第22話 クエスト報酬


 見事タイラントオークを倒して、俺は冒険者ギルドへと帰還した。

 持ち帰ったアイテムはゴブリン数体の戦利品と合わせると、かなりの量になる。


・ゴブリンコア×10

・オークコアEX×1


 俺はそれらをカウンターにならべて、クエストのクリアを報告した。

 すると、受付嬢さんは最初なにごとかわかっていないようだった。

 だがしばらくの間があったのち、大声で驚き始めた。


「って……ええええええ!? しょ、ショウキチさん……!」

「え……? はい」

「ショウキチさんが倒しにいったのって、ゴブリンですよね!?」

「そうですね、はい」


 あれ、襲われたからオークも倒したけど、まずかったのだろうか?

 もしかしたら狩猟みたいに、決められた相手以外は倒しちゃだめだったり?

 だとしたら、大きなしったいだ。


「それに、ショウキチさんってこれが初めてのクエストなんですよね……!?」

「そうです……ゴメンナサイ……」

「なんで謝ってるんですか……」

「え……? 違うんですか……?」

「私が言いたいのは、これはとんでもなくすごいことなんですよ……!?」

「はぁ」


 そう言われても、俺はいまいちピンときてないんだけどな……。

 俺はただ襲われたから倒しただけだし。

 あのオークは確かに強敵だったけど、しょせんオークだろ?


「ショウキチさんの倒したオークは変異種のタイラントオークなんです! みんな冒険者はあれに困らされていたんです。知能も高く、倒すのに苦労していたんですよ……!」

「あ、そうなんですか」

「はぁ……ショウキチさんのことを心配していたんですけど……いらぬ心配でしたね……」

「それは……ありがとうございます」


 聞けば聞くほど、あのオークがやばいやつだったってのがわかってきた。

 まあ俺も、シロがいたからこそ倒せた相手だ。

 それはそうと、気になるのは報酬だな。


「あの……それで報酬は」

「えーと、そうですね。まずゴブリン退治のぶんが1000Gです。それからタイラントオークの分が100000Gになります」

「え……!? マジですか……!?」

「す、少なかったですか……?」

「逆ですよ! こんなにもらってもいいんですか……!?」

「ええ、ユニークモンスターは特に賞金が高いんです」

「うおおおお……! これは豪遊できる!」


 生活費なんかはベーシックインカムがあるから、これはまるまるおこずかいとして使えるぞ!

 まあ、そのまえにまず魔導書の金を返さないとだけど……。


 思わぬ臨時収入を得た俺は、シロにたくさん肉を買ってやった。

 それから、書店に行ってミーナさんにお金を返しにいくことにした。

 お礼の気持ちをかねて、食事にでも誘うと思う。

 こっちの世界にきてから女性を誘うのなんて初めてだ。

 まあ、もともと経験はないんだけど……。


 別にミーナさんに対して下心があるわけではなかった。

 単に、異世界の人々と、交流をしたいだけだ。

 お世話にもなったしな……。

 彼女を作ったりしようなんてふうに思うには、まだ時間がかかる。

 それほどまでに俺の心の傷は深かった。

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