【青春×不良少女】初めて出来た彼女が学年一可愛い不良少女でなんの特徴もない俺を選んでくれた理由とは!?
森ノ内 原 (前:言羽 ゲン
不良少女と出会う
俺、符津野章悟は至って普通の男子高校生だ。周りからしても、別に大したスキルがあるわけでもなく、いつも通う『塚沼高校』に通う男子高校生だ。
ほんの数年前までは、俺の高校は女子校だったのだが、今は男女共学校となった。それから男子生徒も一気に増えて、今となっては、男子の方が全体的に多いらしい。確かに入学した時もクラスの大半が男子だった。
俺は今日も、いつもの1階の教室に入る。一年の教室。まだホームルームが始まっていないため、みんなはガヤガヤと友達と騒いでいた。
「うっすー」
「おいーっす!符津野!なぁ、今日隣のクラスの女子がお前の事呼んでたぞ」
「え?誰が来てたの?」
「いやあれだよ。名前わかんないけどよ、めっちゃ容姿が綺麗で、すげぇ可愛いくて、でもどこかしらクールな感じの。しかも歩く姿が前から見ても、後ろから見ても女なのに、すげぇかっこよく見えるヤンキーっぽい女子の」
「え?誰?」
「いや、もうめっちゃ人気だぞ!あの子。隣のクラスの奴。なんかお前と同じ帰り道っぽいらしいじゃんか!なんかすげぇ照れてるっぽい表情だったぞ。何したんだよ、お前!」
俺の高校から仲良くなった友達。須藤陽太だ。若干ツンツンと張った髪に細身の筋肉質なスタイル。中学の頃はサッカー部だったらしく、部活内でモテモテだったという。だから俺なんかより、須藤の方に女子が近寄るのならわかるが。俺に?
「え?この学校の女子と仲良くなった覚えないぞ。3ヶ月経ってるけど、全然このクラスの女子すらあんま会話してもないのに」
「えー!じゃ、なんでお前の所にあんな可愛い子が訪ねてくるのさぁ。羨ましい」
俺は取り敢えず鞄を机の上に置いた。椅子に座ってじっくりと話を聞くことにする。
「んで?その子なんか俺に言ってたの?」
「あぁ、『符津野って奴、来てねぇか?』って。最初現れた時は若干態度悪かったけど、俺に話しかけてきた時、急にモジモジした感じで話しかけてきてさ。なんか照れてる所もすんげぇ可愛いかったんだよ」
「ふーん。ヤンキー?女子?誰だ?」
そんな風に色々と話を聞いていく。すると突然教室のドアが勢いよく開けられた音が聞こえた。何事!?と思いドアの方に目を向けると、そこにはさっき陽太の言ってた特徴の女子が立っていた。
「あ!あの子だよ。言ってた子!」
「えぇと…誰、って!」
そこには、端正な顔に光を透き通って行くような色白な肌。長髪の黒髪。健康的で陽太の言ってた通りの整ったスタイルのいい感じ。容姿端麗と言える程である。しかし、その後が問題だった。青のスカジャンに手首になんかガチャガチャとした金属の輪を身につけた女子高生。ヤンキーっぽい。陽太の言ってたように、可愛くて綺麗なのにどこかヤンキーっぽい。この人がさっき俺を呼んでた人?
段々とこっちに近づいてくる。そして俺の目の前に止まった。なんだか機嫌が悪そうに見える。こちらを威嚇するように見てる。なんだかヤバくね?俺。
「なぁ、放課後屋上まで来い!一人でな。以上だ」
「え?あっ、はい」
なんかヤバそう。俺、なんかした?屋上って…、もしかして不良達が集って俺に何かしようとか!?
