第88話 ハーゲンのやつ
「あの、マサヨシ様、これはなんなのでしょうか?」
「これはアイスクリームといって、冷たいお菓子ですね」
しかもちょっとお高いハーゲンのやつである。様々なアイスの種類があるが、これが一番高級感があるよな。
海の街に行くことができたし、魚も大量に手に入れたので、これで立原家の食卓も豊かになったからな。今日くらいは奮発して高いアイスを買ってきた。さすがに次回からは安いアイスになるかもしれない。
今回の味はバニラやストロベリー、チョコレート、クッキー&クリーム、ラムレーズン、グリーンティーを買ってきた。個人的にはクッキー&クリームと期間限定のパンプキンが好きだな。
あとさすがにハーゲンのやつのパッケージは目立つので、器は変えてある。
「なんですか、これ! 冷たくて甘い!?」
「ほう、冷やした菓子とはなんとも面白いですな。まさかこのような菓子があるとは」
「甘くて美味しいです! それに果実のような味がします!」
サーラさんはストロベリー味か。あのストロベリー味特有のつぶつぶした食感もいいよね。
「ホー!!」
しれっとフー助もアイスを食べているし! 普通のフクロウならアイスなんて食べられなそうだけどな。まあ召喚獣だから普通のフクロウとは食べる物も違うのだろう。
あとファラーさんの分もあるから、そんなに見つめないで大丈夫だから。でもアイスはケーキと違って冷やすための氷がないと、こっちの世界で作るのは難しそうだ。氷魔法を使える人がいればいけるのかな。
「ホー、ホー♪」
「まあ、フー助ちゃんはすっごく可愛いですね! それに毛並みもモフモフしていてとても気持ちいいです」
食事とアイスを楽しんだ後、さっき約束していたとおりにフー助をサーラさんに触らせてあげた。フー助も可愛らしいサーラさんに抱きかかえられてとても嬉しそうだ。
可愛いエルフの美少女であるサーラさんが可愛いフクロウのフー助をモフモフなでなでしているこの瞬間が尊すぎる!
こう、サーラさんが首すじをナデナデすると気持ちよさそうにフー助が首をクイッとするのが可愛らしい。今この瞬間を動画で残しておきたいな。もしこの動画をネットにあげたらランキングに載ること間違いなしだ!
それにたぶん今すっごい癒しのなんとか波とか出ているよ、きっと。見ているだけでものすごく癒されているのがわかる。
サーラさんがフー助と遊んでいる間に、俺はいつものようにダルガさんとジーナさんから情報収集をしていた。海の街にも行けたし、次はどこに行こうか悩み中である。あといくつか街をまわったら他の国に行ってみるのも悪くないかもしれない。
「それではマサヨシ様、今日は本当にごちそうさまでした。またいつでも来てくださいね、お待ちしております!」
「こちらこそいつも厨房を貸してもらったり、いろんな情報もらったり、とても助かっています。また来ますね!」
「はい!」
サーラさんの屋敷を出る。今日はまだ時間があるけれど、俺もだいぶ食べすぎてしまったから大人しく家に帰るかな。バーベキューとかでもついつい食べすぎちゃうんだよね。
「マサヨシ殿〜」
屋敷を出たところでダルガさんに呼び止められた。あれ、何か忘れ物でもしたかな。
「あれ、どうかしました?」
「マサヨシ殿、えっとですな、もしもお時間がありましたら数日後にもう一度来ていただくことは可能ですかな?」
「ええ、4日後か5日後なら来られますよ。何か食べたい物のリクエストとかありますか? それとも何か緊急事態でも?」
「おそらくは大丈夫だとは思うのですが、少々気がかりなことがございましてな。別に命の危険があるというわけではないのですが、最悪の場合には1週間後にこの屋敷から引っ越さなければならないかもしれません」
「緊急事態じゃないですか!?」
第三王女様が引っ越さなければならない事態ってなに!? それも1週間後って急すぎるだろ!
「危険があるというわけではありませんし、可能性もかなり低いのであまり気にしないでいただければと。ただ最悪の場合にはマサヨシ殿が知らぬ間に別の場所に移動する可能性がありますので、念のためにお伝えさせていただいたまでです」
危険がないならいいんだけど……あれかな、政治的な問題で移動しなくちゃならないとかか? あるいはまた第一王子か第二王子が何かしようとしているのか?
「……わかりました。また4日後にお邪魔しますね。それと何か力になれることがありましたら力になりますので、遠慮なく言ってくださいね」
「お気遣い感謝致します。まあおそらくは杞憂に終わりますよ。はっはっはっ!」
……その言い方はこっちの世界だとものすごくフラグとなるのだが。
ダルガさんの言っていたことが気になって、毎日放課後に少しだけルクセリアの街に寄っていたが、特に変わった様子もなかったので、これなら大丈夫そうか。
そして4日後の土曜日、俺はまた異世界に来ている。いつも通りルクセリアの街の前の森に転移してきたのだが、何やら街の様子が少しおかしい。
普段とは比べ物にならないほどの人がルクセリアの街の外に出てきているのだ。それもみんな大きな荷物を持っていたり、荷馬車を引いている。
「あの、何かあったんですか?」
門番の人に通行証を見せた際に聞いてみた。
「実は今日の朝発表されたばかりなのですが、この街に緊急事態宣言が出されました。まだ時間はありますが、あなたも早めに避難したほうがいいかもしれません。どうやらあの
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます