第171話 ハーレムな状況


 エガートンの街に転移し、先にリリスさん達のパーティハウスに向かったところ留守だったので、そのままエガートンの街の冒険者ギルドにやってきた。


「マサヨシお兄ちゃん!」


「おっ、マサヨシ!」


「マサヨシ様!」


「マサヨシ兄さん!」


 冒険者ギルドの食堂のほうに行くと、リリスさん達Aランク冒険者パーティの万緑の風のみんなと、イアンさん達鋼の拳のみんな、そして俺の訓練を手伝ってくれた2人の冒険者が一緒の席にいた。


「マサヨシさん、無事に勝てたんだな、おめでとう!」


「まあマサヨシさんに勝てるやつなんていないと思っていたっすけどね!」


「みなさんのおかげで、無事に決闘に勝つことができました! 本当にありがとうございました」


「マサヨシ様なら当然のことですわ!」


「ああ、敵も瞬殺だったらしいしな。さすがは真の大魔導士を継ぐ者だな!」


「……いや、イアンさん。その噂は実は大袈裟に話されていただけで……」


 ブラッドリーの街だけでなく、エガートンの街でも間違った噂が広まってしまっているようだ。


「まあなにはともあれ、まずは乾杯しようぜ! マサヨシが決闘に勝利したことを昨日聞いて、今日は昼からみんなで飲んでいたんだよ」


 なるほど、それでリリスさん達やイアンさん達や俺の訓練を手伝ってくれた冒険者達が一緒の席で飲んでいたわけか。


「はい!」




「それじゃあ、マサヨシの勝利を祝って乾杯!」


「「「乾杯!!」」」


 リリスさんが乾杯の音頭をとって、コップを掲げみんなで乾杯をする。先程のブラッドリーの街でもそうだが、こうやってみんなで祝ってくれることは本当に嬉しく思う。


「しっかし、ハイエルフに転移魔法に極大魔法か……世の中広いもんだなあ……」


「なんだかマサヨシさんに助けてもらった時のワイバーンの群れが可愛く見えてくる……」


「懐かしいな。俺達も今ならあのワイバーンの群れに勝てるよな」


「俺達の場合はドラゴンだったな。今でもあのドラゴンには勝てる気がしねえけどな……」


「……そうですわね。少しずつ削っていくにしてもあのブレスをそう何度も防ぐのは難しいでしょう」


「へえ、リリスさん達はドラゴンと戦ったんすね!」


「マジっすか!? すげえっす!」


「まあ今考えると無茶をしたよな。いくら時間がなかったとはいえ、本当ならもっと装備を整えて人を大勢集めて、作戦を立てて討伐に向かうべきだったんだよ。あ、マサヨシ兄さん、あの時に助けてもらったこの街の領主のマリーもすっかり良くなって、今度直接お礼を言いたいから、少しだけ時間を作ってほしいってさ」


「ええ、もちろん大丈夫ですよ」


 この街の領主様か。無事に秘薬のおかげで病気は治ったようだ。今度時間のある時にリリスさん達と一緒に会いにいってみるかな。今回決闘の訓練の時にその時の秘薬分のお金はすでに受け取っている。


「今日はたまっていた仕事を片付けているから来れにゃいけれど、すぐになんとかするって言ってたニャ」


「なるほど、わかりました。少し時間をあけてから行きますね」


「ああ、時間のある時に頼むよ。さあ、今日は飲むぞ!」


「ええ、みんなのおかげでなんとか決闘に勝てましたよ。今日は俺の奢りですからね! 好きなだけ飲み食いしてください!」


「マサヨシさん、あざっす!」


「ご馳走になります!」




「さて、ぼちぼち本題に入るとするか。マサヨシ、ひとつ聞きたいことがあるんだけどいいか?」


「はい、リリスさん。何ですか?」


「この前言っていた?」


「「「………………」」」


 あれ、なんかいきなり空気が変わったような……


「そういえば話していなかったですね。この国の第三王女であるサーラさんといいます。この国に来たばかりの時にちょっと縁がありまして、いろいろとお世話になっていたんですよ」


「いろいろとお世話か……じゃあ今は結婚しているわけでもないし、付き合っているわけでもないんだな?」


「………………ええ。ですが、好意は持っています」


「なるほど、ならまだ大丈夫ということですわね!」


「だな!」


「へっ!?」


 俺の両隣にいるルルネさんとリリスさんが、俺の両腕に腕を絡めてきた。2人とも大きな胸をお持ちなので、その感触が両腕に伝わってくる。……どちらかというとルルネさんの方が大きいかな。……っじゃなかった!?


「ちょっ、あの!? 俺はサーラさんに好意を持っているって言いましたよね!?」


 鈍感な俺にもリリスさん達が多少の好意を俺に向けてくれていることくらいは分かっていた。だから先にサーラさんのことが好きであると伝えたはずなのに!


「ええ。ですがマサヨシ様ほどの器量があれば、結婚なんてひとりだけとは言わずに何人でも可能でしょう?」


「ああ、もし俺達が結婚したとしても、別に本妻とかは気にしねえからな!」


 そうだった! 忘れていたけれど、こっちの世界は重婚オッケーだった〜!? 大魔導士もめっちゃハーレム作ってたんだ!


「ちぇっ、席取りはくじで負けちまったからしょうがないか。じゃあこっちだな」


「みんなずるいニャ。もうこっちしか空いてないニャ!」


「ちょっ、ノノハさん、ネネアさん!?」


 ノノハさんが俺の後ろにやってきて腕を首にまわす。さらには小柄なネネアさんがちょこんと俺の膝の上に座る。なにこのハーレムな状況!?


 この体勢は非常にまずい! 具体的に何がまずいかというと、4人の綺麗な女性に囲まれてしまうことで、ネネアさんの下にある俺の前下半身が反応してしまう!


 こんな時こそ冷静沈着スキルだ! 頼む、俺の下半身よ、なんとか落ち着いてくれ!

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