「なぁ、すげぇ可愛いくねぇか?って言うか符津野さぁ、お前あの子になんかした?」
「い、いや、わ、わか、わからん。なんかヤバそうじゃね?俺」
少しばかりか体が震え出す。なんでよりによってこんな朝から…。
俺はあの子に見覚えがある。それは昨日の事だった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
学校の帰り道。
「おぉ!最新刊遂に発売したんだ」
『異世界の冒険が始まると思ったら、現実世界と変わんねぇじゃねぇか』略して『ボウカワ』。この最新刊が出たと言う、ラノベニュースの通知が流れてきた。異世界系のラノベの中で、最近有名になった本。近々人気のあまり、テレビ放送まで決定している。
俺は、少しばかりワクワクとした気持ちになり、ルンルン気分で帰っていた。俺がいつも帰る道には、古本屋、コンビニ、チェーン店の中華料理屋、漫画喫茶、レンタルビデオ屋と色んなのが並んでいる。こうして行きも帰りも、時間がある時は寄っては暇を潰すために、何も買う事が無くても店に入ったりするのだ。さて、今日はどこで時間を潰そうか。
3ヶ月経った学校生活も慣れてきた。共通の趣味を持つ友達もいた。だから学校生活は何も心配はない。だが、問題はこの学校から家までの道中にある。
俺は取り敢えずコンビニでも行って、家に帰ってから食べるお菓子でも買って行くかと寄って行く。無駄に広い駐車場に入って行くと、喫煙所に4人程の男達が集っているのが見えた。
俺は真っ直ぐと店内に入って行く。涼しげな店内に一番くじコーナーが目の前に設置してあった。軽く商品を見たが、興味のない景品だった。
「今あんなのが流行ってるんだな」
テレビで話題のアーティストグループの一番くじ。俺には全く付いて来れない。興味が全くない。普段はアニソンしか聴かない俺にとっては無縁である。
俺はさっさとアイスを一つ購入し、店を出た。外は中の気温と比べて生暖かい。いくら生暖かいからと言ってアイスを放置してたらすぐに溶けるので、店内の駐車場を出てから包装袋を破く。
俺は、前方にさっきの喫煙所にいた集団がいるのに気づく。その格好は俗に言う、不良、強面と言うのに近いだろう。道が横の列に並んでいるため、少しばかり通るのが邪魔である。向こうはケラケラと楽しそうな話をしながらこっち向かって歩いていた。
俺は右端にいる人が譲ってくれそうだったのでそっちの方に足を運んだ。お互い交わすように通り抜けようとすると、俺は明らかに相手と隙間を開けたのにも関わらず、向こうからわざとらしい程に勢いをつけてぶつかって来た。
「ぐへっ!」
せっかく買ったばかりのアイスをアスファルトの道に落としてしまい、自分もぶつかった拍子で横に倒れた。
お尻を強打したものの、なんとか踏み留まった。そして、落として汚れたアイスを見た。
「いってぇ。あっ…マジで」
アイスを見て幻滅する俺の前に、さっきの集団が前に現れた。
「なぁ、兄ちゃんよ!何ぶつかってんだよ。ぶつかって、謝りもしねぇのか?あぁ?」
「マナーも知らねぇのか?」
俺は足元を震わせていた。相手はものすごい凝視で睨んでいる。
「いってぇ!いってぇ!いってぇわ!てめぇが思うより重症です!」
さっきぶつかってきた奴だ。見た感じ全然痛そうではない。わざとらしい演技だ。
「あーあ。コイツはヤバいなぁ。慰謝料も貰うか」
どんどん悪態のついた顔になっているのが分かる。俺は、このまま逃げられない状況になっていた。
一人が俺の胸ぐらを掴み出した。もうこれは完全に逃げられない。下手に対抗するともっと危ないだろう。
「えぇ、ちょっ、ちょっと待って下さい。俺からぶつかってないですよ。寧ろぶつからないように間隔空けてたでしょ?こっちは」
「んなもん知らねぇよ。こっちには怪我人がいるんだからよ」
いや、怪我したのは寧ろこっちなんですけど。転んだ際に少し尻が痛いし、その拍子でアスファルト製の道路に手をついた時、勢いのあまり掌ではなく、指が先に地に着いて、変な方に曲がって今凄く痛い。恐らく突き指程度なのだと思うが、曲げると少し痛い。その上脅しって。これもう完全にそっちが悪人でしょ。
「あのぉ。俺今凄く手痛いんで、怪我人はこっちなんですけど」
「上等だ。このまま言い訳して逃げようって言うのなら、今すぐそれ以上の怪我しねぇうちに金だけかっさらっちまおうか?」
結局金じゃねぇか!金目当てでぶつかって来たんだろ?もう計画的じゃねぇか!無茶苦茶だ。
「兄ちゃんさっき、コンビニでなんか買ってたよなぁ。って事は金は持ってるわけだ。さぁ、出せ!」
やっぱ金だった。もう嫌だ。誰か止めてくれぇ!
