第302話 九十階層 観戦

 対抗馬であるアルドレットクロウとシルバービーストが潜っていないこともあり、無限の輪の一軍PTが映っている一番台は注目を浴びていた。今も観衆たちの目は八十九階層で待機しているPTに集中している。



「青ポーション飲んで早く行ってくれや~」

「まだかなー」



 九十階層へ続く黒門前で待機しているPTにそんなことをぼやきながら、観衆や迷宮マニアたちは各々に適した場所で最も大きい一番台を視聴している。神台市場にある屋台でつまみを注文してベンチに座ったり、その辺りで立ち見したりなど様々だ。そんな者たちを相手に売り子たちは背負っている樽の栓を抜いて酒を注ぎ、努の生き死にを賭ける仕切り場は直前ということもあって盛況だ。


 そして努たちがいよいよ立ち上がって黒門へと向かうと、観衆たちは拍手や指笛などで送り出した。それは無限の輪全体や個人のファンだったり、はたまた努の生き死に金銭を賭けている者など様々だ。



「お、始まったね~」

「ちっ、おせぇんだよ」

「まぁまぁ、落ち着いて見ましょうよ」

「うるせぇ」



 そして一番台近くの指定席には今回一軍の様子を見ることに決めた無限の輪の二軍メンバーが揃っていて、エイミー、アーミラ、コリナの三人は固まって座っていた。



「ダリル君が上手くやれるといいのだが……」

「心配しなくとも問題ないだろう」



 その隣ではゼノとガルムも二人で言葉を交わしながら神台を見ている。そして努たちは九十階層へと足を踏み入れ、成れの果てと対面して戦闘を開始した。



「全体攻撃1!」

「ツトム動くの早いね~」

「スキルの方を見ないで操るのって、割と難しいと思うんですけどね……。白魔導士さんはよくやっているみたいですけど」



 アルドレットクロウの実戦を参考に練習した全体攻撃の避け方は上手く機能している。その中でも努の指示を出しながらのポジション取りは早い。成れの果ての全体攻撃種類を図解して纏めていたこともあってか、最もAGIが低いにもかかわらず安全圏へ到着している早さはディニエルと同程度である。それに成れの果ての行動を全て予測して行われる指示も的確だ。


 それに加えて全体攻撃で移動を強いられて視界が悪くなっている状況でも、支援回復が滞ることはない。ヒーラーのことをあまり知らない人たちから見れば、その動作は地味なものだ。しかし飛ばすスキルや置くスキルなどを使い分け、個人ごとに細やかな気遣いがなされている。



「無限の輪もそこそこはいけそうだな。全体攻撃避けられてるし、ツトムもそこまで悪そうじゃないし」

「まぁロレーナよりは遅いけどねー」



 先日九十階層に挑んだシルバービーストも独自に成れの果ての研究はしていたので、全体攻撃もある程度避けられて序盤を越えるまでは進むことが出来ていた。しかしアルドレットクロウ同様、成れの果てによって設置される紫の魔眼によってペースを崩されて全滅する結果に終わった。


 走るヒーラーであるロレーナは常に走り回って最後まで全体攻撃を全て避け、観衆からも拍手を浴びるほどの活躍を見せていた。それに進行具合だけでいえばアルドレットクロウと同程度だったため、現在九十階層突破に期待が持たれているPTだった。



「この調子じゃ九十階層は三つのクランで競争になりそうだな」

「もしかしたらまた初見突破するかもよ?」

「いや、今回だけは今までと状況が全然違う。無限の輪は今までアルドレットクロウの後追いしてたから初見突破出来てたってこともある。だけど今回はまだ九十階層を何処も突破していない。今のところも、アルドレットクロウの真似って感じだしな」

「んー、でもかなり良い動きはしてると思うけど。少なくとも同じ構成のシルバービーストよりは安定してない?」

「でも本番はあの紫色の目が出てからだろ」



 迷宮マニアたちが色々と意見を交わし合う中、VITの高いタンクのダリルと避けタンクのハンナがお互いに入れ替わってヘイトを取りながら、ディニエルが中心となって成れの果ての体力を削っていく。


 そして成れの果ては迷宮マニアたちが言っていた、紫色の魔眼をその場に出現させ始めた。



「さて、どう凌ぐのかな……?」



 見たら即死する紫の魔眼と全体攻撃、それに成れの果て自身も攻撃してくるという最悪な状況。この状況をアルドレットクロウやシルバービーストは凌げずに全滅することがほとんどだった。


 とはいえ即死する魔眼は勿論、成れの果て本体の魔眼による石化進行に全体攻撃。それもタンクは成れの果てにも爪や突進などで攻撃されるため、全てを避けるのは不可能に近い。それに紫の魔眼が設置されると緊張感が増し、PT全員の動きは自然と硬くなってしまう。


 それに不慮の事故もよく起こる。例えば成れの果てに吹き飛ばされて起き上がった際に紫の魔眼を見てしまって即死したり、石化が進行しすぎて動きが遅くなってしまったところに全体攻撃が重なったりと、割とどうしようもない事態になることが多い。



「おっ? 凌いだな」



 しかし無限の輪は石化が進行することについては許容し、紫の魔眼と全体攻撃だけを避けることに注力してその猛攻を凌いでいた。これには成れの果ての行動を見てから避けられるハンナと、全体攻撃を食らう前提で視点を動かさないようにしているダリル。そして成れの果ての挙動を完全に把握していて精神的に余裕のある努が指揮を執っているからこそ取れる戦法だ。


 今のところ実戦が最も多いアルドレットクロウのヒーラーであるステファニー。彼女の対応力も決して悪くなく、努と同程度の動きは確かに出来る。



「メディック、全体攻撃4! ダリルそのまま、リーレイア直進。ヒール! ハンナはこっち来い!」



 だが『ライブダンジョン!』で数百戦成れの果てと戦い事前知識のある努と比較してしまえば、その単純な差は目に見えて現れる。努は成れの果ての実戦経験こそないが、この世界でヒーラーとして立ち回ることについてはもう慣れ切っている。そのため知識の持ち腐れを起こさず、『ライブダンジョン!』での成れの果て戦以上の動きを実現させていた。


 それから何回も三つの攻撃が被ることはあったが、無限の輪のPTは崩れない。その裏には成れの果ての動きを阻害するように放たれるディニエルの射撃や、精霊契約をダリルとハンナに適宜行ってのステータス上昇や精霊でのサポートもあってこそだ。そしてそんな四人を支援回復している努も間違った指示を出さず、最適解を行い続ける。



「んぅー、やっぱディニちゃん強いなー」

「……ちっ」



 一番台に映るディニエルを見て唸っているエイミーとは対照的に、アーミラは腹立たしそうな顔でリーレイアの動きを見ている。二人共アタッカーとしての完成度が高く、更にタンクやヒーラーのサポートも行いつつも火力は落とさない。



「すげーな。あそこまで対策出来るもんなのか」

「ツトムは研究熱心ですからね。わざわざ私にも聞きにきましたし」

「毎週同じ場所でいつも成れの果てばっかり見てたしな。よくあそこまで出来るもんだ」

「よし、取り敢えずこれでアルドレットクロウとシルバービーストは抜けたな。流石だぜ」



 迷宮マニアたちは努が神のダンジョンを語る時の純粋な顔を見たことがあるし、探索者ではあるが同士のような感覚もある。そのため感心したように頷きながら自分の成果のように無限の輪の活躍を喜んでいたが、観衆の中でも努の死亡に賭けていた者たちは少し顔色が悪くなってきていた。



「……あ? なんだあの動き」

「おっ、新しいな。何するんだ?」



 しかし紫の魔眼を掻い潜って観衆がざわついていた最中で、成れの果ては突然俯いて空中へと浮かび始めた。警戒態勢を取っている努たちとは裏腹にわくわくとした様子で神台が見つめられる中、成れの果てが石化を急速に進行させる全体攻撃を放つ。すると一気に三人の進行が進み石像と化してしまう。



