげてよ、、?」
『あはははは』
馬鹿にするかの様に。
楽しそうな声を響かせて。
旦那は知らない家族と一緒に。
私達を、置いて行った。
目が覚める。
、、嫌な夢だった。
零れた涙を拭う。
「私が。
強くならなくちゃ。
今のままじゃ、、駄目。」
もう、、
次に進まないと。
平日に有給を使い。
私の足は探偵事務所へ向かった。
この探偵事務所は2階にあった。
階段を上がれば。
全てが変わってしまう。
全てを知った先には。
きっと後悔しかない。
深く深呼吸をする。
迷いが無い訳じゃない。
何度も自分に確認した。
自分が我慢すれば。
自分が耐えれば。
子供の名前が変わる事も無い。
愛情が無くても。
関わりや触れ合いすら無くても。
それでも。
実の父親は。
本当の父親とは、居られる、、
あの子と一緒に乗り越えなければ。
何もかも。
最初からやり直そう、、
チリリン、
「いらっしゃいませ。」
ベルの音と共に。
若い感じの女性が迎えてくれた。
女性「こちらへどうぞ??」
ソファーへと案内される。
「失礼します。」
女性「どうぞ。」
お茶を出されたので私は頂いた。
「頂きます、、」
緊張で喉が渇いた。
女性「少々。お待ちください。」
「はい。」
自分が。
緊張しているのが分かる。
久しぶりの滅多に無い様な心音。
「お待たせ致しました、、」
やって来たのは、小太りした中年の男性だった。
男性「今日は、どの様な御用件で??」
「旦那が、、不倫しているか。
調査して欲しくて、、」
男性「それは、それは、、
まあ。今は特に多いですからね。
そうゆうの。
早速イヤらしい話なのですが。
ざっと100万ぐらいには、なりますが。
大丈夫ですか??」
こうゆうのは、高いと聞いていた。
ネットでも大体相場を調べていた。
「はい。。
大丈夫です、、」
男性は、何かを察した様に。
襟を正した。
男性「、、。
きちんと。お受け致します。
でわ、担当者から、今後の流れを含み。
詳しい説明等をさせて頂きます。
あっ。私が言った100万と言うのは、
あくまでも。の金額ですので。
安心して下さい。
ちゃんと抑える所は抑えて。
後々旦那さんの方に請求しますんで。
まあ。細かい詳細の内容は、
口頭での御説明と紙に書いてあるのを、
幾つかお渡しさせて頂いております。
万が一。
奥さんが納得出来ない様な事があれば、
途中で中止とかも出来ますので。
分からない事がありましたら。
いつでも御連絡頂ければ。。」
そう言って。
名刺を置いて早々と何処かへ行ってしまった。
「すいませんね。
端的で。」
先程とは違う年輩の女性が椅子に掛けた。
年輩の女性「結構依頼が多くて。
良いんだか悪いんだか、、」
軽い世間話を挟みながら、話しは進んだが。
きちんと、内容を丁寧に説明してくれた。
本当は、もっと掛かると思っていたが。
ここは、良心的だったみたいで良かった。
お金は有るのに越したことはない。
殆どは、裁判をして。
相手側から回収するやり方をしているのだとか。
「ありがとうございました、、」
誰にも話せなかった事を話せてか。
事務所を出てしばらくすると。
何だか少し気が晴れた様な気がした。
これから先。
沢山の問題が起こるだろう。
でも、、
きっと。
2人で上手くやっていけるだろう。
「頑張らないと」
子供の為に。
そして。
私の為に。
私は歩き出した。
探偵を雇った事は、
夫には、ナイショ
である。
何が悪くて何でイケナイ? 影神 @kagegami
★で称える
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