第16話 平和な3年間

アカギ「ルク......ス!....お待た........せ!」


ルクス「おう!てか、一緒に住んでんだからわざわざこんな事しなくてもいいんじゃないか?」


アカギ「.....ルクス.....女......心.....知ら....ない」


ルクス「えー......」


あれから、3年の月日が経った、今日はアカギが16歳になったので、職業の儀を受けることが出来るのだ。(王都では常に神父がいる為、ヤーヴァイ村と違いすぐに受ける事ができる)


その為アカギはルクスと行く為に王都内にある噴水広場で待ち合わせをしていたのだ(彼女曰くデート気分を味わいたいからだそうだ)


アカギ「ル....クス.....早く.....行こ.....」


ルクス「はいはい、離れるなよ?」


そう言って2人は恋人繋ぎをしながら神殿へと向かい始めた.....


————————————————————

王都~移動中~


ルクス「しかし、王都も変わんないねぇ」


アカギ「そんな......3....年....間で....変わ.........るわ.....け....ない」


ルクス「そっかぁ、もう3年か.....」


アカギ「うん.....3年.....」


3年.......この間は2人にとってかけがえのない日々となった、朝のおはようから、夜のお休みまで、彼らは共に過ごしていた、というのも元々2人は魔法の研究.....もとい読書が好きで、アマギの本を読み終えたら、魔法使い専門の店に行き、本を買い、覚えた魔法を試すと言うのを繰り返していた。


勿論息抜きとして2人でデートに行く事もあるし、期間限定スイーツが出た時はまるで熟年夫婦のように行動が早く、今まで食べ損ねた事がなかった。


夜の営みの方も........進んでいた


それは1年前、2人が同じ部屋で寝ている時にそれは起きた.......


————————————————————

~ルクス就寝中~


ルクス(ん..........何か.....背中に....柔らかい物......が....)


そう思って寝ぼけながら振り返ると


アカギ「えぐ......ぐす.....ひぐ....」ポロポロ


ルクス(え?......アカギ.....?)


なんで、どうして?と思い意識が戻りながら話しかける


ルクス「.....どうしたんだ?アカギ?」


アカギ「ルク......ス.....どこ......にも.....行かない.......よ...ね?」ギュ


ルクス「え?」


なんでそんな事を言うのかわからないが、兎に角落ち着かせよう


そう思いアカギを抱きしめる


ルクス「大丈夫だ?俺はお前を置いて何処かに行かない......ずっと側にいる....約束したろ?」


アカギ「うん.....でも.....でもぉ....」ひっぐ


大分落ち着いてきたが、まだ震えている、一体何が起きたんだろう


ルクス「アカギ、一体どうしたんだ?何があったか教えてくれないか?」


アカギ「......うん」


話を聞くと怖い夢を見たようだ、それは過去の出来事と重なって更に恐怖を増したそうだ


アカギがまだリムルの魅了、自身の魔力によってそこの住民から襲われて、強姦された


現実世界ではそれが起きる前にアカギ自身が魔力を使って逃げていたが、夢の中では使えずに、捕まって色々な事をされたそうだ。


そんな中、心身ともに汚された自分を助けてくれたのが俺(ルクス)で、それが唯一の心の支えだった、そんなある日俺はアカギが汚された事、魔女だと言う事を知り、自分の前から離れて行ってしまうのだ。


手を伸ばしても届かない、後ろからは自分を犯した人達、どんな走っても追いつけなくて、最終的に捕まって、俺は目の前から消えてしまう—————


そんな夢を見たそうだ。


夢だと分かっていても怖かった、自分はまだそうなってないだけで、いつかはなるんじゃないか?


それともこれこそが夢で、あっちが現実ではないか?


そもそもルクスは、自分を愛していないのではないか?


そんな恐怖が自身を襲い、今に至るそうだ。


ルクス「アカギ........」


アカギ「怖い........怖い......よぉ.....ルク.....ス......助け.....てぇ......っ」エグッヒグッ


ルクス「...................アカギ」


アカギ「ル......クス.......!!!」


泣きじゃくりながらこちらを見るアカギの唇に自身の唇を合わせる、音が部屋中に響き渡りながら長く.....濃厚に.....合わせた


アカギ「ルクス?」トロ~ン


唇同士が離れると透明な液体が線を引く


2人の少し荒い呼吸が布団の中でこだまする


ルクス「アカギ、怖い時は、悲しい時は俺がずっと側にいる、それは変わらないし、変えることはない」


そう言って頭を撫でる


ルクス「もしまた怖い夢を見た時はまたこうして、慰めてやるよ」


そう言って寝かそうとすると


アカギ「だっ......たら......」ん!


ルクス「な//////」


アカギはルクスの手を掴み自身の胸に当てる


アカギ「夢......じゃ.....ない......って.....おも.......わせて......っ」


涙を流しながら懇願(こんがん)する、もしこれで拒絶したら、彼女の心は2度と救えないだろう


アカギ「お願......い.....ルク.......ス.....もう......1人........に......しない.......でぇ....っ」


ルクス「.........わかった」


アカギ「えぐ......うぐ....」ギュ


ルクス「でも.....俺も、初めてだからよくわからないけど、これでお前を救えるなら.....喜んでやるよ」


そうして、2人はまた唇を合わせ、そして本当の意味で繋がった。


激しい呼吸が部屋の中でこだまし、液体の音が2人の世界を作る


互いに互いを求め合い、気が付いたら部屋に日差しが当たるようになっていた。


魔法で部屋に防音をしていたが、それでも2人で夢中になっていた為、どうなっていたかはわからない、それでも2人は微笑みながら、満たされた


それが、少年少女を男と女にした初めての日だった。


————————————————————

そして~神殿移動中~に戻る


ルクス(それから、俺達の関係もより一層良くなって)


アカギ(これ以上ないくらい幸せな日々になったのよね)


そうやって2人は手の温もりを、噛み締めながら、こんな日々がずっと続けば良いのにと思いながら、神殿へと向かう


ルクス(神殿に行って、職業がなんなのか分かって、そして)


アカギ(その帰り道にケーキ屋によってケーキを食べる)


幸せな時間、この3年間は今まで苦しみがこの時のためにあると言われてもおかしくない


リムルも順調に魔王討伐の旅が出来ているし、あと長くても2年くらいで終わるそうだと水晶で連絡を取るときに教えてくれた、そしたら彼には感謝の為に色々な物をプレゼントしよう、彼のお陰で自分達は今幸せなのだ、お礼しなければバチが当たる。


そう思いながら2人は神殿へと向かう


————————————————————

.............人の幸 不幸は波があると言う、大きな波になると幸せな時は最高に感じるがその前やその"後"が、不幸な目に遭う。


彼らは今、幸せの絶頂にいる.......


人は作るのには果てしない労力と時間が必要だが.......


壊すのは一瞬である.......


————————————————————

続く

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