第149話 負けられない戦い

いつも小説を読んでいただいて誠にありがとうございます∩^ω^∩


皆さんのフォロー、★★★、コメント、誤字脱字報告には毎日とても感謝しております!


近況報告でも書いたのですが、昨日より新規作品の投稿も始めましたので、こちらもあわせてよろしくお願いしますm(_ _)m


【男女の力と貞操が逆の異世界で、俺が『聖男』として祭り上げられてしまった件…】


宣伝大変失礼しました。

―――――――――――――――――――――



「マサヨシ殿、そろそろ時間です! あとは移動しながら身体を休めてください」


「……はあ、はあ。みなさん、ありがとうございました」


 訓練を開始してから3日間が過ぎた。明日の昼にはベージル平原でバードン国との代表者による決闘が行われる。


 大魔導士の家にあった魔道具の装飾品の中で、魔力の自然回復を強化するものや、魔力の消費量を抑えるものを身に付けていたのだが、さすがにこれだけ連続で魔法を使用したので、今の俺の魔力は空っぽだ。


 ここからはギルダートさんが用意してくれた馬車で身体を休めながら、ベージル平原近くまで移動する。そしてサーラさん達エドワーズ国の代表者とそれに同行する王族の人達と交渉をして代表者を変更してもらう。……まあ交渉といいながらも力尽くになる可能性は高いかもしれない。


「ホー!」


「フー助もありがとうな」


 フー助も俺を気遣ってくれているようだ。俺の召喚獣であるフー助は障壁魔法の他にも風魔法が使える。それも両方ともAランク冒険者並の力があるみたいだ。現にこの訓練でも俺の訓練相手として戦ってくれたからな。


 ……本音を言うとフー助にも俺と一緒に戦ってほしかった。いつものように小さくなってその存在を隠し、ここぞという時に相手の意識の外から攻撃してもらう俺の切り札になってもらいたかった。


 しかし、決闘では一対一となっており、召喚獣と共に戦うことは反則となるらしい。……さすがに召喚獣は一緒に戦ってもいいと思うんだけどなあ。


 向こうに着いたらサーラさんを護衛してもらう予定だ。当然両国の王族には代表者の決闘に巻き込まれないように離れた場所で護衛の騎士達に守られるのだが、護衛と一緒に障壁魔法を使えるフー助がいてくれれば、俺もサーラさん達を気にせずに戦うことができる。


「俺達にできることはここまでみたいだな。こんだけ強えマサヨシさんと戦う相手の方が気の毒だぜ」


「……どう考えてもマサヨシさんの方が大魔導士を継ぐ者の名に相応しいと思うのだがな」


「イアンさん達もドレインさんも本当にありがとうございました。おかげさまで俺もこの3日間で一気に強くなれた気がします」


 この3日間の対人戦闘のおかげで大魔導士の力の使い方がだいぶわかってきた。間違いなく3日前の俺とは比べものにならないくらい、大魔導士の力を使いこなせるようになっている。


「みなさんも本当にありがとうございました! この御恩は忘れません、何か困ったことがあったらできる限り力になりますから!」


「俺達のほうこそいい経験になったぜ。初めてギルマスからこの依頼の話を聞いた時は、まさかここまで強い人と戦えるとは思わなかったからな」


「俺達パーティもこの3日間で間違いなく強くなっている。むしろこっちが礼を言いたいくらいだぜ!」


「私も魔法をここまで極めることができると初めて知りました。下級や中級魔法でもあれほどの可能性があるんですね! いつか絶対にマサヨシさんみたいな魔法使いになって見せます!」


 集まってくれた他の冒険者にもとても感謝している。たった1日で集まってくれて、3日間も俺の訓練に付き合ってくれたんだ。今度みんなが困っていたら何か力になれればいいと思う。


「さあ、マサヨシ、そろそろ行くぞ! これで決闘に間に合わなかったら、全部パーだからな!」


「はい、すぐに行きます!」


 ベージル平原までは馬車で向かうが、その道中はリリスさん達が護衛をしてくれる。このタイミングで魔物に襲われるなんて運の悪いことはまずないとは思うが、その万が一があったらヤバいからな。それにリリスさん達が護衛をしてくれるのなら、俺も安心して身体を休めることができる。


「それではマサヨシ殿、ご武運を祈っておりますよ」


「本当にいろいろとありがとうございました。決闘が終わったら、また改めて冒険者ギルドにご挨拶に行きますね」


 馬車に乗りこんで見送ってくれたみんなに手を振って別れを告げる。


 決闘が終わって報告に来る時には勝利の報告ができるといいんだけどな。力を貸してくれたみんなのためにも、さらに負けられない理由ができた。

 





「それじゃあすみませんが休ませてもらいますね」


「ああ、ベージル平原の近くに着いたら起こすからな」


「お兄ちゃんは絶対に守るから安心して休んでほしいニャ!」


「はい、よろしくお願いし……ってうわ!?」


「どうした!? 魔物が何かか!」


 馬車が出発してすぐ、状態異常耐性スキルをオフにして少しでも眠ろうと思っていた直前に馬車が急に止まった。なんだ、盗賊か魔物でも出たのか!?


「前に突然人が出てきました。見たところ盗賊ではなさそうなのですが……」


「マサヨシさん、マサヨシさんは乗っているか?」


 ん、俺のことを知っているが誰だ?


「はい?」


「マサヨシさん、久しぶりだな!」


「ボリスさん!? それにアレックさん達も! どうしてここに!?」


 なぜか馬車の前には疾風迅雷パーティのボリスさんやアレックさん達がいた。ダンジョンを攻略したあとにアレックさんの村まで行って、弟さんを回復魔法で治療して以来だ。


 疾風迅雷パーティはBランク冒険者パーティだったし、もしかしたら俺の訓練相手を集めるための緊急依頼を見てわざわざ来てくれたのか? でも申し訳ないけれど、もう訓練は終わってしまっている。


「ああ、街の冒険者ギルドでマサヨシさんが国の代表者として噂の大魔導士を継ぐ者と戦うと知ってな、


「ええ!?」


「なにせたった3日しかなかったからな。夜通しで移動していても、こんなギリギリの時間になっちまった!」


「……俺のためにわざわざ隣の国にまで行って、情報を集めてきてくれたんですね。本当にありがとうございます!」


「マサヨシさんには弟のニルも助けてもらったんだ。これくらいお安い御用だぜ!」


「ああ、俺達もダンジョンでマサヨシさん達に助けてもらった。それにマサヨシさんが困っている時は力になると約束していたからな。


 バードン国で、本当に偶然だが大魔導士を継ぐ者と直接戦ったやつから話を聞くことができたのはラッキーだったぜ。詳細はこの紙にまとめておいたから馬車の中で読んでくれ!」


「はい! みなさん、本当にありがとうございます! 俺、絶対に勝ってきますから!」


「おう! 帰ってきたらまた酒でも飲もうぜ!」


「ええ、必ず!」


 疾風迅雷パーティのみんなと別れてベージル平原を目指す。今回は本当にいろんな人に助けてもらった。ますます負けられない戦いになってしまったようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る