「うおぉぉぉ!? 死んだ、のか?」

「ハンナと、えっ、ダリルも? リーレイアも……死んでるか。でもディニエルとツトムは生き残ってるな」

「何じゃそりゃ。強すぎだろ」



 瞬く間に三人が石化して崩れていった様を、観衆や迷宮マニアは驚愕した顔で見つめるしかなかった。努が死ぬことに賭けていた者たちの顔色が少し良くなり、エイミーは初めて見た攻撃で三人が死んでしまったことに頭を抱えた。



「そんなのありかー!?」

「これは……厳しいですね。タンク二人が死んだとなると立て直しが……。でもディニエルさんなら何とかなりますかね……?」

「……うんにゃ、あれはもう駄目かな」



 ディニエルのことをよく知っているエイミーは、彼女の目から既にやる気が失われていることに気付いていた。そしてエイミーの予想通り、ディニエルは諦めて装備を纏めると自ら死を選んだ。



「はぁ!? まだやれんだろ!?」

「んー。タンクが生き残ってたら、まだ頑張ったとは思うんだけど……」

「あの野郎っ……!」



 ディニエルが死を選んだことに、アーミラは憤慨している様子だった。エイミーも同じアタッカーとしてあまり良くない選択だと思ってはいたが、仕方のないことだと割り切ってもいた。無駄に引き延ばして戦うよりも早々に切り上げ、先ほど三人を瞬時に殺した攻撃の対策を練って再度挑む方が無難ではある。


 ただ努が出来るだけ神のダンジョンでも死にたくないと考えていることは、無限の輪のクランメンバー全員が察していることだ。なので努が必死にディニエルを引き留めていた姿を見て、エイミーは親友の行動を申し訳なく思って眉を下げる。そして腕を組んで神台を見ていたガルムの顔つきも大分険しくなっていた。



「はい、お疲れ~。混みあうだろうからさっさと換金しちまおうぜ!」

「今日はこれで上手い酒が飲めるな、がっはっは!」

「ツトムの初死亡に乾杯!」



 今まで観衆には死ぬところを見られていない努の死はもう娯楽と化している。それに他の探索者は全員何度か死を体験しているというのに、努だけはそうならないことに何処か不満や嫉妬の感情を持っていた者は多くいた。


 そしてディニエルが成れの果てを殺されたところを見届けると、観衆たちのほとんどは闘技場で剣闘士が猛獣に食い殺されるのを楽しみに待つような目で神台を見つめ始める。



「レイズ」



 しかし努が選んだ道は、あくまでも生き残ることだった。レイズでダリルを生き返らせて何とか成れの果ての攻撃を凌いだ努に、観衆たちは半ば呆れた顔だ。



「おいおい、無駄に足掻くんじゃねぇよ」

「白けるわー。さっさと換金させろっての」

「大人しく死んどけや」



 早く賭けを終わらせたかった観衆は口々に愚痴り、それ以外の者たちも努の悪足掻きを見苦しそうに見ていた。こうなってしまえばもう立て直せはしない。蘇生出来たとしてもヘイトの関係上二人が限度で、三人での戦いとなるためただの消化試合になるだろう。なのでさっさと一番台を他のPTに明け渡さないことは、神台の視聴者を配慮していない行動だ。



「ヒーラーなしじゃ突破は厳しいから三人で戦うことになりそうだけど、絶対に厳しいよな? ここで粘っても勝機はないと思うが……」

「多分記録を守ることに必死なのよ。そこは目を瞑ってあげましょう。それよりも私たちは、あの三人を殺した攻撃について考えるべきじゃない?」

「それもそうだな……」



 迷宮マニアたちも努の悪足掻きについては言及せず、先ほど初めて見せた成れの果ての攻撃について考察し始めた。一番台への関心は一気に薄まり、もう終わったかのような空気が流れる。そんな観衆の空気を感じ取った一人の少女は、我慢の限界とでも言いたげな顔で勢いよく立ち上がった。



「ボケ共が! 何が死んどけだぁ!?」

「こら、絡みにいかないでよ」

「や、やめてくださいよぉ」

「……っるせー。わかってるっつーの」



 両脇のエイミーとコリナにがっしりと腕を掴まれたアーミラは、後ろで好き勝手言っている観衆たちを睨みつけるだけに留めた。



「レイズ」

「あいつは、まだ諦めてねぇ。こっからだ」

「…………」



 リーレイアを蘇生した努を見ながらそう呟いて席に座ったアーミラに、エイミーとコリナは顔を見合わせた後に自分たちも座った。とはいえもう戦いは終わったようなものだ。ダリルが頑張っているのであと一人なら蘇生出来るヘイトを稼げるだろうが、それ以上は無理だ。そうなると三人での戦闘を強要され、更に戦況は厳しくなる。



「レイズ」

「え?」



 しかし努はレイズを使用して三人目であるハンナを生き返らせた。当然その行動でヘイトを多く稼いだ努は成れの果てから狙われることになったが、更にそれから数十秒後にディニエルも生き返らせた。その行動にコリナは驚き、観衆たちや迷宮マニアは呆れたような声を上げた。



「何やってんだあいつ。ヒーラーいなきゃ成れの果ては突破出来ないってのに」

「勝負を捨てたか。まぁ、無駄に長引くよりはマシか」

「……焦ってレイズしてしまった? いや、ツトムはそういうタイプじゃない」



 現状石化を治す方法はヒーラー職による状態異常回復スキルしかないため、ヒーラーがいなくなった時点で長期戦は出来なくなる。なので最後の押し込みならまだしも、この状況で努が退場してしまえば勝負が終わる。そんなことは成れの果て戦を神台でそこそこの期間見てきた観衆ですらわかることだ。


 そのため観衆たちは努の無茶な蘇生行動を非難し、迷宮マニアたちは不思議そうな顔で考察を再開する。そして努はまずフライで飛ぶと、蚊のように鬱陶しい動きで成れの果ての攻撃を避け始めた。



「……上手いな」



 努のぬるぬるとした空中機動を見て、迷宮マニアは思わず呟く。それでいてたまにハンナのような緩急ある動きも混じるため、成れの果ては中々努を捉えられない。そんな努の動きを見てフライの技術を教えたゼノは少し驚いたように眉を上げた後、フッと勝気な笑みを深めた。


 しかし成れの果てもその動きに対応してくる。それを見計らったように努は地面に降りて、そのまま走り出す。



「……あれって」

「走るヒーラーか? ……流石にロレーナよりは大分劣るな」



 その動きは走るヒーラーであるロレーナを模倣したものだ。とはいえ身体スペックが違うため彼女の動きと比べると随分と不格好だ。しかし要点はきちんと抑えているので、走るヒーラーではあった。


 成れの果ての攻撃を何度か地上でも避けた後、ウンディーネを使っての奇抜な移動も見せる。そんな努の動きを見て観衆たちの非難は少しずつ鳴りを潜めてくる。



「え、結構頑張るね。速攻で殺されると思ってたけど」

「いや、でもまだダリルはしばらくヘイト取れないぞ。それまで耐えられるとは思えんわ」

「……あー、当たっちまったか。頑張ったけど、もう無理かな」



 身体を伸ばしたウンディーネを切られて体勢を崩した努への追撃。それを何とかハンナが魔流の拳で逸らしたものの、彼は腹からボロボロと石を零していた。そもそものVITが低いので成れの果ての攻撃が掠っただけでも努には致命傷だ。完全に満身創痍の状態に、しかし観衆は先ほどと違い残念そうなため息をついた。


 そして努は意を決したような顔で成れの果てへと突っ込んだ。残っていたバリアも全て使い果たして成れの果てへと近づいていく努を、観衆たちは固唾を飲んで見守っていた。



「い、いけるんじゃねぇか?」

「が、頑張れ! 何とか出来るかもしれないぞ!」

「いけーーー!! ツトムーーー!!」



 いつもは涼しい顔で支援回復をしている努が、今では必死になって成れの果てに食らいついている。そのギャップもあって観衆たちは応援し始めた。その声が大きくなるごとに努は成れの果てへと近づき、遂に眼前まで迫った。



「あーーー!! 捕まった!」

「終わりかよぉ!! 案外惜しいところまではいったのに!!」

「いやー、上手かったんだけどな。残念」



 しかしそんな健闘に対する期待も成れの果てに直接掴まれてしまったことにより、淡くも崩れ去った。そして先ほど三人を放った白い光が努を掴んでいる手へと集まり、成れの果ては勝利を確信したように嗤いだす。



「ツトムっ!」



 そんな姿を見てエイミーも思わず涙目になりながら両手を握り、コリナは残念そうに俯く。アーミラはただ何も言わずに瞬きも忘れて神台を見つめていた。



「メディック、メディック、メディックッ……!!」

「……はっ?」



 だが努は灰色のポーションを飲み下してメディックを放ち続け、石化攻撃の耐久に入った。その光景を見て観衆たちは唖然とした後、思わず腹から漏れ出たような歓声を上げた。



「えーー!? すげぇ! 何で死なねぇんだ!?」

「うおぉぉぉぉ!!」



 何だかよくわからないがまだ勝負は終わっていない。そのことだけはわかる観衆は一気に盛り上がって一番台に期待の視線が集中し、頭が揺られるような歓声が響き渡る。



「……メディック?」

「いや、絶対無理だろ。見る限りさっきの、石化した攻撃と同じようなものだろ?」

「あの、ポーションみたいなやつ。あんな色のは見たことないぞ」



 ある程度情報を持っている迷宮マニアは努の思いもよらない粘りに絶句した様子で、混乱したような顔でお互いを見合わせている。その間に成れの果てはダリルにターゲットを変え、空中に放り出された努はハンナが身体を張って支えた。



「……え? これって、四人生き返らせたことになるの?」

「すごっ! そんなの見たことねぇ!」

「ステファニーでも、確か三人までだったよな……?」



 そして努が四人を生き返らせ、彼自身も生き残ってPTを立て直したことに気付いた観衆たちは更に盛り上がった。迷宮マニアたちはその事実に唖然としていて、祈祷師であるコリナも顎が外れるくらい口を開けていた。


 その後も新しい動きをする成れの果てに努は対応し、崩れかけたダリルを死なせずに支援回復だけで立て直させていく。ハンナは異常なまでのヘイトを取っているダリルにタンクを任せてアタッカーに回り、リーレイアとディニエルも合わさって成れの果てを削っていく。



「すげぇぇぇぇ!!」

「初見、突破しやがった」

「嘘だろぉぉぉぉ!?」

「俺の金がぁぁぁ!! 冗談だろぉぉぉ!?」

「うそぉぉ!? 返してぇぇ!! 私貯金まで使ったのにぃぃぃ!!」



 そして純粋な観衆たちの歓声と賭けをしていた者たちの阿鼻叫喚が入り混じる中、無限の輪の一軍PTは九十階層の突破を果たした。



「すげぇ」



 ダリルにバリアをしてやり遂げたような顔をして倒れ込んでいる努を見て、アーミラは感極まったような顔でポツリと言った。



「……くそ。俺だって……俺だって、一軍になりてぇ。お前と、組みてぇよっ……!」



 そして悔しそうに顔を歪めて俯き、ただ拳を握りしめた。その隣にいるエイミーも決心したような顔で頷き、コリナは呆然とした様子だ。その隣にいるゼノは不敵に笑みを深め、ガルムは藍色の尻尾を逆立てるとすぐに立ち上がって早歩きでその場から去っていった。

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