第7話 今後の案
あれから更に2日経った。
「やっとだ…やっと道に出たぞぉーーーー」
やっと道に出た。もちろんきれいに整備されている訳では無い。ただ草があまり生えていなく、ああ道だなと認識できる程度である。ただの道だ。それでも道なき道を進んできた身からしたらこみ上げてくる物がある。町に近づいているんだと実感できる。
この2日間アニムに更に詳しくこの世界の常識を学んだ。
それを踏まえてこの先どうするか、何をするのか。どういった生活をしていくのか話し合った。ああ、ちなみに採取の成果はショボかった……
生活自体はお小遣いがあるから問題ない。食事についても能力があり、戦闘などでもある程度ならアニム1人でどうにでもなる。
せっかく異世界にきたのに、始めの町に永住する気は無い。だから旅して回ることを前提で話し合った。旅をすると言ってももちろんすぐに出て行く訳では無い。観光などしながらのんびり行こうと思う。
また、第一の目標としてなんか良さそうな場所に家を持つことにした。
具体性が無く曖昧な目標であるが、それでいいと思う。行き当たりばったりというのも面白い。家を買う場合どのくらいするかは分からないが、お金はそれ相応かかるだろう。月大金貨10枚は少なくは無いが、家を買うには貯金をしていかないといけないと考えた。そこそこの宿に泊まる場合、1日大銀貨1枚くらいらしい。駆け出しの冒険者などが泊まる安いところは銀貨1枚以下とかもあるらしいがそれはごめんである。
能力により食費はそこまでかからないとはいえ、その土地の物など食べたことないものを買うことはあるしアニムは大食いだ。旅の道具や一応の武器もいる。物欲はそこまで無いが何か高価な物が欲しくなるかもしれない。
そうするとそこそこかかると予想はできる。もちろんそんなすぐには家を買うなどといったことにはならないだろうがなかなか貯まらないだろう。
つまり贅沢をし尽くせばお金はすぐに無くなっていく。もちろん節約をすれば良いのだが、お金があれば財布のひもが緩くなるのが人間だ。
なので何かしてお金を稼いだ方が良いとなった。そもそも身分証が必要だ。町に入るときにお金と鑑定で入れはするが、家を買うとなると流石に無いといけない。そうすると、ギルドで作って貰うことになるが、冒険者か商業ギルドが一般的。それ以外にもいろんな種類のギルドはあるが…その2つが良いだろうとアニムが言っていた。
これはどっちが良いのか悩んだ。
冒険者となるとアニムは強いけど俺自身は戦闘能力が無い。体力もそこまでだ。よくあるようなテンプレ展開はめんどくさいし、ギルドマスターが!!的なのもめんどくさい。アニムは美人だから絡まれたりしそうだ。
商業なら何を売るのか、物によっては目立つ。マジックバッグはあるがそこまで普及して無く、高価な物だ。それを新人が持っていると目立つ。いやまぁ商人で無くとも目立つかもしれんが。そもそも交渉なんてしたことが無いし色々ぼろを出す可能性が高い。
俺は嘘をつくのは得意ではある。頭の回転も早いほうではあるが理解力はまあまあ程度だ、話を聞いていて面倒臭くなって適当にしてしまう可能性もある。そもそも集中力がない。後ついでに記憶力も自信ない。
どちらもう~んと言った感じだ。アニムには商業ギルドでいいのでは無いかと言われた。
商業ギルドはランクによっての年会費を払えば良いらしい。冒険者だと一定期間での依頼達成のノルマがあるらしい。更に冒険者ギルドでは無く商業ギルドでも、1~2割安くなってしまうが魔物の素材などの買い取りはしてくれるらしい。また、例えばアニムが盗賊や賞金首を仕留めたとき身分証があれば誰であっても国から賞金は出る。
そして何より、俺が商業ギルドに登録したら、その護衛または部下として登録することができる。ただその場合護衛として登録した者が何か起こした時、連帯責任を負うことになる。またその人数に応じて年会費も多くなるが、それでもアニムの身分証としては十分であるという。
商業ギルドに登録して商人となる場合、何かを売らないとお金が冒険者となるよりも減ることになる。年会費だけでもそこそこかかるだろう。そうするとそこそこ稼げて、あまり目立たない物が良い。それでいてめんどくさくない物。
異世界物でよくある物としては、塩や砂糖、香辛料、オセロ(リバーシ)などの娯楽がある。
それらを売れば比較的簡単に稼げるだろう。マジックバッグもあるから、行商で遠くから運んだことにすればいい。リバーシを作るなら木材があれば簡単に作ることができる。
だが、だがしかし、面白みが無い。
元手が無いならそれで稼ぐのは良いだろう。砂糖や香辛料なら一回の取引でも稼げる。
永続的にとなると色々面倒臭くなりそうだ。
そこで、話し合った結果、それらの情報を売りアイディア料として売り上げまたは利益の何割かを貰う、ということにした。
そのままどこかの商会または商人に売るのは普通過ぎるし、交渉によって色々丸め込まれたり損させられたりしそうで癪だ。
そこで考えた案として、商業ギルドに登録している商会または商人限定でオークション形式にし、高値をつけた人に売るというのはどうかとなった。
その際の問題点は色々ある。
1・どこで行うのか。
2・人は集まるのか。
3・オークションでどんな物か説明したら買わないで真似る者が出るのではないか。
4・どんな物か分からないようにしていたらそもそも買う人は出ないのではないか。
5・目立つ etc
などなど考えればどんどん問題点は出てきた。オークション後についても詰めていかないといけなかった。
少し大変そうで目立ちそうだが、とてもおもしろそうだ。
しかもオークション後情報を教えれば、あとは何もしなくともお金が手に入る。オークション自体も不定期で開催すれば良い。ただ物ではなく情報であるからネタ切れたら終わりだ。
まぁお小遣いがあるからすぐにしないといけない訳では無い。町についてゆっくりしてからまた詳細を詰めていくことにした。
もちろんやる方向でだ。
道に出たあとはどちらに進むかだが、逆に行ってしまうと最初に見た崖の下の森に着く。崖下の森へ行く道はここだけで無く、いくつかある中でも安全だが道のりがかなり長い道だ。そのためほとんど馬車は通らないし、そもそも人も滅多に通らない。
馬車が襲われているというテンプレ的展開も起きない。
「さぁアニム行くぞ」
「いや、そっちじゃなくて町はこっちだから」
アニムは呆れたような馬鹿にしているような顔で反対の方を指さす。
……………ふっ、もちろん分かっていたさ……
……いや、そもそもどの方角に町があるかなんて聞いてないし。二分の一外しただけだ。
「一本道だけどはぐれないように付いてきてね」
「おいっ馬鹿にするな!方向音痴なだけではぐれたりはしない。そして一本道なのに横に逸れるほどの馬鹿でも無い」
全く心外だ。流石に一本道で迷うことなど無い。振りなどでは無くマジで。そこまで重症では無い。
さぁ町まであと少しだ。アニムは明日の昼には着くだろうと言っていた。あと少し頑張るかぁ~~~
マジで冒険者は無理だな。歩き死ぬ。
………ウォーキングでデッド……
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