魔女の森と円卓の乙女3
| 音野 宇御
「なんでだよ、わかるだろ! だいたいの少年漫画はパンツ描写ばっかじゃねーか!
なら需要しかねーんだよ。だから…供給側に回れば良いだけじゃねぇか。求めるはダイレクト。これだよこれ」
「その結論に達した経緯をすっ飛ばし過ぎですわ…」
なんでだよ、わかれよ。察しろよ。はー、円卓パイセンはこれだからアレなんだよ。
「はー…、つまり、アレだ。まずどんな物語であれ、主人公とヒロイン達は結ばれる。ただそこに辿り着く最中に様々なパンチラに
少年誌なんて、もうどうやってもっていくんだってくらい、様々な方法でパンツに辿りつく。逆にパンツに辿り着くために逆算してイベントが起こってんじゃねーか?
女がドジな場合、男がエッチな場合、女がエッチな場合、男がドジな場合。
突然のアクシデント、突発的な事故。
様々ありつつもヒロイン達のパンツは狙われ続け、最終的にはだいたいパンツオンザフェイスだ。
「あまり詳しくありませんが、…そんなにですの?」
「ああ、ほぼ100だ。出会いのキーアイテムであり、女を意識させる魔法がパンチラだ。だから、そのパンツを手渡すことで、これが主人公とヒロインの出会いだと認識させ……ああ、そうだ、この世界に京介さんと私の二人を刻むんだ…」
「音野、なんか熱いな」
「なにか致命的に間違えているような気がしますが…」
「宇御さん、一周多く回りすぎる時がありますから〜」
「ぅるっさい。…主人公にはいろいろなタイプがいる。京介さんには、ボディタッチは撫で撫ででカウンター…染めた頬は風邪と心配…渡した手紙はありがとう嬉しいよ止まり…あ、なんか辛くなってきた…何にも効かなかった。つまり、京介さんは………鈍感系。円卓もあんだろ?」
「…まあ同じような経験はありますが…鈍感系ですか?」
「そうだ、鈍感系にはニュアンスもファジーもわびとかさびもだめだ。そもそも気付かない。……だから、モノだ、パンツだ。丸めて渡して開いてドン、だ」
「ああ、強制イベントにするんですね」
「なるほど…」
「そもそも京介がパンツ好きかわかんねーじゃん」
「だから秦野パイセンは秦野パイセンなんだよ。言ったろ?思春期だって。今までは無駄だった。でもこれからは違う。成瀬愛香が扉を開けた。思春期にパンチラは効くんだよ。大好きに決まってんだろ。漫画だってそうなってる」
「まず京介さんがその、パンツ好きかどうかは置いておきましょうか。いえ…パンツ好きだと仮定しておきましょう。私でもできますし」
そう、女なら出来る、女であればすぐに出来る。難しい道具はいらない。真っ新な気持ちと真っ白なパンツだけだ。
あとはタイミングの練習だけだ。
「パンツ好きとかさすがに酷くね?京介はそんなこと……あ!昔、愛香の股間にアタマ突っ込んでた!」
そう、そこだ。話を聞く限り、成瀬愛香は最強キャラの一角、女ドジエッチ使いだ。
京介さんから突っ込んだわけじゃあないだろうしな。天然すぎてエロシーンも罪悪感からそこまでエッチな気分になれない。
でもしっかり記憶に残させる。守らないと他の男にパンツを披露してしまうぞ、と。
ある種の脅迫だ。それを天性の才で自然にやってのける。
場合によってはわざともあるか。
やはりもう既にパンツオンザフェイスをかましていたか…
はー……
そんな簡単には女ドジエッチ使いになれねぇんだよ! 急になれるわけねーだろ! いい加減にしろ! もし安易に真似るとスベるだろ!
そうなりゃ負けヒロイン一直線だ…
「…思い出パンツを既に奪われてたのは腹が立つが、仕方がない。ただ、始まりたての思春期だぜ? そういう女認識アイテムが恋愛のキーに絶対なってるっての。他にないだろ? 強力なやつ。パンチラくらいしか」
「同じシチュではダメなのかしら?」
「ダメだ! 意識するのは思い出パンツの方になる。そういえば昔同じことあったな、ポワポワポワワーン…みたいな」
「パンチラ以外……じゃあぶつかって倒れ込んでのキス、なども多いですよね?」
「……ききき! き、き、キスとか、きゅ、きゅ、急に何言ってんだ! 東雲パイセン! 破廉恥だろ!」
「そ、そうです! 乙女JCになんて事言うんですか〜!」
急に何言ってんだ! 粘膜同士なんて触れたらもう、もう! ……あれ? 私、どうなっちゃうの? 懐妊?
ま、まあ、はるはるとか、れんれんなんかは石のように固まっちまうだろうな! あいつら魔女の中で1番お子様だからな〜。エッチなのはいけないと思います! とかなんとか言ってさ。
「ステキじゃないですか、角でぶつかりキス…あらら、イマジナリー京介さんにかわされました…もう」
「なんでパンツが良くてキスは狼狽えるんですの…。詩乃さんも何ですの? イマジナリー京介さんとやらは」
「私の中のステキ過ぎるキラキラ京介さんです」
「音野、さっきヤッたとか言ってたじゃん」
「自分のキスシーン想像したら恥ずかしいに決まってんだろ!」
「………したい」
「杏樹さん〜?」
「藤堂さんと、大人キスしたい、でふっ!」
「御堂さん!? 大丈夫ですの!?」
「杏樹さん、しっかり〜」
「想像だけで鼻血出して撃沈してらー。やっぱ魔女は変わってんなー」
「円卓パイセン達だけには言われたくねーよ」
「魔女だけには言われたくありませんわ」
なんでだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます