シュバニアルの歴史2 世界に歴史を握りしめ

それから王子たちは地道に情報収集を開始した。大国には不信に思われないように、ごく少数の部族に対し、手土産片手に出向いてその文化や歴史を聞き出し書物へと編纂する。

編纂できたものを部族に渡すと大変喜ばれ、こちらに好意的になっているその時にあるお願いをする。


「せっかく作った書物だから、大事に保管をしておきたい。そちらの部族と我が国で一つずつ持っておけば、もし何かのっぴきならない理由で紛失してしまっても予備があるから安心だろう」


それは確かにもっともだと、部族たちはむしろご親切にありがとうと礼を言うほどだった。


そうやって、ちょっとずつちょっとずつ少数部族に介入し、次の標的を小さな国々に移した。国ともなるとさすがに乗っ取りではないかと警戒され、最初は全く相手にされなかった。

王子たちはただ調べたいだけであることを徹底して主張し、金品は一切受け取らず、歴史・文化を調べたい以外には何の要求もしなかった。


真摯なうえにしつこい王子たちに根負けした小国はだんだんと受け入れていき、国でも把握しきれていなかった情報を探り出し最終的にはやはり王子たちの手を取り礼を言うほどになったのだ。

この時も、王子たちは少数部族たちと同じ理由で小国にも約束を取り付けた。


外部で情報収集の任務を行っている間、シュバニアルでは次代を育てるための教育方針をまとめ専門学校の設立にいそしんでいた。

100年先も200年先も長く他国に脅かされることのない国にしよう、という表向きの理由と王子たちを追い出した国を這いつくばらせてやるという裏側の私怨を理由にして。


またエルフとして強力な元素魔法を使用する王子たちは、シュバニアルの人間たちと協力して特殊な技術を編み出し、紙では不可能だった劣化を半永久的に防ぐ方法を編み出す。


こうした地道な活動は時間をかけて世界を駆け巡り、ついにシュバニアルは「図書館国家樹立」を宣言する。




図書館国家シュバニアル樹立を宣言


「本日をもってシュバニアルは図書館国家樹立を宣言する。

我々は諸国における書物・文化・歴史について、その内容如何にかかわらず収集に努め、永劫保存し、全て民に公開することを誓う。

これは諸国・民族にとってその正当性を保持するための重要な役割を果たす。

よって、我々は全ての情報を正しく収集するため諸国・民族は全ての情報を我々に提供しなければならない。

もし虚偽があれば図書館員は直ちに真なる情報を求め調査し精査する義務を負う。我々の活動に対し、妨害あるいは隠蔽行為があった場合、我々はあらゆる手段をもって対抗する」

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