神様の気まぐれ

「遅刻する!!」


バタバタと装備品を準備する女が一人。


「うぅ…完全に寝過ごしたぁ!」


彼女は俺の『嫁』であり、『夫』でもある凄腕冒険者のレイジー。


「あ!朝ごはんは!?」


そういう俺は一年前まで普通の高校生であった『竹田 秋夜』、しかし下校途中に不運な事故に会ってしまい。


下半身が壁とトラックのサンドイッチになってしまった結果。


体を再構築する時に『息子』が無くなってしまった。


そして『ロリアン』として生きていくことになった。


「すまない!ロリアン!時間がない!」


「まったく…」


そして波乱万丈の出来事を経てレイジーと同性結婚することになってしまった。(まぁ、望んだことなんだけど…)


「……さて、掃除でもしますかね」


俺はレイジーさんのように強くはないので家事をするのが仕事だ。


元男としては結構プライドに来るものがあるが……まぁ、現実を受け止めて女の体に甘んじることにしよう。



「よっと……これでラストかな?」


洗濯物を干し終わった俺はリビングへ向かった。


「あら、ロリアンさん洗濯もう終わったの?」


「はい、少しリビングで休憩しようと思いまして」


「ならお茶を淹れるわね♪」


これが今の生活だ、レイジーさんが出稼ぎに行っている間に俺は家事を手伝う。


「……」


「あら、浮かない顔ね?」


「ま、まぁ……」


「相談、乗るわよ?」


「実は……元男としてその……もう少し力があったほうがいいかな……って」


「なるほどねぇ……」


「難しい話しですよね……」


「う〜ん、手っ取り早い方法は私が稽古をロリアンさんにつけることくらいかしら?」


「えっとぉ……」


「それだとロリアンさんが最悪死にかねないから無しね〜」


「どんな稽古をつけるつもりだったんですか!?」


そう、レイジーさんのお母様は偶にぶっ飛んだ考えを持つことがあるのだ。


「う〜ん、筋トレかしらね?」


「筋トレ……なるほど」


確かに、それなら確実かつ安全に力をつけることが……


「となると、家事を多くするのが楽かしら」


「え」


「ほら家事って大変じゃない?しかもお屋敷だし」


「た、たしかに……」


「そこで!ロリアンさんに洗濯物に続いて床の掃除もしてもらおうと思います!」


「床掃除……ですか」


「そう!とりあえず二階の廊下からスタートね」


二階……たしか結構長かったはず……


「明日からやってみましょうか!」


「はい!」






翌日


「せぇ……はぁ……」


ヤバい…!死ねる!


「あらあら、まだ半分よ?」


「な、長い!」


床掃除はまさかの雑巾がけ!しかも四往復して拭き終わり!


「やっと……二周目……」


「……さ、流石にやりすぎたかしら」


「いえ、まだ……」


「やめましょうか、ロリアンさんの身体が持たないわ」


「う……はい」


するとお母様は雑巾を受け取ると猛スピードで残りを拭き上げた。


「……人間……なのか?」


この家の筋トレはまだまだ早いのかもしれない……


翌日、筋肉痛になったのは言うまでもない……




【ちょっとあとがき】



お久しぶりです、沙水 亭です。


何?完結したのでは?


完結と言ったなあれは嘘だ。(コマ○ドー風)


と、言うわけでアフターストーリー兼新章を書いて行きたいと思います!

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