幻日幻月

朝月の雨

月痕げっこんの残る空から落ちてきた雨は

山に白い紗をかけて町を濡らした


シリウスが浅青せんせいの空に溶ける頃

山に棲む目に見えない龍が

化身して白い雲となり

山の頂でしなやかに身を伸ばした


雲の水滴が龍の鱗となって

濃く薄くうねりながら山を這う


青いシリウスは龍の目となり

チェレンコフ放射に似た光が

空を走った


真実という言葉はあるけれど

その形骸しか見つけられない現世うつしよ

またたいた青い光は


一瞬の永劫


朝月のような幻だった


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16818093087644136351

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