「出さねぇのならこっちからパクっちまおうぜ」
さっきぶつかってきた奴が、何事もなかったかのような健全な姿で言ってきた。いや、元気じゃん。金もらう必要ないじゃん。ただの恐喝じゃん。
「おい!さっさと出せやごらぁ!」
俺の制服のポケットを漁ろうと手を伸ばしてきた。このままでは金を取られる!
思わず何も出来ず目を閉じてしまった。すると少し、胸ぐらを掴んでた握力が弱くなっていたのに気づく。
「おい!いい度胸してんな!てめぇら」
俺は目を開けると、財布に手を伸ばそうとしてた手が誰かに強く抑えられているように見える。胸ぐらを掴んでた奴が急に俺の制服から手を離すと、俺はまた尻から倒れる。
「イテテテテ!おい、なんなんだよこの女!」
女?俺は前を見ると、そこには青のスカジャンを着た女、見た目もなんだか女子高生くらいの女の子がいた。
女の子は勢いよく、ボディブローを決める。腕を掴まれた男は、思わずその衝撃にゆっくりとその場に倒れ込む。
そしてミドルキックを決めると、後ろを振り返った。
「んで?お前らは?」
「お嬢ちゃん。やるねぇ!」
「用がないならさっさと散れ」
クールな声で残りの3人に言い聞かせる。
「用がない?んなわけねぇだろ?仲間がやられたんだぜ?」
「悪いけど俺達、女だからって手を出さねぇ事ねぇから」
3人が目の前の少女に距離を詰めながら囲い込む。
「じゃあ、アンタ達も同じ目に遭わせていいってわけね?」
身構える少女。
「勿論、俺らは抵抗するでぇぇぇぇ」
さっきのぶつかって来た奴が言って来た。そして、指の骨をポキポキ鳴らす。
「拳で!」
そして目の前の少女に向かって殴り掛かる。
「危ない!」
しかし、少女は拳を掌で受け止め顔面にストレートパンチを食らわせる。そして、横にいた男にハイキックを決める。二人倒れた。
残った一人は、彼女の喧嘩の強さに怯えている。
「じょ、冗談だって!俺はコイツらと違って喧嘩なんてしないからさ」
「だったらさっさとどっか行け!」
そう言って、一人だけ逃げていった。
少女が後ろ背後にいる俺の方に向かって顔を向ける。
「大丈夫か?なんともないか?」
格好いい!女で強くて、しかも今の俺の状況を察して心配までしてくれるなんて。
「あ、大丈夫です!ありがとうございます」
そう言って自分一人で立ち上がると、彼女の顔が少しこっちを見てないように見える。
「あ、アタシは別に…何も大した事…」
「いや、凄いですね!めちゃくちゃ強いですし、助けてくださってありがとうございました!」
すると少女が、急に俺に背を向けた。
「こっちこそ…ありがとな」
ありがとう?なんの事かわからなかった。そして、彼女はその場から走り去って行った。
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