骨折り6 - カミナリ!

| 中田 大也



週初めの月曜日。今日は朝から通学路に立っている。いつもの見守り活動だ。


今日の小学校は地元から遠く離れた地域、俺も知らない場所だ。


だいたいは勘に従って俺は行動している。翔とシモとウエとは女の趣味が合わない。あんなババア何が良いんだ。


しかも殴るとシモが怒る。


画面に映えないらしい。まあそれはそうだ。血だらけの女におっ立つやつなんて特殊過ぎるだろうからな。ちなみにシモは本当は血が好きなくせに隠している。イカれているぜ。


それくらい特殊なのはわかるが俺の心は幼少期のまま固定されている。その初期衝動に従ってしまうんだ。仕方ないだろう。


ピーピングを終え、ダラダラと地元に戻る。たまに運命に出会すことを期待しながらダラダラと。小学生でもサボってショッピングセンターの非常階段とかにたまに居たりする。そういう出会いだ。


朝昼一杯使っても今日は不作だった。


心に疲労を感じたので、ババアひしめくこのファミレスに来ていた。そこは仕方ないが、ここのロリパフェが好きなんだ。グラスが真っ直ぐだからと名付けたのはウエだ。失礼なババア好きだ。もう大きくなってしまったあの女が好きなやつだった。あいつは良かった。


スマホで裏垢小学生を探す。


たまにカタリが居た時は半殺しで許してやった。いつの時代も女は歳を下に誤魔化しやがる。





ファミレスを出て少し外れた住宅街の中にある寂れた公園にふらふらと行ってみる。寂れた公園は出会いのスポットだ。家に帰りたくない女が居たりする。


「こんにちはぁ、お兄〜さぁん」


ほらな。運命がそこに居た。





「へーカレンちゃんって言うんだね。カワイ名前だにぇ〜」


「そ、そうですかー、うれしー…」



ベンチに座って二人でお喋りする。


運命の少女はカレンちゃん。メリハリの無いファンクのような平坦な身体に美少女顔。この瞬間に手折らなければ、成長してしまう。


あと三年…そうだな、中学二年になってしまうともう手遅れだ。ここは一発、ぶちっとキメておくか!


スマホでウエに"檻"の空きを聞く。名義は翔のだが、管理はウエだ。


空きは…ある。いいぞぉ。



「ねえ、そこのお兄ちゃん」



空室を確認し終わると、今度は別の女がやってきた! 今日はなんなんだ! フィーバーか?!


朝の見守り活動が効いたのか、入れ食いだ!


こいつも美少女に、身体は…ファンクだ。泣くと良いファンクミュージックになる。これは…気を引き締めないとな!!


「お、おお、何か用かなぁぁ〜? その制服は…どこだろうなぁ〜? わかんないなぁ、名前はなんて言うのかなぁ?」


「ルリだよぉ。お兄ちゃん。さっきみかけたらさ〜気になって、気になって。くすくす、ついてきちゃった! そんな子なんか放っておいてルリと一緒に遊ぼ!」



興奮し過ぎて俺の語尾が正常化しない! 仕方ないだろう?! 女で俺の取り合いとか…これは頬が緩むだろ! 翔とシモには大学に入るまで止められているが、向こうから寄ってくる分には構わないだろう!? 要は泣かせなきゃ良いんだ…ぜ!



「ちっ、丸テーブルっすか… そうだ! お兄さん、肩お揉みしましょーかぁ? いえ、お揉みしますねぇ………」


「ええ! いいのかい?! そういえばカレンちゃんはさぁ〜、今度の土曜びゅ!?」


何だ?! 首が! 締まって! … 何だこの力?!


「…ん?…はぁん? 追加ぁ? ん!誰っすかあぁぁ? ん!れんれんのぉぉ、ん!邪魔するんすかぁぁぁ?」


息が閉まる中、見上げるとファンクな天使ルリちゃんの横に松葉杖のババアがいる? 何が…ぐ、る、じ…がぁぁぁ!!



「うわっ、抜けられちゃいました…もーなんなんすかー。丸テーブルのせいっすよー」


「…歌恋ちゃんはーっ、はーっ、はーっ、オイタが過ぎるようだなぁ〜 お尻ペンペン、はーっ、かなぁ〜」



この女…泣き叫んでも許さねえ! 攫う! スパンキングしながらぶちぶちと無理矢理いれてやる!! だが今はルリにゃんの前だ。まだ我慢だ。それよりこのババア……鶴ヶ峰か?



