アラビアの物語
幹の太いバオバブのような木から
白いネコが落ちてきた
振り向くと女が立っていた
黒いネコを抱いている
「今夜は物語を聞かせてあげる」
アラビアンな彼女はたぶんシェヘラザード
白いネコを拾ったボクはたぶん夢の中
光の灯った大きなテントは
アマンリゾートのホテルのようだ
デイベッドから見上げると
天窓から夜空が見える
夜の闇が濃くなるにつれ
星の光が増えてゆく
彼女はグリーンのヒジャブを外し
ボクは白いターバンをとる
お互いの顔が露わになって
しばらく見つめ合う
黒ネコと白ネコも見つめ合う
「あの星すべてに物語があるの」
星は億千万と空にある
「全部の話を聞き終わるのは何年後?」
「千回生まれ変わっても無理ね」
「むかし、女の人が
もう物語が始まっているらしい
それは「ワクワク」という国の話だった…
千年経っても目覚めないかもしれない
漆黒のコーヒーが香り立つように
不意に恐怖が心を
けれども
アラビアンナイトを享楽する心が
その苦味をミルクのように
目覚めなくてもいいか
目覚めたところで違う幻なのだから
真夏の夜にそんな夢を見た
https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16817330661451199929
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