「あんたが絞殺魔女か…言われないとわかんないね。そいつ、わたしの獲物なの。引いてくんないかなー?」


「誰っすか? あなたも丸テーブル? れんれん知らないなあ。邪魔するんすかぁ?」



「強いて言うなら京くん…藤堂京介の幼馴染だよ。だから、狩りにきたの」


「京介お兄ちゃん、とっても格好いいんだよ〜」


「……それもうやめない? 絹ちん。…しかも瑠璃ちんの名前カタるとか流石に引くんだけど…」



藤堂だと…? なんだ、敵討ちか? とりあえず、先に片付けて取り合いを続けてもらおう。あれは…良いものだ。殴って無理矢理やってもらってもいいな!!



「中田…なんだっけ。クズなんでしょ? 相手してくんないかな〜?」


「……」



ババアとお喋りは趣味じゃない。男も女もとりあえず鼻を折れば大人しくなる。ただあんまりにも暴力的なのはこっちのファンク天使ルリにゃんが怯えてしまう。しかもこのババアは松葉杖だ。痛々しい感じになる…どうすれば………お、こいつ、エモノ出しやがった。


これなら言い訳が立つ。名もなきババアよ、感謝するぞ。


ただ…こいつのアイスピックの手捌きは随分慣れている。ま、とりあえず鼻…!



「かっ」



今…何された? 鼻が痛え。



「? なんだこいつ。……こんなのに京くんが………………………ふふ。あはは、はははは、はー…。やっぱり愛ちんかぁ〜そっかー」


「お姉ちゃん? まだ意識あるよ? 錆びた? ね、錆びたの?」



「……絹ちん…煽るじゃん」


「ちょっとぉ! 先に見っけたの、れんれんっすよぉ! なんなんすかぁ〜!」



…アイスピックと松葉杖には注意してた。俺は女でも油断しない。昔は油断で酷い目にあった。鹿島のヤロウはいつか締めてやる。じゃねぇ。俺の鼻は何で…? それに愛香…?


ふと周りを見ればあと一人、ちょいババアが増えていた。巨乳か、ババアだな。 …カメラ?



「あわわわ、れんれん! れんれん駄目! その人は駄目です! きぬきぬ! なんて人を…はりゃ! 何でもないです! 先輩! お先にどうぞ! 睨まないでっ!」



「…京くんには……お仕置きが要りますぅぅ───こんな風にぃ!」


「ッ───がっはっ!」



見えない! なぜ、俺は膝をついてる?!


…目が…揺れる……アゴか!? …蹴りか?


いつの間に…? …………こ、のアイスピックが、ブラフか?! このくそババアがぁ!!



「良い高さになったなった。脳でも揺らして〜…」


「──バ、バア…殺す!」



「…ロリ好きならみんなそうなるじゃん… つか誰がババアか! 死ね! ゥシャアァ───神鳴カミナリィィィィァッ!」


「ぐびゃ──っ」



「ひぃ───! こっわ! こっわ!」


「うるさい、はるはる、うるさい」


「な、なかなか、や、やるっすね…」



こ、れは、カカト、落とし…か? い、ま横、蹴りの予備ど、うさ、だったはずが…頭に蹴り…だとぉ ぉ、ぉ、ぃ、意識が……


…見えな、い…蹴、り…に…カミ、ナリ…こいつが……ウエの強姦仲間が言って、た、眠、らせ、姫……


薄れゆく意識の中で歌恋ちゃんが俺に寄ってきてくれた……はあ、ああ、助けてくれるのかい?…良い…天使にゃんの介抱も良いな…



「誰がロリっすかぁ! おらぁっ!」


「ッウポォ──」



なん、だと… 天使にゃんが…脇腹に?!…ぐぞおおおお、最初から攫っちまえば良がっだぁ…黒髪堕天使……覚え、だ、ぞ…ぉぉぉ



「……お姉ちゃん、絹子は?」


「きっしょい! シャァッ!」



「ォッフゥッ──!!」



いまの、は、まわ、し蹴り…だ! 眠ら、せバ、バァ、お前も、だ───


俺はそこで意識を失った─────


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